『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリスマスが日本にやってくる!完全再現に携わった映画制作スタッフたちが、制作秘話を大公開

ハリーがホグワーツで初めて体験する、思い出のクリスマス/Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリスマスが日本にやってくる!完全再現に携わった映画制作スタッフたちが、制作秘話を大公開

10月14日(月) 12:30

今年、開業1周年を迎えた「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京– メイキング・オブ・ハリー・ポッター」で、クリスマスシーズン限定の特別企画「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」が、11月9日(土)~2025年1月5日(日)までの期間限定で開催される。 スタジオツアー東京は、映画「ハリー・ポッター」や「ファンタスティック・ビースト」シリーズの舞台裏に迫りながら、まるで魔法の世界に入り込んだような没入体験ができる人気の施設。
【写真を見る】ピエール・ボハナの工房を初お披露目!想像よりアットホームな雰囲気

スタジオツアーロンドンで最も人気の特別展示が、ついに東京へやってくる!

今回開催される「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」は、スタジオツアー東京ではオープン以来初めてとなる特別展示で、イギリスにある「スタジオツアーロンドン」で最も人気があるイベント。シリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)で、ハリーがホグワーツに入学して初めて体験するクリスマスが完全に再現される。クリスマス仕様に彩られたホグワーツ魔法魔術学校の「大広間」に並べられたごちそうの数々や大きなクリスマスツリー、雪化粧をまとった幻想的なホグワーツ城の模型など、魔法に満ちたクリスマスをスタジオツアー東京で体験することができるのだ。
「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」は映画制作に携わったスタッフたちによって手作りで再現されるというので、『ハリー・ポッターと賢者の石』の世界に入り込んだような気分を味わえることまちがいなし。この機会にぜひ訪れて、ファンタスティックな思い出を作ってほしい!

 『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)のクリスマスが完全再現される

今回MOVIE WALKER PRESSでは、「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」はもちろん、「ハリー・ポッター」「ファンタスティック・ビースト」の映画シリーズで美術・装飾を手掛けてきた、小道具制作のヘッドを務めるピエール・ボハナと、セット・デコレーターのロージー・グッドウィンを直撃!日本のメディアに初披露となるイギリスの工房にも潜入し、めったに見ることのできない小道具の制作現場や、映画セットの装飾や小道具が生み出される裏話などを大公開する。

■「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」の小道具を制作している工房に、日本初潜入!
 【写真を見る】ピエール・ボハナの工房を初お披露目!想像よりアットホームな雰囲気


まずは『バービー』(23)や「バットマン」シリーズ、「スター・ウォーズ」作品など、数々のハリウッド超大作の小道具を手掛ける、ピエール・ボハナに話を聞きにイギリスのオックスフォードを訪問。ボハナの工房は、蜂蜜色の家々が佇む自然豊かな場所にあった。工房を訪れると、ボハナとスタッフが笑顔で出迎えてくれた。さっそく中に入らせてもらうと、七面鳥やケーキ、雪だるま、金のオーナメントなど、クリスマスの小道具が目の前にたくさん!全部で約12種類のアイテムを、約840個ほど制作している真っただなかだった。

“小道具の魔術師”ピエール・ボハナ!とても気さくで、イギリスの紅茶を何度も薦めてくれた

ボハナに話を聞くと「2024年の初めに『ホグワーツ・イン・ザ・スノー』のプロジェクトについて話し合いが始まりました。小道具の制作期間はおよそ3か月です。制作した小道具は船のコンテナに積んで日本へ出荷します。税関を通って日本に到着するまでには3~4か月ほどかかるので、実はあまり時間がないのです(笑)」と、実は鋭意制作中のタイミングだったようだ。小道具や必要な部品はすべてイギリスで制作し、日本に到着してから組み立てや装飾作業を行うそうだ。

