元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半が経過したところで引退を決意し、現在は同人作品やセクシービデオの脚本など、あらゆる方面で活躍中。
セクシー女優の平均寿命は?
人気商売に従事する人間の大半が短命で、寿命を引き延ばすにはそれ相応の努力が必要になる。セクシー女優も、常に受け身でオファーが来る日を待ち続け、何もかもプロダクション任せになってしまうと……あっという間にロウソクの日が消えてしまうだろう。
最近では複雑な事情が絡み合い、さらに女優人生が短命になったと聞く。その理由について深掘りしてみると、女優たちにとっての“厳しい現実”が浮かび上がってきた。
まずはセクシー女優の寿命についてだが、ここ最近はデビュー後3年くらいで引退するケースが多い。本人が限界を感じるだけではなく、人気を継続することが難しいからこそ、「もって3年」といったところだろう。
最近はAV新法が導入されたことで業界全体でリリースの本数が減ってしまったため、今現在、彼女たちは限られた中でオファーの奪い合いをしている状況だ。これこそ、延命が困難になった大きな理由である。
思うように仕事が続かないと1年程度で業界を去るハメになるし、デビュー時からパッとしなければ1年ももたない。早い人だと半年でサッサと見切りをつけてしまう例も、今はしょっちゅう耳にするくらいだ。
大きな収入が入るのを夢見て業界入りしても、今は「セクシー女優ドリーム」を掴めるのはほんの一握り。根性を出して居残るより、別の方面で稼いだ方が早いと考える女性も増え、延命のために奮闘する人そのものが減っているのかもしれない。
寿命が短くなった原因は新法だけじゃない
ここ数年の業界の変化について、何でもかんでも新法のせいにしがちだが、実は違う。セクシー女優志望者が後を絶たず、ルックスレベルが上がり過ぎた結果、メーカーが求める理想像が爆上がりしたことも理由のひとつ。ユーザーは可愛い子が多いと喜ぶけど、業界人的にはなんとなくやりづらくなってしまった。
昔はセクシー女優も夜職も、昼間働くのが困難な人々のセーフティーネットのようなものだった。精神疾患などがあっても受け入れ可能だし、どうしても昼の社会に適応できないとか、人気商売以外はやりたくない人にとっては優しい世界に感じたはず。
見た目の問題は妥協できずとも、内面に関しては口うるさく言われなかったため、受け皿はそこそこ広かったと言えよう。
しかし、現在は性格に難アリだと業界からバツを喰らう。さらに精神科の通院や自傷の跡がある人物を突っぱねる制作会社が増えてしまった。
メンタル面に問題がある女優は避ける傾向に
私が現役の頃も、身体に残っている激しい傷跡は、どのメーカーも嫌がっていた。しかし少しくらいの白い線や、通院、服薬に関しては特に何も言われなかったのである。
気分が安定しない演者は現場を急にバラす危険性が考えられるので、“できることなら避けたい心理”は多少理解できるものの……。
かつて事務所やメーカーは「この業界だもの。そういう子がいても仕方ないよね」といった感じだった。今となっては事務所もメンタル面に問題がある子には「面接時に通院歴を言わないように」と指導するようになり、ここ数年で業界の常識が大きく変化したことに驚きを隠せないそうだ。
アンダーグラウンドなこの世界で、新法以外の締め付けが強まったことは非常に悩ましいこと。ルールが増え、クリーンさを意識したことが災いし、女優寿命が短くなったことに影響したのはあまり良いことでないように思う。
セクシー女優は「半年続けるとベテラン」
なお、もともと短命な世界なので、一般職ならまだまだひよっこという期間でも、セクシー業界だとすぐベテラン扱いされる。私の時は、半年間専業だったらもうベテラン呼ばわりだった。
現役時代、1年も経っていない頃は新参者気分だったけど、制作の人間からするとそうではないらしい。芸歴を聞かれて答えると「ああ、半年経ったらもうベテランだね」と返されて大きく驚いた思い出がある。しかもこう言われたのは1人だけではなく、他の現場でも複数回同じセリフを耳にしたのだから、業界全体の認識が“コレ”なのだろう。
まぁ1本限定とか、たった数本でやめる人が続出するもんだから、6ヶ月間も続けていられるだけで慣れた人扱いなのは、引退した今になってようやく理解できる。半年でベテランなのだから、3年続ければ御の字とも言えようか。人の入れ替わりが本当に激しいため、10年続けてれば神様レベル。それ以上いけばもう、本物のレジェンドであることに間違いはない。
セクシー女優一本では難しい
次から次へとデビュー、引退の繰り返し。ユーザーは飽きがこなくて良いのかもしれないけど「女優一本で頑張るぞ!」と気合いが入った子からすると、今のセクシー業界はやりづらいことこの上なし。売れて続々とオファーがくれば悩みが最小限で済むものの、そうでなければ平気で肩透かしを喰らう。なんと残酷な世界なのだろうか?
いくらホワイトな環境に寄せていっても“セクシー”がつく以上、アンダーグラウンドなのは何も変わらない。最近の夜職業界も独自の良さ(ちょっとグレーなところとか)がなくなってしまい、業界全体のクリーン化がみんなの首を絞めているような……。
いずれにせよ、寿命が短いのと“短すぎる”のではわけが違う。どうか厳しい状況で1人でも多く、満足がいくまで活動を続けられる女優が増えることを願うばかりだ。
文/たかなし亜妖
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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