10月17日(木) 18:00
オールブラックスとの大一番に向けて、ラグビー日本代表はFWとBKに分けて合宿を実施。FWは横浜キヤノンイーグルスや浦安D-Rocksの練習拠点を訪れ、BKは宮崎合宿で汗を流した。10月15日、浦安DRとのトレーニングを終えたPR茂原隆由、竹内柊平、FL下川甲嗣がメディア対応を行い、FWキャンプの充実ぶりを口にした。
下川「この3日間、イーグルスとD-Rocksの力を借りていいところも悪いところもレビューできている。チーム内では相手がやることが分かった上でやるので、相手が何をしてくるかわからない状況でやれるのがいい。ラインアウトでも相手の出方を見て、次に修正していけるので、それは相手がいる利点。相手のプレッシャーがある中で自分たちのスキルを100%出すトレーニングをしている。『まず自分たちにフォーカスしてやろう』と夏までやってきたことを確認しながら、何ができて何ができなかったのか、確認しながら、強度を上げてトレーニングができている」
茂原「自分の課題をやり直している。スクラムの安定性とディフェンスのタックルが課題。1オン1のディフェンスのところでしっかり止められるようにしている。(今日のスクラムは)外に流れてしまった。坂手(淳史)さんのアドバイスもあって、最後いい感触で終われた。いろんな組み方をしてくる、いろんな相手と実際にやれて、いい経験になった」
竹内「すごい違和感。自分の(所属する浦安DRの)グラウンドへバスで来て、みんなの円陣の『3、2、1、D-Rocks!』を聞いて、新鮮な気持ち。この日に向けてワクワクしていたし、自分にとっていい結果を得られた。日々切磋琢磨している仲間なので、自分の足りないところもわかったし、ジャパンの強みも、D-Rocksの強みもわかった。充実した一日。向こうは今日に向けてフォーカスしてきたので、最初はスクラムで圧を受けた。でも最後修正してうまく組めたので良かった。でも次の相手はニュージーランド。ファーストパンチを打たないと、絶対に勝てない相手なので、一発目からガチッと組めるように課題として次の宮崎キャプでFWで集中してやっていきたい」
下川は『アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024』での課題解消に余念がない。
「『PNC』を振り返っても、セットプレーからいいボールを供給していかないといけない。オールブラックス戦は『PNC』よりも精度を上げていかないといけない。小さいミスをなくしていかないといけない。最後のフィジー戦は少し焦ってペナルティしてしまったり、ひとりが焦ってコネクションを崩したりした。完ぺきなディフェンスはないかもしれないが、少し食い込まれても、ゲインされても、もう一度自分たちのディフェンスに立ち返ったり、ふたり目で修正できるようにしていきたい」
PRのふたりはスクラムについて言及した。
茂原「(1番の役割は)コネクトする、割れない、自分から押しにいかない。しっかり3番を前へ出してあげるためにHOに寄り続ける。3人でしっかりコネクトすることが大事。わかっていてもヒットの段階で外側へベクトルが向いてしまうことがあったが、今日修正できたので、もっと突き詰めていきたい。8人で同じ方向に押していきたい」
竹内「去年は1から10まで低くだったけど、今は相手に合わせた低さで組むことを大切にしている。イングランド戦やジョージア戦のように低くいき過ぎるとコラプシングを取られるので、低さを保ちながら、重い相手にしっかり組めるのが今のジャパンのスクラム。この低さでこのセットアップでこう組むと決め付けるわけではなく、相手がこう来るならこうスクラムを組もうとか考えながら、フロントローで話せている」
竹内柊平FW3人はオールブラックス戦へこのように意気込みを語った。
下川「チャレンジしたい。自分としても完ぺきな状況ではないが、毎日成長してチームのラグビーにどんな形でも貢献したい。タックルひとつでしっかり終わらせる、ボールキャリーでも一歩でも前へ出るという質の部分、精度のところを突き詰めたい。
日本代表は若くなっているので、ひとりひとりがリードしていく部分を待っていかないといけない。自分はディフェンスの部分で責任を持ってリードしていきたい。
(テストマッチである以上)もちろん結果にこだわらないといけない。でも結果ばかり追い求めても焦ってしまうので、まず練習から競争力を高めていくことが重要。その先に結果があると思う」
茂原「(オールブラックスのスクラムは)重たさもあるので、僕らが低くいって、相手のギャップを詰めて、ヒットさせないように練習している。そこで崩されると、オールブラックスのやりたいことができてしまうので、そこをさせない。パスを回させないように、僕らFWはセットピースでしっかり対応しなければならない。
(課題は)1オン1のディフェンスで止め切る。FW8人でスクラムもラインアウトもまとまる。ディティールがおろそかになると、ミスにつながるので、そこを100%できるようにやっていきたい。8人全員で勢いよくモールで押す、2列目が前3人に勢いを与えるようにフォーカスしてやっている。『バイオレントに相手に飛び込む』『やられる前にやる』というマインドセットでやっている。5m付近で笛を吹かれても、またやり直せるので、やられる前にやる」
竹内「僕らがプライドを持っているのは低さ。ニュージーランド相手にどれだけできるかワクワクしている。全員が勇気を持って戦う。一番は自分がやってきたことに自信を持つこと。セットプレーではキヤノン、D-Rocksとやって自信を得た。相手はとても強大な敵、世界的な強敵なので、自分たちを見て、超速を信じて、セットプレーを信じてやっていきたい。
