10月17日(木) 13:45
来週いよいよ開幕する「ZOZOチャンピオンシップ」に、今年も日本にルーツを持つリッキー・ファウラーが出場する。プレーはもちろん、人柄の良さからツアー屈指の人気を誇るが、ファウラーに大きな影響を及ぼしたのは祖父だったという。
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23年7月、溶けるような暑さの中でコリン・モリカワ(米国)とアダム・ハドウィン(カナダ)をプレーオフで下したリッキー・ファウラー(米国)は、静かに拳を握りしめた。最終日は母校のスクールカラーであるオレンジのウェアに身を包むファウラー。ツアーきっての人気選手とあって、同じ格好をしたファンの大声援がコースに響く。米国男子ツアー4年ぶりの勝利に「苦しかった時間を忘れられる瞬間だった」と声を詰まらせた。
カリフォルニア州ミュリエッタ出身のファウラーだが、日本との縁は深く、左上腕の内側には“田中豊”と漢字のタトゥーが刻まれている。ファウラーの本名はリッキー・ユタカ・ファウラー。ユタカはミドルネームで、日系米国人である祖父・田中豊さんから受け継いだものだ。そんな豊かさんにクラブを手渡されたことがきっかけとなり、ファウラーは3歳でゴルフを始めた。自宅近くにコースはなかったが、豊さんが毎週水曜日に練習場へと連れて行った。
そうやって「祖父と過ごした時間が、僕の生きる姿勢につながっている」とファウラーは話す。豊さんは、第二次世界大戦中だった幼少の頃、日系人であることからカリフォルニアの強制収容所で過ごした経験がある。しかし、そのことを一言も語らずに、ただ無事に生きてきたことに感謝する姿からファウラーは多くを学んだのだ。
「祖父はいつも機嫌が良いんだ。周りに人がいるのが大好きで、とても大切にしている。自分の人生を愛していて、とても幸せなんだ。僕もそうありたいと思っている」。そんなファウラーは故郷に練習場を持つという夢を4年ぶりの勝利と同じ頃にかなえ、“ミュリエッタ・バレー・ゴルフレンジ”のオーナーとなった。「今はまだ昔と同じ姿だが、時間をかけて練習場を良いものにしたい。少しでも多くの子供たちが幸せな時間を過ごしてほしい」。ファウラーの人気の秘密は豊さんから受け継いだ優しい人柄にあるのだろう。
豊さんは今もときおりコースを訪れファウラーのラウンドを見守っている。以前「まだ日本に行ったことがない」と話していたが、「リッキーが日本でプレーする姿を見ることは本当にうれしくて仕方ない」と優しい笑みで語っていた。24日に開幕する「ZOZOチャンピオンシップ」に出場するファウラーがどんな活躍をするかも楽しみにしていることだろう。(文・武川玲子=米国在住)
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