10月13日(日) 6:00
9月19日に配信が始まって以来、大絶賛されているNetflixシリーズ『極悪女王』。’80年代に日本に女子プロ旋風を巻き起こした稀代の悪役レスラー・ダンプ松本の半生を描いた同作は、ダンプ松本役にゆりやんレトリィバァ(33)、ライオネス飛鳥役に剛力彩芽(32)、長与千種役に唐田えりか(27)が起用され、その迫真の演技やプロレスシーンに注目が集まっている。
そんな注目作品で”全試合シーン”に立ち会うリングアナウンサー役に大抜擢されたのは、”売れない芸人”の神宮寺しし丸(48)。後編では、Netflixドラマの舞台裏を明かしてくれた。
■撮影の前には「パワハラ・セクハラ研修」が実施された
長期に及ぶ撮影は’22年の夏から始まったという。
「外資だから現場でのパワハラ・セクハラにすごく厳しくて、撮影前にまずは”リスペクトトレーニング”という講習会から始まるんです。演者もスタッフもみんな参加して、”こういうこともパワハラ・セクハラになりますよ”みたいな。だから、僕が普段合コンとかで女の子に言ってたことは”全部セクハラだったんだ……”って。合コンのみんな、ごめんなさい」
撮影の合間は和気藹々とした雰囲気だったという。
「僕、一応芸人なんですけど、芸歴でいったらゆりやんは後輩なんですよ。昔、テレビ番組のひな壇で1度一緒になってるんですが、ゆりやんは僕のこと全然覚えてなかった(笑)。でも、ゆりやんとクレーン・ユウ役のマリー・マリーのえびちゃんは芸人同士だから話しやすかったですね。
めちゃくちゃいじってくれて助かりました。僕が現場入ると『すいません、ここ関係者の人しか入れないんで』って毎回言われて、『いやいや、僕がリングアナの……』『いや、ちょっと見たことないんで』みたいなくだりをもうね、30回以上やってます(笑)唐田さんまで『そこ座らないでもらっていいですか?リングアナの方が座るんで』って。めちゃくちゃ仲良くしてくれてありがたかったですね」
座長のゆりやんや唐田、剛力は毎回のように現場に差し入れを持ってきていたというが、神宮寺は差し入れが何だったのかハッキリ思い出せないという。
「なぜかというと、ここがNetflixのすごさなんですけど、ケータリング専用部隊がいるんですよ。普通だったらチョコレートとかがちょっと置いてあるくらいのところ、Netflixではキッチンカーみたいな”ケータリング号”があって、ありとあらゆる食べ物があるんです。
駄菓子屋さんみたいにいろんな種類のお菓子がブワーっと並んでて、おにぎりとかバナナとか、ジュースだって何種類あるんだっていうくらい。そこに差し入れも並ぶので、記憶に残りにくいんですけど、食費が浮いてめちゃくちゃ助かりました。女優さんたちも太らないといけないから、体型維持のために結構食べてましたね」
女優陣の体作りはかなり過酷そうだったという。
「剛力さんは食べても太りにくい体質らしく、『体重を増やすのが大変だった』って言ってましたね。あと、途中でゆりやんの怪我で撮影が半年くらいストップしたんですが、その期間に女優さんたちは一度元の体型に戻して他の仕事をやって、また半年後に体を作り直してたんですよ。体づくりに関してはかなり過酷だったと思います」
■ゆりやんは現場でも”ボケまくり”
撮影が終わって半年以上経った9月には、後楽園ホールで配信記念イベントが開かれたが、女優らの変わりようには度肝を抜かれたという。
「そのときに改めて女優さんたちが集まったんですが、みんな全然別人なんですよ。こんな言い方もあれですけど、”こんな綺麗な人たちだったんだ”って思いました。撮影期間中は女子レスラーという目で見てたけど、みんな女優さんに変わってた。撮影中の体と配信直前イベントでの体の違いを見ただけでも、どんだけすげえことやってるかわかると思います」
配信記念イベントでのゆりやんのマイクパフォーマンスは、ダンプ松本本人が涙を流すほどだったという。
「いいプロレスラーになればなるほど、 マイクパフォーマンスのときに観客がブワーって湧くような、鳥肌が立つようなマイクをやるんですけど、ゆりやんのマイクが本当に鳥肌立つぐらい良くて。本物のプロレスラーのマイクなんですよ。
本当にゆりやんにはダンプ松本が乗り移ってるんだなと思いました。マイクを聞いた時に、この人じゃなきゃダンプ松本さんできなかったんだろうな、もう本当にプロレスラーだなって思いましたね」
現場ではダンプ松本が「娘のように可愛がっていた」というゆりやん。その素顔はずっと芸人だったという。
「ゆりやんは、カメラが回っていないときはずっとボケまくるし、やっぱり芸人でしたよ。それでいて、本番中は稀代のスーパーヒールレスラーを演じ切るすごさとかを見ると、事務所の枠を超えて今後もずっと付いて行きたい芸人さんですね」
■気になるNetflixのギャラ事情は?
同作は、9月19日に世界独占配信が始まって以降、3週連続で日本の「今日のTV番組TOP10」の1位を独走する大ヒットを記録している。Netflixの大ヒット作に出演して神宮寺の人生は変わったのだろうか。
「今のところリングアナの仕事が1個来ただけです。僕が芸人だってことをみんな知らないのかもしれない(笑)。
でも、僕、”お花くん”ってキャラもやってるので、オーディションの時点では花屋でもバイトしてたんですが、Netflixさんのおかげもあって、50歳を前についにバイトを辞められました」
バイトが辞められるくらいということで、気になるのは”Netflixのギャラ”だがーー。
「会う人会う人に必ず聞かれるんですけど、僕としてはめちゃくちゃありがたい金額をもらいましたが、みんなが想像する”普通の100倍”みたいなのは、”Netflixのギャラ”が都市伝説化してると思います(笑)。
でも、この仕事がきっかけでリングアナの仕事や役者の仕事も増えたら嬉しいですね。次に
繋がっていかないとまたバイトをしなきゃいけなくなるので。バイト再開だけはちょっと、本当にもう50歳なんで……」
舞台裏を聞いてから同作のプロレスシーンを観ると、全く違って見えてくるから面白い。まだ観ていない人も観た人も、必見だ!