【写真を見る】医療詐欺に遭ったジグソウの復讐が始まる!(『ソウX』)
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、ジグソウの最も個人的な知られざるゲームを描く「ソウ」シリーズ最新作、墓に隠された秘密を巡る韓国のオカルトサスペンス、堂本剛の27年ぶりとなる映画単独主役作の、目が離せない3本。
■肉体損壊のバイオレンスも容赦ない…『ソウX』(公開中)
デスゲーム・スリラーのジャンルをリードしてきた「ソウ」シリーズの第10作が、いよいよ登場!1&2作目の間に起きた出来事を描く本作では、久しぶりに天才殺人鬼ジグソウ(トビン・ベル)が戻ってくる。ご存知の通り、シグソウは後に末期ガンで世を去るが、ここで描かれるのは生前のデスゲーム。がんの完治を謳った詐欺医療集団に、ジグソウが怒りのゲームを仕かける。
命を大切にしない者への警告でもある彼のゲームはさらにショッキングになり、顔、首、脚、頭部などの肉体損壊のバイオレンスも容赦ない。ジグソウこと、ジョン・クレイマーの人間ドラマにも深みがあり、シリーズ最高傑作の呼び声も納得。ただのデスゲームではない。そこには確かに熱が宿る。(映画ライター・有馬楽)
■テンポのよい展開で一気に映画の中に観客を引き込む…『破墓/パミョ』(公開中)
ある資産家一家に災いをもたらす先祖の墓を暴いたことから始まるオカルト・ミステリー。高額の報酬にひかれて墓じまいを請け負い、不穏な気配が漂う山中の墓に集まった若き巫堂(シャーマン)たちと墓の場所を見定める風水師、葬儀社の男という4人が、自分たちも予想し得なかった事態へと巻き込まれていく。
監督は悪魔払いに挑む神父たちの姿を描いたデビュー作『プリースト悪魔を葬る者』(16)で大成功を収め、続く『サバハ』(19)で新興宗教を取り上げたチャン・ジェヒョン。冒頭からテンポのよい展開で一気に映画の中に観客を引き込む。墓に隠された謎に驚かされるだけでなく、命がけのミッションの中で年齢も思惑も違う4人が1つのチームになっていく過程が意外な爽快感をもたらす。(映画ライター・佐藤結)
■堂本剛のような天才肌の人物を主人公に据えないと説得力がない…『まる』(公開中)
約2年前から出演オファーされていたという堂本剛、27年ぶりの単独主演映画。確かにこの企画は堂本剛のような天才肌の人物を主人公に据えないと説得力がない。世の中で起きていることに無頓着そうな、彼の淡々とした語り口をはじめとした独特な佇まいがこの不思議なドラマをより一層、味わい深いものにしている。才能がありながら、人気現代美術家のアシスタントに甘んじていた沢田(堂本)は利用された挙句、解雇されてしまう。生活費欲しさに描いた◯がSNSで拡散され、大騒動に。
情念まみれの周囲(吉田鋼太郎扮する胡散臭いアーティストや綾野剛扮する売れない漫画家の隣人など)とは対照的にひたすら好きな絵を描いてきた、現代の風流人のような沢田。それでもお金や名誉といった大きな波には抗いきれない。何気ない一枚が破格で取引されるアート界。かといって、欲を出して模倣しても同じものが生みだせるわけではない芸術という奥深い世界。荻上直子監督ならではのポップな世界で、豪華キャストたちが繰り広げるコッテリした人間模様。『かもめ食堂』(06)以来の荻上作品となる、性も年齢もなにもかも超越した片桐はいりの存在感が秀逸。(映画ライター・高山亜紀)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。
構成/サンクレイオ翼
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