セットプレーから始まるのが超速だと思っている。いいセットプレーをガチッと組んでいくことで生まれるのが超速だし、ペナルティを取って始まるのが超速だと思っている。僕の役割はスピード感のあるフィールドプレーもそうだが、セットプレーでガチッと組んで、相手にプレッシャーを掛けて、相手の足を止めて、超速ラグビーにつなげるのが僕、PRに求められる役割」
同日、CTB梶村祐介とSH小山大輝はBKキャンプでの取り込みを明かした。
梶村「最初に提示されたのが、『PNC』でのハンドリングエラーの数。その数があまりにも多くて、相手にアタックの機会を与えてしまったので自分たちのファンダメンタルスキルのレベルを引き上げるための3日間になった。
アンダープレッシャーの中でのコネクションをしっかりコミュニケーションで解消するというところに重点を置いた。シンプルなところではハンズアップ。今までと少し違う形で取り組み、違う癖を付けるように反復している」
小山「スキル面のところ、ハンドリングエラーでボールをロストするとティア1のチームには勝てないので、そこを意識して今練習している。個人のスキルの要因も多いが、プレッシャーの中で精度高くできるかがまだ成長途中だと思う。
経験することも必要だし、自分たちが意識高く、お互い練習中にプレッシャーを掛け合うこともすごく大事になってくるので、エディーさんもそう話している。今回のBKのテーマでもある」
梶村と小山はエディージャパンでの手応えをこう振り返った。
梶村「久々のエディージャパンであり、日本代表の試合というのもすごい久々だったので、『PNC』準決勝、決勝と時間は限られていたが、その中で自分としてはインパクトを残そうと思ってプレーしたので、感触としては悪くなかったと思っている。エディー(・ジョーンズ)さんと話した感想は、あまり大きく変わっていないので、緊張感もありながら、チーム全体でピリピリした感じがあるのはすごくいいことだなと思っている。
アタックのイメージを結構持たれていたと思うが、ディフェンスの部分の変化を感じてもらえていると思う」
小山「ジャパンに来てやっぱりパスの精度はより一層大事だとすごく勉強させてもらっている。捌く時のラックへの入り方とか。これまではラックができる前に早く寄ってきたが、ラックができてボールをちょうど見えるぐらいのタイミンで入っていくと捌きやすいので、意識しながらやっている。
(ジョーンズHCからの要求は)厳しい。SHが主導してやっていかないといけないところもあるので、結構厳しく言われている。シェイプにも慣れてきましたし、自分たちのチームとは走り込んだり違うパターンもあるが、ちょっとずつ慣れてきたと思う」
梶村は自身の強みをこのように分析した。
「このチームの中ではそんなに若い選手ではないので、特に意識しているのはもらえた1回のチャンスの中でコリジョンエリアのインパクトをしっかり残すこと。ボールキャリーは自信があるのでそこは必ず成果を残したい。あとディフェンスは絶対ドミネイトを狙うというのを自分の中でターゲットにしている。そこは今の自分の成長をしっかり試合の中で成果として出していきたい。
ボールキャリーは自分の一番の強みなので、今季ディフェンスが良くなったとはいえ強みは変わらないと思っているので、しっかりとアピールしていきたい。
ディフェンスは結構間合いを詰めたいタイプなので、できるだけ相手に接近した状態でタックルをしているが、日本代表は外側にプッシュしていくシステムなので、そこは結構最初戸惑いはあった。フィジー戦のゲームウィークの練習で修正しながらやってきた」
小山は次のように超速ラグビーへリードしようとしている。
「強みは早いテンポでディフェンスを置き去りにすることだと思うが、ハンドリングエラーとかでボールを失うとナショナルチーム相手だと一気にトライを取られてしまう。ハンドリングエラーを減らしていけば、すごくいいラグビーになっていくと思う。
コーチ陣からは『できるだけボールを動かしたい、止めたくない』と言われていて、止めるとフィジカルで結構やられてしまう。できるだけ早く捌きながら、押し戻されたり、ファンブルが起きた時は1回コントロールして、キックを蹴るのか、もう1回攻めるのか、SHと10番で判断している。相手のセットができない状態でできるだけ捌きたいというイメージ」
オールブラックス戦へ向けて、BKのふたりは抱負をこう語った。
梶村「(2018年の試合は)社会人1年目で、確かに勢いはあったが、テストマッチレベルでプレーできる自信というのはあまりなく、課題があるから出れないと自分でも理解していた。当時は悔しいより、ツアーの中でキャップを得る機会がほしいとは思っていた。
今季はリーグワンでもずっと長いシーズンを戦ってきて、オールブラックス戦に出れるだけのパフォーマンスは残してきたと自分でも思っている。まずチーム内競争に勝たないといけないし、実際今は調子のいいCTB陣がふたり並んでいるので、そこに食い込むためにも練習でも『これくらいでいいや』ではなく、持てる力を全て発揮することが大事だと思っている。出たらやれる自信は今はある」
小山「オールブラックスはカウンターアタックがすごく得意なチームだと思う。ラックを作らなくてもトライを取り切れるチーム。ディフェンスの整備、アタックからディフェンスに変わった時の切り返しの意識がすごく大事になってくると思う」
小山大輝(C)スエイシナオヨシ10月16日よりFWが宮崎合宿へ合流し、全体練習を開始。あと10日足らずで日本代表はどれだけ仕上げていくことができるのか。『リポビタンDチャレンジカップ2024』日本代表×オールブラックスは10月26日(土)・日産スタジアムにてキックオフ。チケット発売中。
取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)
リポビタンDチャレンジカップ2024のチケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2453943