10月12日(土) 9:59
<日本オープン2日目◇11日◇東京ゴルフ倶楽部(埼玉県)◇7251ヤード・パー70>
今年6月に行われた「日本アマチュア選手権」を、大会史上最年少の15歳344日で制した松山茉生(まお、福井工大福井高1年)の日本一決定戦は、トータル17オーバーの103位タイで予選落ちという結果に終わった。「きょうもうまくいかず、きのうよりも全体的に悪かった。悪いところから流れが変わって、よかった部分も悪くなっていきました」と唇をかむ。
だが成長につながる2日間でもあった。今年も例年通り、その年の日本アマ王者は、予選ラウンドでディフェンディングチャンピオンとの注目組に入った。前年覇者・岩崎亜久竜に加え、アダム・スコット(オーストラリア)ともプレー。「高校卒業と同時にプロになって、すぐに活躍してPGAツアーに行きたいです」という夢を抱く16歳にとって、2013年に「マスターズ」も制している米通算14勝の名手との36ホールは刺激的だ。
スコットもトータル11オーバーの78位タイで決勝進出を逃しただけに、決して本調子ではなかったはず。それでも「吸収できるものがたくさんありました。持ち球に絶対的な自信を持って攻めていました。グリーンを外しても、最悪な状況は免れる攻め方。マネジメントや根本的な技術の差を感じました」と、そのプレーのひとつひとつが輝いて見えた。
特に「前から課題だった」というパターとマネジメント力は、特に「欠けているもの」とこの2日間で感じた部分。平均飛距離はすでに310ヤードを誇り、「振り切れば330ヤードくらいは飛びます」というドライバーを武器にするが、「こういうゴルフ場では通用しない。マネジメントが大事。距離だけではダメだと痛感しました」という気持ちも芽生えてきた。
そんな苦しんだ2日間だったが、若さが前面に出たアグレッシブなプレーはやはり魅力的だった。603ヤードに設定されたパー5の13番では、2人がティショットでフェアウェイウッドを握るなか、果敢にドライバーを振り切った。結果的にはフェアウェイをとらえることができずパーにしたが、「スコアを落としていたし、伸ばすしかなかった」と迫力あるスイングで“魅せた”。
スコットも「いい選手だと思った」と前置きした後に、松山の印象を語る。近年稀にみる長いラフが生い茂るコースをドライバーで攻めていくスタイルについては、「まさに16歳らしいプレーだったね」と笑顔。そして、「非常にポテンシャルのある若いプレーヤーであることは間違いない。ここからどう成長していくかは彼次第。自分は今までここから成長していった選手も、そのまま終わる選手も見てきた。これから彼がどう成長していくか見るのが楽しみだね」と、その言葉に期待を込める。
プロトーナメントデビュー戦となった9月の「バンテリン東海クラシック」では17位になり、いきなりベストアマを獲得した。この後も11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」(静岡・太平洋C御殿場C)、「ダンロップフェニックス」(宮崎・フェニックスCC)の2連戦が待っている。成長を感じられる舞台が残っている。
「ずっと調子がよかったけど、開幕前日に崩れて、いい状態にもっていけませんでした。技術も足りなかった。しっかり調整してレギュラーツアーへいい状態にしたいです」。伸び盛りの高校1年生にとって、これからのひとつひとつの舞台が貴重な経験、そして将来への糧になっていく。(文・間宮輝憲)