『週刊少年ジャンプ』で連載され、シリーズ累計発行部数は1億3000万部を超えるなど、完結後も世界中で根強い人気を誇る『BLEACH』。そのシリーズ最終章となる『千年血戦篇』のTVアニメ第3クール”相剋譚”がついに放送開始!今回は主人公である黒崎一護役の森田成一と、彼の前に立ちはだかるかつての友・石田雨竜役の杉山紀彰に、キャラクターを演じての感想や、豪華キャスト陣が揃った収録の様子について聞いてみた。
――第2クール”訣別譚”までを振り返っての感想は?
森田久しぶりのTVアニメ『BLEACH』ということもあって、ファンの皆さんの盛り上がりが想像をはるかに超えていたことに驚きました。その反響の高さをうけて僕たちも一緒になって気持ちを盛り上げていったことで、あの第1クールでの一気呵成な勢いが生まれたのかなと思います。
杉山そんな第1クールの熱量を引き継ぎつつ、第2クール”訣別譚”では大迫力の映像と壮大なストーリーが展開されていったと思います。特に原作者である久保帯人先生が、総監修として原作コミックで描かれていなかったキャラクターたちの表情やシチュエーションなどを掘り下げてくださったのがすごく印象的でした。僕らの中で想像することしかできなかった数々のシーンが映像となって丁寧に描かれていたのは、『BLEACH』という作品のファンとしても純粋に嬉しいことでした。
――『千年血戦篇』では、どのように一護と雨竜を演じてきましたか?
森田『千年血戦篇』第2クールまでの一護って、原作コミックでも登場回数がすごく少ないんです。そのため、感情の繋がりや成長過程がなかなか見えず、モチベーションをどう保っていくか不安がありましたが、そこは一護の零番隊との修業といったアニメオリジナルのシーンを用意していただき乗り切った感じです。原作というガイドブックがない中で一護を演じないといけなかったので、監督や久保先生にその都度いろいろお聞きしながら収録させていただきました。
杉山確かにいまのところ二人の登場シーンは少ないのですが、一護と雨竜の関係性は『千年血戦篇』のメインストーリーに絡み合う縦軸的な意味合いがあると僕は思っています。今後第3クール、そしてクライマックスの第4クールにギュッとその活躍がまとめて描かれていくことになるのかなと、そんな風に期待しています。
――第3クールは既にアフレコを終えたと聞きました。収録時の感想を教えてください。
森田僕の中では第2クールの延長といった感じですかね(笑)。意識して変化させたところはありません。ただ自分が原作を読んで思い描いていた「こう演じていこう」という想定とは、また違ったものになった気はします。実は『千年血戦篇』に入ってから、全開の一護をまだ演じていないんです。最終決戦というゴールが見えている第4クールに向けて、まだまだ自分を押さえつけながら一護を演じているみたいな、いまはそんな状態だと思っています。
杉山まだまだ溜めている状態ということですか?
森田そうですね。でもTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』は原作にないシーン満載なので、もしかしたら全開状態をお見せできるのはかなり先になってしまうかもしれませんが(笑)
杉山雨竜については、監督や久保先生に『BLEACH』の原作コミックを初めて見た人たちの読後感と同じように「なんで雨竜はそっちに行っちゃったの?どうして?」といった気持ちになってほしいという意向がありましたので、収録時には雨竜の葛藤や心の機微のようなところをあえて見せないように、淡々としたお芝居を心がけました。一護に「なんなんだよ!」と言われてもスンとしている感じでやっています。あとは……詳しく話すとネタバレになってしまうので「お楽しみに」としか(笑)
森田いやいやいや(笑)
杉山しかし第3クールでは劇的な転換が雨竜にはありますので。お楽しみに!
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――一護と雨竜が激突するシーンは『千年血戦篇』の見どころのひとつですが。やはり気合いを入れて演じられましたか?
森田一護ですが、根っこのところではやっぱり雨竜を信じているんですよね。それはシリーズ『千年血戦篇』が始まってから随所で語られていますので、第3クールでもそこは変えずに演じました。言葉少なに多くを語らず、行動で示していくところは二人ともよく似ていると思います。
杉山僕の方も自然体で演じていった感じです。森田さんとも『BLEACH』では長い付き合いになりますので、お互い緊張することなく掛け合いをさせていただいた気がします。
――収録現場の雰囲気はいかがでしたか?
森田一緒に掛け合いをしたのは一回か二回ぐらいだったっけ?
