河村勇輝は「アメリカのバスケに慣れることが優先事項」NBAグリズリーズの番記者が占う今季

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河村勇輝は「アメリカのバスケに慣れることが優先事項」NBAグリズリーズの番記者が占う今季

10月16日(水) 7:25

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河村勇輝のNBA挑戦1年目は、まずはGリーグで腕を磨くことが予想されるphoto by Getty Images

河村勇輝のNBA挑戦1年目は、まずはGリーグで腕を磨くことが予想されるphoto by Getty Images





メンフィス・グリズリーズと無保証のエグジビット10契約を結んだ河村勇輝(23歳)がまずは順調な形でNBAへの挑戦をスタートさせている。横浜ビー・コルセアーズ、日本代表の司令塔として活躍して来たポイントガードは、世界最高のバスケットボールリーグでもプレシーズン4戦に出場。ここまで平均16.9分のプレーで4.3得点、4.8アシストとまずまずの数字を残してきた。ノールックパスを頻繁に繰り出すプレースタイルは魅力たっぷりで、実際のインパクトはスタッツが示す以上という印象もある。

そんな河村のリアルな現状を知るため、地元紙『メンフィス・コマーシャル・アピール』のグリズリーズ番記者、ダマイケル・コール氏に意見を求めた。

まもなく開幕する今季のグリズリーズの展望は?河村自身が向かうべき方向性とは?地元記者の言葉からは、チームが何を期待して河村を獲得したかも見えてくる。

【チームの目標はウェスタン5〜6位】昨シーズンは故障者続出で厳しいシーズンを過ごしたグリズリーズですが、主力が復帰してきた今シーズンは再び多くのタレントを誇るチームに戻った印象があります。

ジャ・モラント、デズモンド・ベーン、ジャレン・ジャクソンJr.というトリオは非常に才能に恵まれた中軸選手。マーカス・スマートはディフェンスとリーダーシップに秀でたベテランであり、ルーキーのザック・イディーも将来が楽しみな有望株です。ベンチにも得点力、守備力、シュート力のある選手がおり、層の厚さは悪くはありません。

今季はタイラー・ジェンキンスHCの指導下でまた新しいオフェンスのスタイルを導入しようとしており、それが定着するには少し時間はかかるのかもしれません。まだ途上におり、シーズンを通じて仕上げていくことになるのでしょう。それらが目論みどおりにいけば、いいシーズンを過ごせるのではないかと考えます。

現実的なレギュラーシーズンの目標はウェスタン・カンファレンスの5、6位くらいで、そこからポストシーズンに進んでどれだけ先に進めるかが勝負。レギュラーシーズン7〜10位のチームがポストシーズン進出をかけて戦うプレイイン・トーナメントではなく、ウェスタンのトップ6に入るくらいの戦力はあると見ています。

ポストシーズンでももちろん上位進出を目指して戦うのでしょうが、具体的には2シーズン前には果たせなかったプレーオフ第2ラウンド進出が現実的な目標になるのではないかと、現時点では考えています。

【Gリーグで馴染むことが最優先事項】そんなチームからエグジビット10契約を受け取ったユウキが今季、どんなシーズンを過ごすことになるかはまだわかりません。

ここで予想しておくと、やはりまずは(マイナーリーグに当たる)Gリーグに送られ、グリズリーズ傘下のハッスルの選手として育成されることになるのでしょう。

ジョン・コンチャー、ジェイク・ラレビア、サンティ・アルダマ、スコッティ・ピッペンJr.といった選手たちもGリーグのメンフィス・ハッスルで多くの時間を過ごし、今ではグリズリーズで戦力として考えられるようになりました。ほかにも同じようなプロセスを辿った選手はたくさんおり、グリズリーズは選手育成に自信を持っています。

ユウキも同じようにGリーグのハッスルで腕を磨き、周囲の向上も助けることになると思います。その上で、シーズン中にでもグリズリーズ、あるいは他のNBA29チームからコールアップされるのを待つことになるのではないでしょうか。

現在、グリズリーズの3つのツーウェイ契約枠(NBAとGリーグを行き来できる契約の選手枠)は埋まっていますが、もしもピッペンJrが本契約に格上げされた場合、ツーウェイ契約に空きができます。そうなった際にはユウキにツーウェイ契約が与えられても不思議ではありません。その場合、グリズリーズでのNBAデビューは早まるはずです。

もっとも、たとえツーウェイ契約選手になったとしても、今季のユウキは多くの時間をGリーグで過ごすことになるという見方に変わりはありません。例えばモラントが故障するか、ハードスケジュールのなかで休養する時など、ユウキにも少なからずのプレー時間が与えられるゲームもあるかもしれません。それでも、まずはGリーグで長い時間をプレーし、アメリカのバスケに慣れることが最優先課題になるのではないでしょうか。

ユウキがこれから先もグリズリーズ傘下の組織に残るとして、将来的なベストのシナリオは、控えのプレーメイカーとしてのポジションを確立することでしょう。

これまでのチームは得点源のジャ・モラント、そのバックアップを務めていた選手がコートを出ると、オフェンスが停滞してしまうことが頻繁にありました。ジョン・コンチャーは堅実なロールプレーヤーですが、ポイントガードの役割を務めた際のプレーには限界が感じられました。

その点、ユウキは違います。自身が多くの得点を挙げるわけではないにしても、コート上の選手たちを得点に巻き込み、イージースコアリングの機会を生み出すことができる優れたプレーメイカーです。ユウキがそんな存在になっていければ、グリズリーズにとっては大きなことであり、さらにいいチームになるための助けになるはずです。

アメリカでの日々はまだ始まったばかり。ユウキの適応とキャリアの推移を今後、私もしっかりと見守っていきたいと思います。

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