10月21日(月) 16:00
運を味方に付ける奇跡的な勝利だった。最終日、首位で迎えた16番パー4でセカンドを左に外し難しい状況を残したイ・ミニョン(韓国)。アプローチはグリーンに届かず、ボールが戻ってきてしまう。ダブルボギーも覚悟したという4打目は、グリーンに落ちるとカップへとコロがりはじめ、チップイン。思いがけないパーセーブで首位をキープし、2年ぶりの7勝目を挙げた。そのスイングについて、フェードヒッターのお手本と評価するのがプロコーチの南秀樹だ。ポイントにその場で回っていることと、左ワキの締まり具合を挙げる。
「体重移動は両足の範囲内という感じで、筒の中で回っているという言葉がピッタリなくらい軸がしっかりしています。これならクラブが下から入りにくくボールが曲がりません。またダウンスイングからインパクト、フォローにかけて左ワキの締まりも抜群。手元が浮かずにボールがつかまります。普通なら左ワキを締めると左肩が上がりやすくなりますが、下半身でクラブを引っ張り下ろし、左足に乗っていくので、綺麗なレベルターンに。正確なショットを生んでいる秘訣でしょう」
「左にOBがあると思い切って振れない」」「フェードをマスターしたい」などと思っているなら、イ・ミニョンのスイングが参考になる。意図的に右に曲げる球を打つことからはじめよう。
「フェースは目標のまま、スタンス、ヒザ、腰、肩と体のラインをターゲットよりも左に向けてスタンスなりに振っていきます。インパクトはやや肩のラインが開き気味で迎え、左に出て右に曲がるボールが打てればオッケー。この段階では、擦り球のスライスになっても構わないので、とにかく左に出して右に曲げることを覚えてください」。
この時、出球が左に出ないなら、体重が右に残っている、インパクトで胸が正面を向いているなどが考えられる。また、ボールが右に曲がらないなら体が左に突っ込んでいないか確認する必要があるだろう。
球を右に曲げる感覚がつかめてきたら、徐々にスタンスと体の向きをスクエアに戻していこう。スライスからフェードへの転換だ。「体をスクエアに戻しながらも、左に振る意識を持ち続ければ、イ・ミニョンのように、左ワキが締まってくると思います。この動きができればボールがつかまり、飛ぶフェードが打てるでしょう」。
左を向いて極端なスライス打ち、徐々にスクエアへに戻すことで、左ワキが締まってボールがつかまり出す。加えて、クラブも下から入りにくくなるので、アイアンショットに良い影響が出ることも考えられる。もう左を恐れずゴルフができるだろう。頑固なスライスともおさらばだ。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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