杉山そうですね。基本的に分散収録というか、よく掛け合いをするメンバーごとに集まって収録をしていました。
森田僕は井上織姫、(四楓院)夜一、チャド(茶渡泰虎)、あと(志波)岩鷲と一緒のチームでしたね。ここに雨竜がいないのはさびしかったのですが(笑)。でも、昔のまま和んでいる雰囲気には安心感がありました。
杉山滅却師(クインシー)チームは一護たちの和やかさとは、またちょっと違う感じです。
森田新しく参加されている方が多いせいか、こっちとは全然雰囲気が違ったよね。
杉山そうですね。ハッシュヴァルト役の梅原(裕一郎)君もすごく真面目で物静かなタイプで。ユーハバッハの菅生(隆之)さんは「スタジオのちょっと先に昔から行っている美味しいコロッケ屋さんがあるんだよ」と業界の長い大先輩ならではの知見を教えてくれたりして。『BLEACH』はすごく幅広い世代のキャストの皆さんが出演されているので、こんなところも興味深いし楽しかったです。
――他のキャストの皆さんのようすはどんな感じでしたか?
森田皆さんとても楽しんでいたみたいですよ。速水(奨)さんや中尾隆聖さんたちベテラン勢が揃った死神チームは、久しぶりに『BLEACH』のキャラクターで顔を合わせたということで「うわー、嬉しいね。懐かしいね」「写真撮ろう」と大盛り上がりだったそうです(笑)。アニメ本編ではあんなに激闘を繰り広げているのですが、現場では穏やかで朗らかにやっているところが『BLEACH』の良さだと思います。星十字騎士団(シュテルンリッター)側は若い人たちもいっぱい入ってきて、新番組のような現場の雰囲気もありました。彼らは待ち時間にロビーの端っこに座って、ずーっと台本とにらめっこしているんです。
杉山別に僕らが若い人たちに対して圧をかけていたなんてことは全然ないんですよ(笑)。すごく緊張されていたのかなと。
森田僕らがワイワイやることで、そんなド緊張している後輩たちに「こういう現場なんだよ」と知ってもらいたいという思いがありました。おかげで「まさに『BLEACH』のギャグパートを見ているようだった」と言われましたし(笑)。今まで『BLEACH』のキャスト陣は、僕からすると先輩ばかりだったこともあって、若手の後輩に気を配りながらの収録は新鮮でしたし『千年血戦篇』ならではだなと感じました。
――瀞霊廷へと侵攻し霊王の命を狙う「見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)」を率いるユーハバッハについてはどんな印象がありますか?
森田いままでのお話からすると「全く敵わない相手」という印象です。兵主部一兵衛との戦いを見たときは絶望しかなかったので。
杉山そうですよね(笑)
森田まさかの展開だったわけじゃないですか。尸魂界最高にして最強の戦力・零番隊が束になっても勝てない星十字騎士団の精鋭親衛隊を率いるユーハバッハは、どこまで強いのかと。しかも持っている能力は「もうこれインチキだよ」って強さですし。
杉山ユーハバッハを演じているのが菅生さんというのも大きいですよね。
森田とてつもない大ベテランの方ですから。掛け合いでは「本当に勝てるのか?」という怖さからくるドキドキと、最高のラスボスに立ち向かうことへのワクワク感でいっぱいになりながら演じています。
杉山雨竜の場合はあえて一護たちと袂を分かって、そうとうな覚悟を胸にユーハバッハのもとに行ったと思います。母親や祖父である石田宗弦がらみの因縁もありますので、第3クール、そしてクライマックスとなる第4クールで雨竜とユーハバッハの関係がどうなっていくのか、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
――最後にそれぞれ気になる第3クールの見どころと、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
森田まず第2クールから引き続き苛烈な戦いが繰り広げられていくのですが、生き残ったキャラクターたちが強すぎるので、戦いはより激しく洗練され、物語も濃縮されたものになっていきます。エネルギッシュな映像が詰まった超一級のエンターテインメントというだけでなく、さらにもっと深いところまで連れて行ってくれるのが、この”相剋譚”だと僕は思っています。ぜひ皆さんも各キャラクターの心情や繋がりを見逃さずにご覧いただければと思います。
杉山分割4クールの3クール目ということで起承転結の”転”にあたるこの”相剋譚”なんですが、最終話まで見ていただくと「確かに転になってきたな」という感想をもっていただけるような内容になっていると思います。すさまじく綺麗な映像とともにアニメならではの格好いい戦闘シーンが多数ありますので、ぜひ放送を楽しみにしてください。
【PROFILE】
森田成一(もりたまさかず)
10月21日生まれ。主な出演作はTVアニメ『キングダム』(信)、『TIGER & BUNNY』(バーナビー・ブルックスJr)、『メジャーセカンド』(佐藤寿也)、『Rewrite』(天王寺瑚太朗)、『ビッグオーダー』(星宮エイジ)ほか。
杉山紀彰(すぎやまのりあき)
3月9日生まれ。ステイラック所属。主な出演作は『Fate』シリーズ(衛宮士郎)、『NARUTO -ナルト-』(うちはサスケ)、『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(クロム)、『ラーメン赤猫』(佐々木)ほか。
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