10月17日(木) 10:00
リクルートは北海道に居住している人を対象に実施した「SUUMO住民実感調査2024 北海道版」を発表。これは、北海道内の自治体と駅を対象に「住んでいる街に住み続けたいか」を調査したもの。自分では気づかなかった街の魅力を知ることで、住まい探しの際の街選びの選択肢を広げよう。
住んでいる人が評価する「住み続けたい自治体」と「住み続けたい駅」を調査「SUUMO住民実感調査2024 北海道版」は、“今住んでいる街に住み続けたいか”を聞いたアンケート調査。30人以上の回答者がいる自治体や駅を対象に、平均値を計算しランキング化した。そのほか、街の魅力項目別のランキングも集計している。リクルートが隔年で実施し、今回は2回目になる。
住んでみたい街、憧れの街ではなく、実際に生活している人がその街を評価していることから、居住者が感じている暮らし心地の実感値が反映されたランキングといえる。
「住み続けたい自治体」のTOP20は、札幌市以外の話題の街も多くランクイン「住み続けたい自治体」の自治体は、札幌市以外の各市町村と札幌市内は10区の行政区を指すものとして、住んでいる人から回答をもらった。TOP20に入った自治体は下の表のとおりだ。
「住み続けたい自治体ランキング」の1位と2位は前回調査と同じ「札幌市中央区」(1位)と「札幌市厚別区」(2位)。3位と4位は順位が前回から入れ替わり、3位が「札幌市西区」、4位が「河東郡音更町」となった。TOP20には札幌市の10区全てがランクインし、TOP10では7つが札幌市内の区だ。
TOP10に入った札幌市以外の自治体は4位の「河東郡音更町」のほか、7位の「上川郡東川町」、10位の「上川郡美瑛町」。いずれも豊かな自然が特徴の農業や観光で有名な街。「河東郡音更町」は帯広市、「上川郡東川町」と「上川郡美瑛町」、11位に入った「上川郡東神楽町」は旭川市という大きな都市に隣接しており、生活利便性も郊外のゆったりとした暮らし心地も、どちらも手に入る自治体といえそうだ。
11位以下TOP20には、「恵庭市」(14位)や「北広島市」(15位)、「千歳市」(18位)といった札幌市周辺にある自治体がランクイン。「北広島市」は2023年の北海道ボールパークFビレッジの開業で注目されたが、現在もJR北広島駅西口の整備が進行中。北海道医療大学の当別町から北広島市への移転やJRの新駅の開業も控えており、さらなる活性化が期待される。前回調査の22位から18位に上昇した「千歳市」は、半導体製造企業Rapidusの新工場が建設中。空港の街として発展した街が、今後は最先端のものづくりの街として注目される。
TOP20には、さまざまな自治体がランクインしているが、全体を見ると、1位の「札幌市中央区」や2位の「札幌市厚別区」、そして「北広島市」(15位)、「千歳市」(18位)といった、大規模な再開発や新たな施設の誕生で活性化が図られている街のランクインが目立っている。
「住み続けたい自治体」1位の札幌市中央区、2位の札幌市厚別区はどんな街?そのほかの注目の街は?「住み続けたい自治体」のランキング上位と注目の街について紹介しよう。
前回に続き1位は「札幌市中央区」。ビジネスや行政、商業、文化、交通などあらゆる面で札幌市はもちろん、北海道の中心となっている街だ。交通や通勤・通学の利便性はもちろん、区の南西エリアの円山や旭山、藻岩山の豊かな自然だけでなく、区の中心部にも豊平川が流れ、都心部には大通公園や中島公園の緑が身近。劇場や美術館など魅力的なスポットも多い。居住者も街の魅力として「魅力的な文化施設が充実している」「街ににぎわいがある」「通勤・通学など特定の場所に行きやすい」などを上位に挙げている。近年は、北海道新幹線延伸開業にともなうJR札幌駅周辺の大規模再開発や、札幌駅前通沿いでのビルの建て替えなど複数のプロジェクトが続いており、今後、街の風景はダイナミックに変わっていくことになる。
