若者の車離れが叫ばれて久しく、実際に自動車の販売台数も減少傾向。だが、都心部以外では車が必需品である地域も多い。特に、TOYOTAのシエンタやHONDAのフリードをはじめとする、ミニバン型の車種はファミリー層に人気で、SUVもここ数年で存在感を高めている。
なかでも、三菱自動車の「デリカD:5」(以下、デリカ)は堅調な売上を続けており、コアなファンも多い。みちゃんさん(33歳)は、デリカを愛し、その生活をSNSにアップしている主婦。同車の魅力を聞いた。
デリカを選んだ理由は「唯一無二な存在感」
デリカの前は日産自動車のラシーンに乗っていたみちゃんさん。夫婦でスノーボードに出かけることが多く、スキー場でよく見かけていたデリカに、当時から憧れがあったという。しかし、類似車種も多いミニバンで“あえて”デリカを選んだ理由があった。
「ラシーンから乗り換えを考えていた時に、TOYOTAのボクシーやHONDAのステップワゴン、マツダのCX8などが候補でした。大まかな形はどれも魅力的だったんですが、スノーボードに出かけることが多いとなると、4WDで雪道にも強いデリカが一番だったんですよ。ゆくゆくはキャンプなどにも行きたいと思っていたので、悪路に強いデリカを選びました」
デリカはミニバンで唯一のオフロード対応車種である。人気を支えるのも、スノーボードやキャンプなどでの利用があり、悪路走破性に優れた車を求める層のようだ。とはいえ、それならば三菱自動車のパジェロや、スズキのジムニーなども候補に入るように思えるが。
「確かに、そのあたりも検討はしました。ただ、買い換えのタイミングが二人目の子が生まれる時期だったので、二つのチャイルドシートを設置しても余裕のある車がよかったんです。それに、デリカには子どもが大きくなって、キャンプなどに一緒に行けるようなワクワク感もありました」
ミニバンとSUVの特徴を兼ね備えた、唯一無二の車種がデリカだということになる。
実際にデリカを所有するにはいくら必要?
こうしてデリカの購入を決めたわけだ。同車種は比較的高いことでも知られているが、単刀直入にいくらだったのか聞いてみた。
「11万キロ走っていたディーゼルの中古車で、200万円くらいです。ガソリン車ならもっと安いんですが」
さらに、購入後もカスタムをしているというが、総額どのくらいの金額をかけているのだろうか。
「総額は考えないようにしています。1番高かったのはタイヤとホイールで30万円くらいで、次が車高を上げるリフトアップで20万円くらいしました」
車を趣味にするとお金がかかるイメージがある。やはり、高給取りの家庭でないとデリカに手を出すのは難しいのだろうか。
「私は基本的に倹約家タイプで、月の光熱費も4人家族ですが、電気・ガス・水道合わせて1万円で収まるくらいです。なんとか節約をして、自分の稼ぎの中から毎月1~2万円を封筒に入れていく感じです。アナログですけど(笑)」
デリカの魅力は“意外な部分”に
購入後、意外な部分に魅力を感じたとのことだ。
「デリカに乗っている人同士って、横のつながりが強いんですよ。デリカばかりが集まるようなイベントもよくあって、先週末もデリカ9台でキャンプに行ってきました!ファミリーカーなので、同じくらいの年齢の子供がいる家族が多くて、子供達も楽しそうにしますし親同士の話も尽きませんよね。家族ぐるみの付き合いができる友人が、こんなにたくさんできるなんて、思ってもいませんでした」
これにより、さらにデリカ愛が強まったという。
「年に1度、スキー場にデリカが集まるオフ会があって、家族で参加して雪遊びしたりスノーボードしたりして遊んでます。家族だけではなく、デリカ乗りの友達もそこにいるので、デリカのおかげで楽しさが想像していた何倍にもなりました!」
デメリットと言われている部分については…
言葉の端々からデリカにゾッコンであることが伝わってくる。“弱点”はないのだろうか。
「他の車種に比べて車重があるのと、私のデリカはディーゼルなので初速が遅いですね。高速道路の加速も遅くて『頑張れ!』って思っちゃう(笑)」
ネット上でデリカのデメリットだと指摘される点についても聞いてみたい。まず、最近のミニバンは乗り降りがしやすい低床タイプが主流だが、デリカは原型が2007年のモデルであるため床が高い。
「確かに他に比べると高いですね。お墓まいりなどで祖父母と一緒に行動するときは、実家の車に乗ってもらったりしています。ただ、後部座席のスライドドアを開けると、低い位置に取手がついてるんですよ。子供はそこを掴んでよじ登っているので、普段は気になるレベルではないですよ」
次に、3列目のシートが床下への収納ではなく吊り下げ式で、シート自体も重いという点。細身のみちゃんさんだが、一人での操作は可能なのだろうか。
「日産のセレナやHONDAのステップワゴンより3列目のシートがしっかりしているので、確かに重いです。大変ではありますが、私でも一人でなんとか出したりしまったりはできます。むしろ、シートがしっかりしている分、乗ると3列目でも快適なんですよ」
なぜ「デリカで人生が変わった」のか
これほどデリカ愛の強いみちゃんさんは、「デリカのおかげで人生が変わりました」とまで話す。まずは、仕事について。
「元々は営業職で、朝から深夜まで働いていましたが、子供が生まれてからは、『この先働くとしたら、好きでもない仕事でパート勤務をするくらいかな』と考えていたんです。でも、デリカを買ってInstagramにデリカと自分の写真を載せるようになってから、私のファンになってくださる方が出てきて、ファンサイトを作って収益が出るようになったので、仕事も変わりました」
さらに、SNS上で人目に触れる機会が増えたことで見た目にも気を使うようになったという。家族はどういった反応をしているのか。
「数年前と比べても、今の自分のほうがいいです。人生で一番綺麗だと思います。家族も応援してくれていて、特に主人は、喜んでくれていますね。私が綺麗になっていくから(笑)。ファンサイトを始めるか悩んでいた時に、後押ししてくれたのも主人でした」
SNSでのフォロワー増加に伴って、イベント出演の機会も増加し、人前で話すスキルも身についてきたと話す。もし買い換えることになっても次もデリカにするのだとか。これほどまでに魅了される人のいる同車種、今後も好調な売れ行きが続きそうだ。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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