杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
10月13日(日)の放送テーマは、「自ら提案できる未来のルール! 製品やサービスの標準化」。ゲストに経済産業省 イノベーション・環境局 基準認証調査広報室の小嶋誠さんをお迎えして、製品やサービスを「標準化」するメリットや標準化を支援する取り組みについて伺いました。
(左から)杉浦太陽、小嶋誠さん、村上佳菜子
◆身の回りにも“標準化”された物が!?
「標準化」とは、製品やサービスを“標準”という一定のルールに従ってみんなが共通して利用できたり、便利になったりすることです。例えば、乾電池はメーカー問わず共通の大きさで、電池を必要とする時計やリモコンも、セットできるように設計されています。シャンプーのボトルも、側面やフタの部分にギザギザ状の「きざみ」がついていることが多いですが、リンスのボトルにはついていません。これは、触っただけでどちらかを判別できるためのものです。
このように、互換性のためだけでなく、ある決め事に基づいて統一したデザインを取り入れることで、高齢者や障害を持つ人も含めて誰でも使えるようにすることも“標準化”の取り組みで、こうしたデザインを「アクセシブル・デザイン」と言います。このほかにも、標準化は品質や安全性の確保、環境保護などの目的で設けられているものもあります。
日本の標準を示す「JIS(Japanese Industrial Standards)」は、日本語では「日本産業規格」と言い、製品やサービスに関する日本の国家規格です。ちなみに、標準と規格はほぼ同じ意味です。
JISではさまざまな製品の形状や寸法、品質などを定めており、JISマークが表示されている製品は、JISに定められている寸法に合った品質水準を満たしている証になります。
同様に、世界には国際標準化機関が定める世界的な標準があり、これを「国際規格」と言います。「アルファベットで“ISO”と表記されているもので、ご存知の方も多いと思います」と小嶋さん。非常口マーク、音楽CD、QRコードは、実は日本から提案して国際規格になった代表的なものです。また近年では“コールドチェーン物流”も国際規格になっており、日本で生まれた技術や製品、デザイン、サービスが世界の標準になって世界中で使用されるケースがあります。
標準化することは、消費者と企業双方にメリットがあります。例えば、ライターは子どもが触っても簡単に火がつかないように回しづらくなっていたり、ロックスイッチがついているものが多く流通するようになります。「安全性の基準を設けることで、消費者は製品を選びやすくなりますし、消費者の安心・安全にも役立ちます」と解説します。
これまで存在しなかった新しい技術や優れた製品・サービスを開発した際、それがいかに素晴らしいものか、取引先や消費者に説明して理解してもらうのは大変です。そんなときにJISの基準を満たすことができれば、製品の品質や性能を客観的に示すことができます。
また、その規格を普及させて利用者を増やせば、相乗効果でマーケット自体が拡大したり、新たなマーケットをつくりだす可能性もあります。標準化は、新商品が売れるようにしたり、製品のマーケットを作る際にも有用と言えます。
◆標準化を検討する企業を無料でサポート
国は、新しい技術や優れた製品・サービスを開発した際、自ら標準化を提案し、そのルールづくりに向けて主体的に動いていくことを推奨しています。JISは業界団体などが原案を作成し、産業標準化法に基づいて担当大臣によって制定されます。しかし、新しい技術や優れた製品であるため、既存の団体では対応できない場合などに、自ら提案して標準化をすすめることも可能です。
一方、日本では“標準は与えられるもの、従うもの”と考えている人が多く、企業における標準化活動の優先順位は、総じて低い現状があります。また、標準化の重要性を理解していても、経験や人材不足により十分な取り組みができていない企業もあります。
そこで、経済産業省では標準化の推進を図るべく支援策をいくつか設けています。その1つが「標準化活用支援パートナーシップ制度」です。これは「いい技術やいい商品があるのに、その良さを顧客に認めてもらえない」という経営課題のある企業が、無料で相談できるように整備された制度です。自治体や金融機関、大学・研究機関などの全国各地のパートナー機関と一般財団法人「日本規格協会」が、セミナーや個別面談において標準化の戦略的活用に関する情報提供やアドバイスなどをおこないます。
また、標準化するべき案件については、日本規格協会が支援対象企業の標準の策定支援をおこないます。なお、日本規格協会は工業所有権情報・研修館と連携しており、標準化に加えて知的財産の有効な活用や戦略立案の支援も受けることができます。「標準化活用支援パートナーシップ制度」については、
経済産業省のホームページ
をご確認ください。
さらには、消費者の声によって標準化が進むケースも。先ほど紹介したシャンプーのギザギザの「きざみ」は消費者の声から標準化されました。また、牛乳パックの上の部分にある「切欠き」と呼ばれるへこみは、目の不自由な方々がさわっただけで牛乳と分かるようにつけられたものです。
視覚障害者が「日常の食生活で、同じ形の紙パックの中身が分からないことに不便を感じている」という調査結果を受けて、業界団体や行政、個人が協力して検討し、標準化されました。一般消費者からのご意見やご要望は、産業省ホームページの
「標準化ご意見窓口」
などで受け付けています。
最後に小嶋さんは「10月14日は世界標準の日で、日本では毎年10月を『産業標準化推進月間』とし、経済産業省では、さまざまな場面で標準化の重要性や活用方法、支援策などを紹介しています。製品にご意見ご要望がある方は、ぜひ、その声をお聞かせください。また、新しい技術や優れた製品をお持ちの企業の皆さまは、標準化について理解を深めていただき、世界を動かす未来のルールメイカーを目指しましょう」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「製品やサービスの標準化」について復習。2人が特に注目したポイントをピックアップして発表します。村上は標準化に向けたアクションの重要性を挙げ、「企業の方もそうだし、一般消費者の方も提案できるのは知りませんでした。“標準化しませんか?”と改めて呼びかけてみようかなと思いました」とコメント。
続いて、杉浦は“意外と身近にあります。標準化”とポイントを挙げ、「今回、標準化されていることを知らなかった物も多かったので、ちょっと目の向け方を変えると“これも標準化されているのか!”という発見がありました」と話していました。
(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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10月13日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年10月21日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/manabiyori/