長塚京三が12年ぶりの映画主演を務め、吉田大八監督(「桐島、部活やめるってよ」「騙し絵の牙」)が筒井康隆氏の小説を映画化する「敵」のポスタービジュアル、予告編が公開された。
物語の主人公は渡辺儀助、77歳。大学教授の職を辞して10年、妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋で暮らしている。自分で料理を作り、晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けないわずかな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金があと何年持つか、すなわち自身があと何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって、日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。だがそんなある日、書斎のiMacの画面に「敵がやって来る」という不穏なメッセージが流れてくる。
長塚が、渡辺儀助を演じ、人生の最期に向かって生きる人間の恐怖と喜び、おかしみを同時に表現する。清楚にして妖艶な魅力をもつ大学の教え子には瀧内公美、亡くなってなお儀助の心を支配する妻役には黒沢あすか、バーで出会い儀助を翻弄する謎めいた大学生には河合優実。そのほか松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩ら実力派俳優陣が脇を固める。
予告編では、妻に先立たれて20年間、ひとり余生を過ごす儀助の様子が映し出される。自由で堅実な生活を送りながら「残高に見合わない長生きは悲惨だから」と話し、自ら定めたXデー(来たるべき日)に向けて淡々と人生を生きる儀助のもとに、ある日突然、“敵”が訪れる。不穏な音楽と共に映し出される、儀助の周囲の人々や亡くなったはずの妻・信子、そして皆が口々に言う “敵”。逃げ惑う儀助、そして繰り広げられる激しい銃撃戦。穏やかな日常や現実を脅かす“敵”の正体が気になる映像となっており、ポスタービジュアルは、真剣な表情と恍惚とした表情をみせる儀助の姿をとらえ「私そんな先生がみたかったんです」という意味深なコピーが添えられている。
「敵」は、2025年1月17日、東京・テアトル新宿ほか全国で公開。また本作は、第37回東京国際映画祭(会期:10/28-11/6)、コンペティション部門の正式出品が決定し、本映画祭でワールドプレミア上映を迎える。ムビチケ前売券(オンライン)は10月25日から発売。
【作品情報】
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