2位の「札幌市厚別区」は、道立自然公園野幌森林公園が身近な札幌市の郊外エリア。地下鉄東西線やJR千歳線・函館本線、国道12号や南郷通などで札幌都心や市外へもアクセスしやすく、自然の豊かさと利便性のどちらも揃っている街だ。JRと地下鉄の両方が使える新さっぽろでは、駅周辺の再開発が2023年に完了。商業施設のBiVi新さっぽろや、札幌学院大学新キャンパス、札幌看護医療専門学校の開学、タワーマンション、ホテル、4棟の医療施設などが集まる新しい街・マールク新さっぽろが誕生した。「通勤・通学など特定の場所に行きやすい」「駅周辺に生活に必要な施設が揃っており便利だ」が、居住者が挙げる街の魅力の上位に入っている。
前回の調査では回答者数が規定に届かず調査対象外となった「上川郡東川町」が今回は7位にランクイン。道北の中核都市・旭川市に隣接する人口約8500人の小さな、しかし多彩な魅力をもつ街だ。旭川市の中心部から約13km(車で約22分)、旭川空港から約7 km(車で約13分)の交通利便性の良さ。そして、大雪山国立公園の区域の一部に位置し、大雪山からの天然の美味しい水が生活水になる暮らし。町で生まれた子どもたちに手づくリの椅子を贈る「君の椅子」プロジェクトや、公営住宅の木造化、「写真の町」としてのさまざまな企画で町内外から人を呼び込むなど、人が豊かに住み続けられるような取り組みが続けられている。「メディアによく取り上げられて有名である」「外国人、他地域からの出身者など多様な人々がなじみやすい」「子育て環境が充実している」などが街の魅力の上位に入った。
「住み続けたい駅」のTOP20は、全て札幌市内の駅。TOP5は全て「札幌市中央区」で市電エリアの駅が3駅「住み続けたい駅」は、上位を札幌市内の駅が占めている。なかでも「札幌市中央区」はTOP20に15駅が、TOP10に8駅がランクイン。TOP5は全て「札幌市中央区」の駅で、そのうち3駅が「西線11条」「西15丁目」「西線14 条」の札幌市電の駅だ。
1位から4位の「西線11条」(1位)、「円山公園」(2位)、「西15丁目」(3位)、「西線14条」(4位)は、前回の調査でもTOP10内にあった駅。5位の「西28丁目」も含めると、「大通」に近く、大通公園の南西エリアに位置する駅が並んでいる。札幌市中央区の南西エリアは円山公園や旭山記念公園、藻岩山などが近く自然を感じられる暮らしが叶うエリア。さらに、都心へのアクセスも良い駅だ。
札幌市では冬の積雪を考えて、地下鉄での通勤・通学を好む人が多いが、その傾向はランキングにもあらわれており、TOP20のうち地下鉄の駅が約半数の9駅を占めた。TOP20に8駅がランクインしている札幌市電の駅も比較的都心に近い駅、地下鉄利用も可能な駅が多い。
JRの駅もTOP10に「桑園」(6位)、「琴似」(9位)がランクイン。駅周辺での再開発が完了した「新札幌」も14位に入っている。「桑園」は「札幌」の隣の駅。「琴似」「新札幌」も地下鉄東西線とのダブルアクセスが可能な駅だ。雪でJRが遅延・運休しても、ほかの手段で通勤・通学が可能な駅の強さがうかがえる。
「住み続けたい駅」1位の「西線11条」、2位の「円山公園」はどんな街?10位の「東屯田通」はなぜ順位が大幅アップした?「住み続けたい駅」のランキング上位と注目の街について紹介しよう。
1位の「西線11条」は、前回調査の4位から上昇。札幌市中央区を環状にめぐる市電の駅で、都心部からも近い立地にありながら、旭山や藻岩山などの緑が身近。落ち着いた住宅地の雰囲気も味わえる街だ。利便性の良さや北海道らしい自然に恵まれた立地のためか、道外から転勤してきたファミリーにも人気があり、「西線11条」の街の魅力項目のランキングでは「外国人、他地域からの出身者など多様な人がなじみやすい」が2位に入っている。地下鉄大通駅やすすきの駅、札幌駅への近さや、近隣には札幌市医師会夜間急病センターや札幌医科大学附属病院とその周辺の多彩なクリニックなど病院施設も多くあり、「不動産の資産価値が高そう」「夜間救急などに対応できる医療施設がある」が街の魅力の上位に入った。