■映画オリジナルのクリスマスシーンを完全に再現!
ハリーがホグワーツで初めて体験する、思い出のクリスマス


今回の展示では『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリスマスを完全再現するために、素材やディテールにかなりこだわっていると明かすボハナ。「私たちは映画オリジナルとまったく同じように復元することを念頭において制作しています。可能な限り、映画制作時の職人を起用して、素材や工程もすべて同じやり方で、オリジナルに近づけています」と、スタッフたちが一つ一つ手作業で丁寧に作り上げていると話す。

雪だるまたちがケーキの上でスキーや雪合戦…!表情やポーズに注目

実際に制作中のアイテムを間近で見せてもらうと、クリスマスケーキの上に飾られる雪だるまたちは退屈そうな者や、後ろを振り返っている者など、1体ずつキャラクターが違っている。大皿に盛り付けられたグリーンピースも、リアリティをだすために一粒ずつサイズや形が工夫され、まさに職人技!ツリーのてっぺんに飾る星は「実際に完成形を見る際はツリー全体を見るものなので、出来栄えの確認は少し離れたところからチェックします」と、プロのこだわりを知ることができた。

箒に跨る魔女は、クリスマスツリーの上を飛び回るそう

オリジナルに近づけるために、どのように制作を進めていったのだろうか?「私の記憶力は酷いので…(笑)最初にリストを作って、それぞれのアイテムを作るためになにが必要かを考えました。小道具の作り方や現物はワーナー ブラザースに保管されているので、以前に作ったツールや型など、すべてを参考にしています」と、シリーズ作品だからこそ積み上げられてきた知識やアーカイブを活用することで、「ハリー・ポッター」の世界感を再現することができるようだ。

■『ハリー・ポッターと賢者の石』のごちそうがきっかけだった…!?
「とてもおもしろい撮影秘話の一つは、映画に何度か登場するごちそうのシーンです」と、ボハナが笑いながら話してくれた


食品サンプルを作るきっかけとなったのは、なんと1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』の途中からだったという。「500人もの子役と俳優陣が大広間に集まる大規模な宴のシーンでは、ケータリングを使って本物の食べ物が使われました。食べ物を用いての撮影期間はおよそ3週間行われる予定だったのですが、1週目が終わるころにその判断が間違っていたことに気づきました。セットのにおいがあまりにも酷かったからです。大きな七面鳥を何度も並べては、温め直してまた持ってくるということを繰り返していたので、学校の給食のキッチンのようなにおいだったのです」と、ボハナは笑いながら、驚きのエピソードを明かしてくれた。そんな経験があり、ボハナたちは食品サンプルも作るように依頼された経緯があったようだ。

「これは本物のポテトではないですよ(笑)」と、美味しそうに見せる秘訣を教えてくれたボハナ

ズバリ、ごちそうのレプリカを美味しそうに作る秘訣を聞いてみると、「すべてを少し湿った感じに見せることです。このローストポテトは、動かせるポテトも作ってリアルに見せています。とはいえ、日本の食品サンプルはすばらしい出来ですから、食品サンプルを作るのはなかなか気が引けるものです。日本の皆さんの水準の半分でいいから達成できていることを願うばかりです」と教えてくれた。

今回ボハナの工房を訪れて、「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」ではあのワクワクに満ちたクリスマスが完全に再現されることがよくわかった。取材したタイミングでは制作中のものが多かったが、スタジオツアー東京で完成形を見られるのがとても楽しみだ!

