【第1話】から読む。
前回からの続き。私は長男ヨウイチ・長女カエデ・次女ユリエの3人を育てあげました。今やそれぞれが結婚して元気に過ごしてくれているので、親としてはとても幸せです。そんななか次女ユリエが出産。初孫の誕生、私は嬉しくてたまりません。しかも生まれた男の子は、なんと小さいころの長男ヨウイチにそっくりだったのです。「あの日のヨウイチがここにいる……」孫のオースケ君を見るたび、私は喜びと懐かしさでいっぱいになりました。
当然ながら私の育児はとうの昔に終わっていて、幼いわが子にはビデオや写真越しにしか会うことができません。私は嬉しくなって、いつも「お兄ちゃんにソックリね」と言っていました。しかしその言葉は子どもたちを傷つけていたのです。
子どもたちが帰っていったあと、夫と2人で久しぶりに昔のビデオを見ることにしました。古いビデオテープに残された子どもたちの懐かしい姿を見ながら、思い出話が尽きません。夫に優しく子育てをねぎらわれて、少しだけ涙腺が緩みます。
「孫が長男に似ている!」と大はしゃぎしていた私。しかしその言動がユリエやヨウイチを傷つけたことにはまったく気づいていませんでした。カエデから「デリカシーがない!」と注意されて、ようやく自分の言動を見直したのです。考えなしに発言をしていたことを今は反省しています。
けれどそんなふうにしっかりとした考えをもてるようになった子どもたちを、どこか頼もしくも感じました。子どもが小さかったころの思い出は、これからもどんどん過去へと遠ざかっていきます。しかし遠くなっていく分、思い出としてより深くなっていくものなのかもしれません。これからも子どもたちや孫と良い関係を築いていきたいです。
原案・編集部脚本・motte作画・マメ美編集・井伊テレ子
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