【写真】遠藤憲一演じる令和版の“ワニ顔”総理
遠藤憲一が主演を務める「民王RInspired by 池井戸潤」(毎週火曜夜9:00-9:54※初回は夜9:00-10:00、テレビ朝日系)が10月22日(火)にスタート。その放送に先駆け、主演の遠藤と原作者である池井戸潤氏に直撃インタビューを行った。
同ドラマは、総理大臣とおばかな息子との奇想天外な“入れ替わり”を描いた池井戸潤の小説「民王」にインスパイアされ、令和版として再始動する痛快政治エンターテインメント。今回の入れ替わり対象は“全国民”となり、遠藤憲一演じる武藤泰山の心と体が、毎話あらゆる人物とランダムに入れ替わってしまう。共演者は大橋和也、あの、山時聡真ら。
今回、池井戸氏が撮影現場を訪問し、遠藤との対談インタビューが実現。続編が決まった際の気持ちや作品に対する思いなどを語ってもらった。
■ストーリーを見て「あれ?全然ちゃうな」
――池井戸さんにお伺いします。インスパイアという形で続編を制作したいと聞いた最初のお気持ちは?
池井戸:「え?やるの?本当にやるんか?」と。ですが、僕に続編の話を持ってきてくださったテレ朝の皆さんの表情が本気だったので、いいドラマができるんだろうなと直感しました。
前作は深夜枠だったこともあり、皆さん和気あいあいとドラマを作っていた印象でした。でも、今回はゴールデン枠ということで、以前にはなかったセットもあって、どこまでけしからんドラマを作るのか、今からとても楽しみです!
――今作のオリジナルストーリー制作にあたり、原作者としてどこまでOKを出されたのですか?
池井戸:最初に、「民王の新しいドラマを作りたいのでストーリーを考えてください」というオファーがあって。ひと月ほどかけて、9話か10話くらいでできる長編のストーリーを考えてプロットを提出し、「あとは自由にしてください」と伝えました。
ところが、出てきたストーリーラインを見ると、僕のストーリーとは違って、1話完結、各話で遠藤さんがいろんな人と入れ替わる話になっていて。「あれ? 全然ちゃうな」と思いながらも、「1話ごと完結するストーリーをやりたい」という話を聞き、「それならどうぞ」と。
自分が考えたストーリーはどこかで使われるんでしょうが、クリエイターの皆さんが、自分のやりたいものを作るということはすごく重要だと思うんです。なので、「やってみなはれ」で、いまは期待しながらドラマのオンエアを待っています(笑)。
■いつの時代も変わらない池井戸ワールドが展開
――ドラマ制作陣から上がってきたプロットを見て驚かれた点は具体的にどんな部分でしょうか。
池井戸:長編のプロットを連作短編に変えてきたところですね。これだとほとんどオリジナルになる。
長編のプロットであれば、一つの物語を考えればいいのですが、連作短編のプロットは、話数が10話だとしたら、10個分の物語を考えなければなりません。いつもの作業が10倍になるんです。あえて大変なことにチャレンジしているわけで、並大抵の覚悟ではありません。
遠藤:話数分のストーリーを演じているから疲れるのか…!俺の疲れの原因はそこだったんですね(笑)。僕だけではないですが、いろいろな方の努力で作られている作品なので、少しでも多くの皆さんに楽しんでもらえたらうれしいです。
――前回は「平成」に放送されました。今回は「令和」に放送されるということで、令和版ならではの変化はございますか。
遠藤:池井戸さんの作品の根底には、必ず“社会問題”があります。その根底がありながら、道が逸れていくような面白さが織り込まれている。そこが池井戸さんの作品の魅力だと思っています。
その中でも特にはじけているのが「民王」ですが、「令和」だから前回と比べて何か変わったということはないです。ただテンポが前回よりも少し早くなったくらいで、いつの時代に見ても、変わらない皆さんが好きな池井戸ワールドが展開されています。
■いまの社会が抱える問題が問えるような“入れ替わり”であってほしい
――ドラマの題材である「入れ替わり」は、相手の立場に立つことができる究極なシステムだと思います。お二人が考える「入れ替わり」の魅力を教えてください。
池井戸:今作の台本はお任せで、読んでないんです。視聴者の皆さんと同じ目線で、「どんなお話になっているんだろう?」とワクワクした気持ちで撮影現場の見学にやってきました。
入れ替わりという設定自体はいろいろな作品で描かれていると思うんですが、国のトップである首相が、立場の異なる人々と次々に入れ替わるというのはあったかな?
いろいろな立場の人と入れ替わることで、気付くこともあるでしょうし、誰と入れ替わるかによって、自分が体験したことのない環境や考えに触れることができるということが、今回のドラマのキモなのかなと感じました。いまの社会が抱えるさまざまな問題が問えるような入れ替わりになっているといいなと思っています。
遠藤:まずこのドラマを9年ぶりにできると言われたときは、大好きなドラマだったので「え、マジ!?面白そう」と思って参加したのですが、想像以上に大変でした。毎回入れ替わっているので、俳優人生の中で一番大変な作品なんじゃないかと個人的に思っています。
撮影を重ねるごとに、じわじわと「入れ替わり」の大変さを感じていますが、その一方で演じているからこそ、入れ替わるたびに各回に込められたテーマをしっかりと感じることができています。ご年配の方や女性、子どもなど、それぞれが抱えている問題に向き合うことになります。
先生がおっしゃったように社会的な問題にも触れて、視聴者の皆さんに考えていただきながら、たまにほろっと泣いて、たまに笑いも届けられたらいいなと。「入れ替わり」を通して、楽しみながら考えさせられる作品になっていたらいいなと思っています。
■おちゃらけているだけのドラマではない
――キャストの皆さんやキャラクターの印象はいかがですか?
遠藤:今回は目まぐるしくいろいろな人が登場します。なので、見ていて飽きないと思います!
池井戸: どういうキャラクターが出てきて、どんなストーリーになっているのか、詳しくは知らないんですが、いい名前だと思ったのは、「猫田マモル」。ところが、あとで見たら、最初に僕が出したプロットにちゃんとあって。自分で名付けたのに忘れてる(笑)。
今回はスタッフの皆さんを信頼して、すべてお任せですね。いち視聴者としてドラマを楽しもうと思っています。
――今作の「民王R―」で視聴者に“伝わってほしいこと”はありますか?
池井戸:単純なおちゃらけドラマにしたらダメだと思うんです。前回は深夜枠ということもあり、おばかな設定になっていましたが、根底に核となるものがあったので、しっかりとした面白いドラマになっていました。今回もそんなお話になっていてほしいです。
遠藤:その点はバッチリです!社会的な問題がグッと出ています。演じる側は大変なんですが、池井戸先生が心配しているおちゃらけているだけのドラマになっていないと保証いたします。
池井戸:安心しました(笑)。本当に楽しみだな。
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