■「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」のプロジェクトを率いるロージー・グッドウィン
ロージー・グッドウィンは、「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」の監督のような役割を担っている


続いて、「ハリー・ポッター」シリーズやスタジオツアーのセット・デコレーターを担当しているロージー・グッドウィンに会いに、スタジオツアーロンドンに行ってきた。
セット・デコレーターとは、映画セットの専門家のことで、家具や室内装飾、小道具、衣装、照明など、セットとして使われるすべてを把握し、飾り付けを行う重要な役割。ボハナが小道具を手作りする役割なのに対して、グッドウィンはもう少し幅広い視野で全体を把握し、手作りが必要なもの、購入するもの、専門業者に依頼するものを判断して、最終的にそれぞれのパーツを組み合わせて装飾を行う。「ハリー・ポッター」の世界感を作りあげるために重要な役割を担っている人物だ。

“三大魔法学校対抗試合”が行なわれた、シリーズ第5作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)

彼女のキャリアは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)から始まったという。「大学を卒業したばかりで、映画業界のことや『ハリー・ポッター』についてはなにも知りませんでしたが、小道具作りにはとても興味がありました。履歴書を送ったところ、三大魔法学校対抗試合のバナー制作を頼まれ、それをきっかけに、シリーズ全作を手掛けるセット・デコレーターのステファニー・マクミランと出会い、仕事をオファーしてもらいました」と、驚きの経歴を教えてくれた。

■「セット装飾で興味深いのは、完成図をわかっている訳ではないということ」
巨大なセット装飾で重要なのは、スケール感と全体のバランスだという


『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』以来、様々な経験を積み、「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」では監督のような役割を任されている彼女だが、セット装飾で一番興味深いのは、実際に飾ってみないとわからないことだという。「自分の頭の中で描いているだけで、大きさはどうするか、何個いるのか、何色にすべきかなど、毎日、膨大な数の判断を下すのですが、実際にセットに配置してみないとわからないことも多い。自分自身を信じることが大切です」と話す。特に「ハリー・ポッター」のセットは、常にスケールを考慮する必要があるそうで、「セットは巨大なので、大きすぎても小さすぎてもいけません。うまく全体のバランスをとる必要があります。実際に大広間に家具を配置してみたら『あのテーブルは小さすぎる…』と思ったこともあります。そういうことがあるからこそ、代替策をいくつか持っておくようにしています。時にはわずか2mmの差で調整することもあるんですよ(笑)」。

■「誇張することによって、魔法的に見せるのです」
思わずよだれが…!おいしそうなごちそうがズラリ


「ハリー・ポッター」のあの魔法らしさは、一体どの様に生み出されてきたのだろうか?「実在するアイテムに異なる要素を組み合わせることで、独創性あふれるものを作ります。アンティーク・フェアやマーケット、オークションで家具をたくさん購入し、それらを誇張することによって、魔法的に見せるのです。ブラック家用に四柱式ベッドを購入した時は、高さを2倍にしてとても長くしました。クリスマス料理もそうです。通常のサイズよりもかなり大きく、量も多くなっています。それこそがホグワーツの魔法的なところで、すべてが温かくほっこりしていて、特別感があります」と、魔法らしさを作り上げるために、膨大な量のリサーチとインスピレーションを大切にしていることも教えてくれた。

オーナメントがきらめく大きなクリスマスツリー

映画では一瞬しか映らない装飾やアイテムも、スタジオツアー東京では細部までじっくり見ることができる。「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」で特に見てほしいおすすめポイントを聞いてみると、「クラッカーやプレゼントがとても可愛いと思います。映画制作時にクラッカーを作った時に、実は中におもちゃが入っていてカサカサと音がしていました。実際に手にとった時に心に響くなにかがある。ささやかなディテールではあるけれど、ステキなものだと思うのです。『このプレゼントの中にはなにが入っているのだろう?』と、少し想像してもらう機会を提供することも大事だと思っています」と、見るだけでは気づかない、ワクワクするような体験も再現されているようだ。

細部までこだわって小道具を作りだすボハナと、すべての要素をバランスよく組み合わせて魔法ワールドの世界観を生みだすグッドウィン。プロたちの力が集結することで、「ハリー・ポッター」の世界がよりリアルに演出されてきたことがわかった。そんなチームが完全再現する「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」は期待しかない。日本で初開催となるこの貴重な機会を逃さずに、ぜひスタジオツアー東京に足を運んでほしい!

取材・文/編集部



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