日本で古くから嗜まれている秋の楽しみといえば「お月見」。十五夜だけではなく秋の澄んだ空気を感じながら眺める月はとても美しいものですが、天候や月齢に左右されるため、ちょっとハードルが高いですよね。
天候に関係なく美しい月を愛で、おいしいスイーツを味わう現代風のお月見を楽しめるのが「ホテル雅叙園東京」。東京都指定有形文化財「百段階段」の月をテーマにした企画展を鑑賞し、アフタヌーンティーを味わえば、いつもと違った雅な休日になりますよ。
約2,200本のすすきと月にうっとり。文化財「百段階段」の秋の企画展
ホテル雅叙園東京の文化財「百段階段」とは、1935年に建設された貴重な木造建築。料亭だった当時の7つの客間を階段で結んでいて、現在は季節ごとにさまざまな企画展を開催しています。
2024年10月5日~12月1日の期間中に開催しているのが「月百姿×百段階段 ~五感で愉しむ月めぐり~(一般 1,600円)」。幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・月岡芳年による「月」をテーマにした浮世絵のシリーズ「月百姿」の貴重な作品を、螺鈿細工や日本画などで彩られた空間で鑑賞できます。
月百姿は全100点からなる超大作で、今回の展示ではそのうちの20点が前期・後期に分けて展示。前期となる11月4日までは『竹取物語』をテーマにした作品をはじめ、日本・中国のおとぎ話や和歌などを題材に「月」を描いた作品10点が並んでいます。中には直接的に月を描くのではなく、月を愛でている美女を描いた想像を掻き立てる作品も。後期に展示される作品はコピー画で楽しむことができます。
浮世絵を通して月を楽しんだあとは、実際にゲストもお月見気分を楽しめる「草丘の間」へ。約2,200本の本物のすすきが部屋を埋め尽くし、直径約2mの巨大な月を愛でることができます。まるですすきの草原にいるかのような香りを感じながら、聞こえてくるのは虫の声。そして月にはプロジェクションマッピングが映し出され、月を跳ねるうさぎも登場。浮世絵師・月岡芳年は月と一緒にすすきを描いた作品も多く残していて、浮世絵の世界を現実でも楽しめるような空間となっています。
浮世絵のほか、現代のアーティストが表現した「月」にもご注目。例えば「星光の間」には島根県出身の伊藤咲穂さんによる作品が展示されています。伊藤さんは1989年生まれで、今後の活躍も期待されている若手の現代作家。月の光と地球の交わりを表現した「Breathing of the Night I」など、石州和紙を用いた作品は吸い込まれそうなほど美しかったです……。
上質なスイーツに満たされる……月をテーマにしたアフタヌーンティー
続いては「New American Grill “KANADE TERRACE”」に移動して「月アフタヌーンティー」を堪能。企画展「月百姿×百段階段 ~五感で愉しむ月めぐり~」に合わせ、「月」をテーマにしたアフタヌーンティーを11月15日まで楽しめます。特注のティースタンドは有田焼で作られた縁起の良い「扇形」。2024年4月に新しくなったもので、ホテル雅叙園東京ならではです。
スイーツは全8品を楽しめ、上段は「早生柿のパンナコッタ」、「マロンカシス」、「三色生チョコ」、「うさぎマカロン」。生チョコで三色団子を表現するなど、和の遊び心を取り入れた洋菓子を味わうことができます。お月見の様子が繊細に描かれた「マロンカシス」はシナモンの香り漂う「パート・リンツァー」というクッキー生地に、カシスムースとマロングラッセをあしらった一品。ペストリー料理長の生野剛哉さんが率いるパティシエたちが生み出す上質なスイーツはどれも絶品で、心も満たされます。
中段は「黒胡麻とショコラのシュー」「紅葉(かぼちゃのタルト)」「和栗のパウンドケーキ」「プレーンスコーン」。「紅葉(かぼちゃのタルト)」は生野料理長が感動した六甲山の紅葉を小さなタルトで表した美しいスイーツです。そして「和栗のパウンドケーキ」では、ごろっと入った栗で「半月」を表現。かぼちゃや栗といった秋の味覚を楽しめるのも、このアフタヌーンティーの魅力です。
下段は満月を思わせる「かぼちゃと海老の白玉 みたらし風」など、ホテル雅叙園東京の西洋料理チームが手がけたセイボリー3種。鶏のブイヨンと栗のムースが口の中で溶け合う「栗のムース トリュフ風味」や、ふわふわ食感の「じゃがいものクレープスフレ イタリア産キャビア添え」は、一口で幸せになれるおいしさでした。スイーツ&セイボリーは「ムーン・スマイルティー」や「月見はうじ茶」など、10種類以上のコーヒー・紅茶とともに楽しめます。
月を愛で、美食を楽しみ、秋らしいひとときを満喫できる「ホテル雅叙園東京」。月アフタヌーンティーの料金は6,600円で、企画展「月百姿×百段階段~五感で愉しむ月めぐり~」チケット付きプランは8,200円です。友達と一緒に楽しむのはもちろんのこと、一人で芸術やアフタヌーンティーを心ゆくまで堪能するのもおすすめ。次の休みは、東京のラグジュアリーホテルで現代風のお月見を楽しんでみてくださいね。
・ホテル雅叙園東京
住所:東京都目黒区下目黒1-8-1
URL:https://www.hotelgajoen-tokyo.com/
(撮影・取材・文:小浜みゆ)
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