ようやく終わった今年の猛暑。熱中症や農作物への高温被害など、日常生活ではマイナス面しか思い浮かばなかったが、もちろん恩恵を受けた分野もある。帝国データバンク(東京)は、企業から収集した情報に基づいて猛暑のプラス、マイナスの影響を分析、多くの小売業にプラス効果がみられ、特にエアコンやアパレル、アイスなど季節商材が恩恵を受けていた。
国内の各証券取引所に株式を上場する全企業を対象にしたもので、猛暑、酷暑による影響や対応について具体的な情報開示を行った上場企業は、10月16日までに少なくとも102社。このうち、売り上げの増加や新商品の開発など、自社の業績・企業活動にプラス効果がみられた企業は63社にのぼり、開示企業の6割で猛暑が追い風となったようだ。
プラスの影響を開示した63社を業種別にみると、プラスが最も多かったのは「小売業」で、約4割(25社)を占めた。Tシャツなど夏物衣料を中心としたアパレルや、猛暑対策グッズなど雑貨類の売れ行きが好調だった雑貨店が目立ち、販売ペースに在庫が追い付かないといったケースもみられた。「製造業」(15社)は、アイスや飲料品などの生産に加え、エアコン関連部材やボディケア製品など猛暑対策グッズが好調といったプラス影響があったほか、関連する新商品の開発も活発だった。「サービス業」(8社)は、屋内レジャー施設や屋外作業代行などで好影響となった。
一方、「マイナス」の影響は39社。このうち「小売業」が18社と約半数を占めた。屋外レジャー施設や飲食店では猛暑で店舗への来客数が鈍化するといった影響がみられた。