現役教師のズバッと回答に「泣いた」の声。SNSで話題のエピソードを多数収録『天才じゃない私たちが輝くために』

『天才じゃない私たちが輝くために ~がんばる前に読みたい23の言葉~』より/(C)夏目にーに

現役教師のズバッと回答に「泣いた」の声。SNSで話題のエピソードを多数収録『天才じゃない私たちが輝くために』

10月20日(日) 21:05

『天才じゃない私たちが輝くために ~がんばる前に読みたい23の言葉~』より
【漫画を読む】『天才じゃない私たちが輝くために』を最初から読む

最近なんだか仕事がうまくいかない…、将来に不安を感じてモヤモヤする…、人間関係に疲れた…。
そんな鬱々とした気持ちを抱えているときは、前向きになれる言葉たちに触れてみてはいかがですか?

現役美術教師であり、画家であり、漫画家でもある夏目にーに(@212natsume)さん著の『天才じゃない私たちが輝くために ~がんばる前に読みたい23の言葉~』には、心が前を向くためのヒントが多数。SNSでの投稿が多くの反響を呼び、なんとX(旧Twitter)総インプレッション数は1億超え! 超話題のエピソードについて、夏目さんにお話を聞きました。

■読んだ人の心が、少しでも前向きになるように…
やりたいこと、特にないから

私立高校の現役美術教師として勤務する夏目にーにさんが、生徒たちが日常生活で感じる悩みや疑問、将来への不安に、自身の経験や過去の生徒に共通することを照らし合わせてズバッと回答する本作。

「もっと悩んでよし、ブレてよし!」
「忙しい言うな」
「今やれ今」

そこには著者の、厳しくも温かい言葉があふれています。
もっと悩んでよし、ブレてよし!

実際に生徒と交わした会話がベースになったエピソードは、絵を描く人だけにとどまらず、今を生きるすべての人の心に刺さるはず! 仕事に家事、育児と、日々奮闘する人こそ、本作を読んで日々のモヤモヤを吹き飛ばしませんか?



■共感エピソードが多数!「読んで、泣いた」のコメントも

全くスポットが当たらない生徒も数多くいる

――X(旧Twitter)で反響の大きかった『天才じゃない全ての才能へ』のエピソードでは、美術の賞などで世の中に認められることがない、いわば「スポットのあたらない」生徒さんについてのエピソードが描かれていますね。「認められるかどうかがすべてではなく、いかに好きであるか、続けられるかの方が大切」とあります。好きなことに関わっていくのには、いろいろな方法・考え方があるのだなと気付かされました。

夏目にーにさん:実際、いわゆる油絵や日本画などの作家を目指す進路を選んだ教え子が、大学卒業後に筆を折っていくことが多かったりします。それだけ受け皿ができてない業界であると痛感しますし、「自己責任・自分の実力不足だ」で片づけられる世界なのは正直悲しかったりします。

私自身のアーティストとしての活動も自分の思い描いた理想とは全然遠いので、漫画の中の輝けない人物の一人なのは間違いないです。でも、「好き」をコツコツと積み上げ続けられる人が最終的には残るのではないか? 価値があるのではないか?…そういう風に考えることが自分の救いになっていますし、私自身の今のモチベーションにつながっています。
美術系への道を諦めます

絵はいかに好きであるか、続けられるか


――こちらのエピソードは4.7万を超える「いいね」がついていますね。寄せられたコメントで印象に残っているものがあれば教えてください。また、特に多くの反響があった理由は何だと思いますか?

夏目にーにさん:「読んで、泣いた」というコメントが、印象的で嬉しかったです。また多くの反響をいただけたのは、どの世界でも輝ける人、それを眺める人がいると思いますので、共感が多かったと考えています。

メキメキ伸びる子は、アドバイスを喰らう怪獣

――「凄く伸びる人の特徴」のエピソードも、Xで3.1万以上のいいねを集めています。こちらでは、メキメキ伸びる人の特徴を“アドバイスをすべて喰らい養分にして大きくなる怪獣(モンスター)”に例えているのが、とても分かりやすく印象的でした。実際に質問をした生徒さんは、その後、怪獣になれましたか?

夏目にーにさん:怪獣ちゃんのモデルになった生徒は数人いて、一人はまだ大学生ですが1年から個展をやったり、何かのプロジェクトの中心になったりと非常に活躍している様子です。自分に軸があって人の意見を素直に受け止めようと心掛ければ、誰もがそれに近い状態になるとは思います。ただ、実際は大人でもなかなか難しいかもしれません。



■すべての人に伝わるよう、抽象的なものを言語化

――本作は教師としての実話をベースに、生徒さんたちの悩みや、それに対する夏目にーにさんからのアドバイスが描かれています。この作風で描こうと思われたきっかけを教えてください。

夏目にーにさん:これまでも色々なコンセプトで描いていたのですが、このスタイルで描いた漫画が一番ポジティブな反響をもらえたからです。エピソード17「ブレんな」でも描いたのですが、反響があったということは自分のストロングポイントがあるのだと素直に受け止めて、飽きられるまで描き切ろうと思う所存です。
ブレイクできないかも

ストロングポイントを無視しないで


――美術教師をされる中で、数えきれないほどの生徒さんとのエピソードがあると思います。その中から、漫画として描き起こすエピソードはどのようにセレクトしていますか?

夏目にーにさん:直感で、「このテーマは面白そうだな!」というものから順に描いています。何となく次はこれを描こうと決まっていても、生徒と話したりして「絶対こっちの方が描きたいな!」と思ったらすぐプロットを書きます。本質的で賛否を呼びそうなものが理想ですが、なかなかそういうテーマに出会うことは少ないです。

自己満足になってない?

――どのエピソードも絵を描くことだけにとどまらず、仕事やスポーツ、勉強などあらゆる場面に当てはまる内容だなと感じました。

夏目にーにさん:私の漫画は美術に関する話が軸ですが、「どの世界にも通ずる話だな」と思う内容にしています。教育は正解がなくて多様で抽象的で、絵の世界も同じようなものですよね。でも、必ずベターなものは存在すると考えています。それを言語化するのが楽しいし、人にも伝わってくれるだろうなと感じています。

***

高校の美術部が主な舞台ではありますが、作中に登場するセリフの数々は、絵を描いていない人にも、大人にも、すべての人に向けられた言葉なのですね。読後に、なんだか自分ももうちょっと頑張れそうと思わせてくれる作品です。

取材・文=松田支信





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