【写真】2役を務めた井浦新が笑顔であいさつ
井浦新主演の日仏合作映画「徒花-ADABANA-」10月18日に公開。井浦をはじめ、水原希子、永瀬正敏、甲斐さやか監督が登壇し、都内映画館で初日舞台あいさつが行われた。
■2役を務めた井浦新を水原希子、永瀬正敏が絶賛
本作は、長編映画デビュー作「赤い雪 Red Snow」(2019年)が第14回「JAJFF(Los Angeles Japan Film Festival)」最優秀作品賞を受賞するなど、繊細かつ圧倒的に作りこまれた世界観が国内外問わず高く評価されている甲斐さやか監督の最新作。第37回「東京国際映画祭」にて新設される「ウィメンズ・エンパワーメント部門」への出品も決定している。
見た目は同じだが性格の違う新次と“それ”の2役を務めた井浦。念願の初日を満席で迎え、「ようやく本日、初日を迎えることができました。これから始まる『徒花-ADABANA-』の世界を全身で楽しんでください」と笑顔であいさつ。
劇中では2役を演じたが「2つの役を取り巻く周囲の環境や生活を勝手に想像して、膨らませて撮影に臨みました。お芝居を分けるとかテクニカルにやるよりも、それぞれが生きてきたものを映したいと思って2役を演じました」と解説する。
その様子をそばで見ていた水原は、「2つの役を行ったり来たりする撮影方法で、もしそれを演じるのが自分だったら泣いちゃうと思った。俳優さんってすごいと思ったし、たくさんのことを学ばせていただいた」とリスペクトしている様子で明かす。
かつて「私立探偵濱マイク」シリーズの「罠 THE TRAP」(1996年)で2役経験済の永瀬も「僕も若いころやったことがあるけれど、行ったり来たりは大変。素晴らしかった」と賛辞を送る。
3年ぶりの映画出演となる水原は、「尊敬する俳優の皆さんと自分が見たいと思える作品に出られるのはこの上ない幸せ。そんな作品に巡り合うのは奇跡に近いと思うので、撮影中は毎日幸せをかみ締めていました」と喜色満面。
そんな水原との共演を、井浦は「自己表現に妥協がなく、さまざまな分野で活躍している方。共演ができると知ったときはうれしかったし、ワクワクしかなかった」と回想し、永瀬も「静寂の中の炎。熱い中での静寂を持っている方」と賞嘆する。
その永瀬は、本作でミステリアスな医師・相津役を担当。「お二人の心模様を具現化した存在だと解釈したので、透明な存在でいたいと思った。撮影中は監督に冗談で『僕を映さなくても大丈夫』と言っていました」と笑わせる。
構想20年を掛けて本作を完成させた甲斐監督は、「出演していただきたい方に出演していただいた光栄な作品。撮影中はモニターを見ながら泣いたり笑ったり、うるさかったと思います。それだけ皆さんの演技が想像を超えていたんです」と胸を張った。
■キャスト陣が自分の“それ”について妄想を膨らませる
続いて、映画の内容にちなんで、自分の“それ”がいたらどんな性格になりそうかを妄想することに。「トマトが好きで落ち着きはらっていると思う。なぜなら俺はトマトが嫌いだから。でもケチャップは好き」と話す永瀬に、井浦は「…繊細」と呟き、会場の笑いを誘う。
井浦は「大好きな山登りを一緒にして、もう一人の“それ”がどれだけ好奇心丸出しの顔をしてるのかを見てみたい」と妄想。水原は「私は人前で喋るのが苦手なので、口達者になっていると思う」と想像する。
最後に、井浦は2012年10月17日に亡くなった恩師・若松孝二監督に触れ、「若松監督と甲斐監督、2人の作風は違うけれど、研ぎ澄まされたような真剣さ、観客に向けた刃の鋭さには勝手に系譜を感じています。若松監督はもう映画を作ることはできないけれど、甲斐監督には甲斐監督ならではの刃を突きつけ続けてほしい。全身で『徒花-ADABANA-』の世界観を味わってください」とアピール。
甲斐監督も「偶然にも、本作のフランスのプロデューサーは、フランスで若松監督作品を広げた人です。本作はまるで若松さんのつながりで撮らせていただいたのではないかと、勝手にご縁を感じています」と感激し、「みんなで一生懸命、魂を削って作った作品です。多くの方々に見ていただき、いろいろな感想や答えを持っていただきたいです」と呼び掛けた。
■映画「徒花-ADABANA-」ストーリー
裕福な家庭で育った新次(井浦)は、妻との間に一人娘も生まれ、周りから見れば誰もが望むような理想的な家族を築いていた。しかし、死の危険も伴うような病気にむしばまれ、とある病院で療養している。
手術を前にした新次には、臨床心理士のまほろ(水原)が心理状態を常にケアしていた。しかし毎日眠れず、食欲も湧かず、不安に苛まれている新次。
まほろから「普段、ためこんでいたことを話すと、手術に良い結果をもたらす」と言われ、過去の記憶を辿る。そこで新次は、海辺で知り合った謎の「海の女(三浦透子)」の記憶や、幼い頃の母親(斉藤由貴)からの「強くなりなさい、そうすれば守られるから」と言われた記憶を呼び起こすのだった。
記憶がよみがえったことで、さらに不安がぬぐえなくなった新次は、まほろに“それ”という存在に会わせてほしいと懇願する。“それ”とは、病気の人間に提供される、全く同じ見た目の“もう一人の自分(それ)”であった。
“それ”を持つのは、一部の恵まれた上層階級の人間だけ。選ばれない人間たちには、“それ”を持つことすら許されなかった。新次は“それ”と対面し、自分とまったく同じ姿をしながらも、今の自分とは異なる内面を持ち、また純粋で知的な“それ”に関心を持ち、のめりこんでいく。
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