関西にある国立大学の理系学部を卒業後、アイドルグループ『#ババババンビ』の初期メンバーとして活躍を続ける小鳥遊るいさん。高いルックスと知性のある佇まいで多くのファンを魅了し、いまや日本武道館のステージに立つほどの人気アイドルだ。
まさに才色兼備という言葉がふさわしい彼女だが、アイドルとして成長を続けられたのは、自身が「重度のアイドルオタク」であった経験が大きいという。
「関西から東京まで、年間100回以上ライブのために遠征していた」と話す小鳥遊るいさんに、アイドルオタクがアイドルになったからこそ切り開けた“唯一無二”の道のりを聞く。そして、アイドルオタク目線をもつ彼女ならではの魅力が詰まった1st写真集『ことりあそび』(2024年10月04日発売)に込めた思いについても語ってもらった。
「大学1年生の冬」に人生を変える出会いが
――小鳥遊さんは、いつ頃からアイドルオタクだったのでしょうか?
小鳥遊るい:
生まれつきかなりのサブカル気質だった私は、小学生の頃からアニメやVOCALOIDなどにどっぷりハマっていました。そして、なによりも私のオタク心をくすぐって止まなかったのが、『ミニモニ。』さんや『AKB48』さんなど、キラキラでかわいい“アイドル”という存在です。ただ、私の本当のアイドルオタク人生の始まりは、大学1年生の冬、大阪で開催されたアイドルのライブを観たときです。それまでは、奈良にある国立大学の理系学部に通い、勉強とアルバイトを頑張る普通の毎日を送っていたのですが……。
――ライブを観たときに、どのような心境の変化があったのでしょうか?
小鳥遊るい:
テレビ越しの存在だと思っていたアイドルが、手を伸ばせば届きそうな距離で踊る姿に、ただただ感動してしまったんです!自分と目が合っている現実にも驚いて、どうしようもなく泣いてしまったのをよく覚えています。その日から、東京へ遠征してさまざまなアイドルのライブに通う私のオタク生活が始まりました。
“いかにアイドルオタクをするか”がすべてだった大学時代
――関西から東京までだと、かなりの距離があると思うのですが……。
小鳥遊るい:
主に夜行バスを使い、アルバイトや授業のあとに7時間かけて東京へ通っていました。ほかの地域への遠征もふくめて、1年間で100回以上は現場に行っていたと思います。ライブって、同じものは存在しないんですよね。そのときにしか味わえない熱を感じ取りたいし、ミスやトラブルさえも見逃したくなかったんです。いつの間にか、行く度に少しずつ撮影していたチェキの枚数も1,000枚を超えていました。
――遠征費は、どのようにして確保していたのでしょうか?
小鳥遊るい:
貯金ばかりしていた大学1年生の頃のお金をパーッと使いつつ、飲食店などのアルバイトもバリバリこなしていました。授業の合間すら無駄にしたくないと思い、大学の図書館で書庫の整理をする仕事をして、遠征費の足しにしていました。あの頃は本当に、“いかにアイドルオタクをするか”が生活の基準になっていたと思います。就職活動が始まったときも、できるだけ休みが多くて、ライブに通いやすい仕事ばかりを探していました。
ただのアイドルオタクが武道館アイドルへ
――そんなアイドルオタクの小鳥遊さんが、なぜアイドルの道に進んだのでしょうか?
小鳥遊るい:
いまの事務所からスカウトをいただいたのがきっかけです。密かに自分が舞台に立つことへの憧れがあったので「このチャンスを逃したらきっと後悔する」と思いアイドルになる決意をしました。問題は、母の説得でした。国立大学に通わせていた娘が、就活中にいきなりアイドルをやりたいと言い出したら、それは不安な気持ちになりますよね……。「それ騙されていない?」「運動音痴なのにステージで踊れるの?」などと、案の定とても心配されました。それでも、“1年やってダメならあきらめる”という条件のもとなんとか納得してもらい、アイドルオタクだった私はステージの上に立つアイドルになりました。
――アイドルになったばかりの頃は、やはり苦労が多かったのでしょうか?
小鳥遊るい:
コロナ禍でデビューライブが中止になり、私のアイドル人生はいきなり無職のような状態からのスタートでした。いざ活動が始まっても、歌やダンスはもちろん未経験で、スキップすらできない私の苦労は絶えることがありませんでした。周りのメンバーはスキルが高くて、ただただ私は必死に付いていくだけ。それでも、アイドルオタクとして自分が憧れていた“理想のアイドル”になりたい。その気持ちだけは人一倍強かったおかげで、どんな辛いことがあってもチャレンジを続けられたと思っています。
「シンデレラストーリーのようだな」と思う
――小鳥遊さんが目指す理想のアイドルとは?
小鳥遊るい:
私は、アイドルにはプライベートまで100%を求めてしまうタイプのオタクなんです。オンオフをしっかり切り替えられるのも素敵だけど、休日にしていたことも共有してくれて、常にファンのことを考えてくれるようなアイドルが好き。だから私も、少しでもそんなアイドルになりたいと思いながら活動を続けています。
――ライブ配信サービス「SHOWROOM」での毎日配信が、1,600日を超える勢いです。これも理想のアイドルを追い求めていた結果なのでしょうか?