2位の「円山公園」は、前回の調査でも2位。連続でランキング上位をキープしている。円山は古くから住宅地としての不動の人気を誇る街。大通駅まで3駅の都心にありながら、円山原始林や円山公園、北海道神宮などの自然豊かな環境に恵まれている。道路の無電柱化も札幌市内では早い時期に進み、「住宅街が整然として美しい」が街の魅力の1位に挙げられている。昔ながらの市場や老舗の商店、人気のベーカリーやカフェ、レストランなどが点在。休日には緑の中を散策したり、グルメを楽しんだりが地元で満喫できる。
今回、10位に入った「東屯田通」は、前回の調査では63位。市電沿線の中では、都心から最も離れた南21条・南22条にある街だが、藻岩山や豊平川など自然に近く、札幌市内最多の蔵書数約88万冊を誇る札幌市中央図書館があるほか、市電路線沿いにスポーツジムやクリニック、学習塾も揃い、以前から人気のあるエリアだ。近年は、無印良品を併設したコープさっぽろやまはな店、大型ショッピングセンターのアクロスプラザ南22条が開業するなど、日常生活の利便性がさらにアップしている。
「今後、街が発展しそう」な自治体、駅ランキング。今回の調査では、街の魅力項目別のランキングも集計している。
「今後、街が発展しそう」な自治体のランキングの1位は「千歳市」だ。前述の通り、千歳市では半導体製造企業Rapidusが新工場を建設中。2025年には試作ラインの稼働、2027年ごろには量産化がスタート予定で、今後は居住人口の増加も期待されている。そのほか、再開発が進行中の「札幌市中央区」や「北広島市」も上位にランクイン。国際的なリゾート地・ニセコを抱える「虻田郡倶知安町」も6位に入っている。
「今後、街が発展しそう」な駅のランキングでは、「桑園」「バスセンター前」「札幌」が上位3位にランクイン。いずれも、北海道新幹線延伸開業にともなう大規模な再開発プロジェクトの場所に近く、再開発による街の活性化の影響を受けそうな駅だ。
「子育て環境が充実している」自治体のTOP10は全て札幌市以外の街。どれも自然に恵まれた環境で、のびのびと子育てができる街といえる。1位の「樺戸郡新十津川町」では、妊婦の一般健診無料や高校生までの医療費無料、小中学校の給食費無料、高校などへの通学費の一部助成、小中学生芸術鑑賞、文化スポーツ活動推進のためのユニフォーム購入費助成など、多彩な子育て支援を実施している。
「子育て環境が充実している」駅のランキングでは、TOP10は全て札幌市内の駅。1位は札幌南高校や札幌静修高校の最寄駅の「静修学園前」。3位の「中央図書館前」は、子ども向けのイベントも多い札幌市中央図書館のすぐそば。そのほか、「宮の沢」「星置」「澄川」「ほしみ」など札幌市内でも郊外の駅が上位に入った。
今回のランキングは、住んでいるからこそわかる実感のこもった結果があらわれている。「住み続けたい自治体/街」ではTOP20に入っていなかった街が、街の魅力項目のランキングでは上位に入っているケースが多くある。どの街にも「住み続けたい」と感じさせる魅力があるということだ。
「SUUMO住民実感調査2024 北海道版」では、ここで紹介しきれなかったさまざまなランキングを掲載。住まい探しの参考に、ぜひチェックしてみよう。
●プレスリリース
「SUUMO住民実感調査2024 北海道版」住み続けたい街(自治体/駅)ランキング
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