小鳥遊るい:
そうですね。最初は、コロナ禍でもファンの方と接点を持ちたいと思って始めました。でもいまは、24時間アイドルでいるための大切な居場所だと思って、自分でも楽しみながら配信をしています。そんな毎日なにを話しているの?とよく聞かれるのですが、自分でもわからないんです(笑)。その日あったことや自分の好きなことなどを話しているだけで、あっという間に時間が過ぎていくんですよね。これからも、気軽に立ち寄れる空間を目指して、毎日配信を続けていきます。何かほかのことをしながらでもいいので、たまに私の話を聞きにきてくれると嬉しいです!
――デビューから4年が経ったいま、これまでを振り返ってみていかがでしょうか。
小鳥遊るい:
アイドルとしての活動は、“想像していたなかで一番良い未来よりも、もっといい現実”がありました。憧れだった「TOKYO IDOL FESTIVAL」に出演できたり、自分がオタクとして通っていたポップアップストアを出せたり「これは現実?」と思うようなできごとをたくさん経験しました。そして、結成4周年で日本武道館のステージに立てたときの感動は、いまでも忘れられません。自分でいうのもなんですが……アイドルオタクだったあの頃から考えると、まるでシンデレラストーリーのようだなと思うときがあります。
アイドルオタクが考えるアイドルとファンの関係性
――アイドルになった現在も、アイドルオタクの活動は続けているのでしょうか?
小鳥遊るい:
アイドルになってからは、もちろんあの頃のような活動はできなくなってしまいました。好きなアイドルのライブがあるときは、私もライブをしているので(笑)。代わりに、ステージの裏側でたくさんのアイドルと話せるようになりました。でもいまだに「無銭で接触するなんてとんでもない!」と思っています。チェキ代をお支払いできれば、どれほど気持ちが楽か……。アイドルをしながらアイドルオタクをする観点でいえば、VTuberさんは推しやすいんです。スマートフォンを通して気軽に会えるし、アーカイブも残るのでいつでも推し活ができます。
――最近、推しのVTuberが卒業してしまったとの話を聞きました。
小鳥遊るい:
私がずっとずっと大好きだった「湊あくあ」さんが卒業をしてしまいました。やり切って、理想的ともいえる卒業だったとはいえ、やっぱり寂しくて……。この前「SHOWROOM」で、そんな私の切ない気持ちをファンの方に聞いてもらっていたんです。そしたら「るいちゃんは卒業しないよね?」とコメントがきて「そういえば私、“こっち側”だった……」と気付きました。どのタイミングで卒業を決意しても、そのときにまだまだ私を必要だと悲しんでくれるファンの方がいる。そんな風にあらためて思うと「私もう、アイドルずっとやめられない!」って気持ちになりました。
――小鳥遊さんといえば、裏アカでコスプレを披露している様子が……?
小鳥遊るい:
ちゃんと事務所から許可を取っているので、裏アカじゃないですよ(笑)。コスプレの活動は、いまのところ99%趣味なんです。2024年の夏に参加した「コミックマーケット104」では、涼宮ハルヒのコスプレをしました。裁縫が得意なので、カチューシャは自分で作っています。コスプレやアニメなどに関することは『#ババババンビ』のなかでも私だからこそ広げていける領域です。自分自身も楽しみつつ、仕事としてもコスプレができればいいなと思っています!
サブカルな私も愛してもらえるような写真集に
写真集のおすすめショットは「全部」
――2024年10月4日に、1st写真集『ことりあそび』を発売しました。どのような作品になっているかについて教えてください。
小鳥遊るい:
ファンの方に私の好きなところを聞くと、本当にバラバラな答えが返ってくるんです。キラキラしたアイドルとしての姿だったり、彼女みたいな目線だったり、サブカルチックな性格だったり……。だからこそ、ファンのみなさんが私に感じている“好き”を、全部詰め込んだ作品にしたいと思いながら撮影に臨みました。秋葉原と京都を15種類以上の衣装で巡り、いろんな表情も見せていく内容になっています。写真集の好きなカットを聞いたら、みなさんそれぞれ違うページを選ぶんじゃないかな。つまり、おすすめショットは「全部」なんです!
――写真集の発売に続き、10月19日には小鳥遊さんの生誕ライブも控えていると聞きました。
小鳥遊るい:
『#ババババンビ』の生誕ライブは、主役みずから内容をプロデュースできるところが魅力です。今回も、セットリストだけでなく、ステージでどのような企画をするのかまで全部私が決めました。誕生日が近い神南りなちゃんと千星真穂ちゃんは、まだ新メンバーで生誕ライブがないので、3人だけのコーナーを作るつもりです。衣装も私がプロデュースするので、相当プリティな2人が見れますよ。ついさっき衣装を見せたら「キャー!」と叫ばれました。生誕祭なので、全部私のいいなりです。
――日本武道館単独ライブや写真集発売など、アイドルとしての夢を叶えたであろう小鳥遊さんは、今後どのような活動をしていくのでしょうか?
小鳥遊るい:
『#ババババンビ』小鳥遊るいとしての活動はまだまだこれからです!音楽番組にもたくさん出て、老若男女から愛されるアイドルを目指すべくチャレンジを続けていきます。そして、遠征を100回以上していたアイドルオタク目線としても……新メンバーと一緒に47都道府県を回り、全国のファンの方に会いにいきたいです!
<取材・文/川上良樹>
【川上良樹】
エンタメ好きなフリーライター。クリエイターやアイドルなどのプロモーション取材を手掛ける。ワンドリンク制のライブが好き。
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