半世紀前に放送されたTVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』が、フィリピンの大きすぎる愛で実写化!10月18日より映画『ボルテスV レガシー』として日本で劇場公開されることになった。今回は自身が原作『ボルテスV』の熱狂的なファンだというマーク A. レイエス V監督に、この作品に込めた想いや、日本のファンのため再編集したという”超電磁編集版”の見どころなどについて語ってもらった。
――映画『ボルテスV レガシー』の劇場公開を前に、いまの気持ちは?
レイエスとてもワクワクしています。このプロジェクトを立ち上げるにあたって、『ボルテスV』の生まれ故郷である日本で、多くのファンに見てもらうのは大きな夢でした。それが叶っただけでも素晴らしいのに、より一層パワーアップされた”超電磁編集版”を映画館の大スクリーンで見てもらえる機会を得られたわけですから。本当に嬉しく思います。
――日本のファンにも届けたい気持ちは、最初からあったんですね?
レイエスTV シリーズの撮影当初から、制作のテレサクセス・プロダクションズさんと「これを日本で公開できないかな?」「したいねー!」といった話をずっとしていたんです。その願いが実現したわけですから、感謝の気持ちでいっぱいです。
――TVアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』は子供時代に観ていましたか?
レイエスもちろん観ていました。フィリピンでは70年代後半に放送され、最高視聴率58パーセントという爆発的大ヒットを記録した国民的アニメだったんですが、当時は英語吹き替え版でした。その後にタガログ語や英語の字幕が付いた日本語版アニメが放送されることになりまして、私が見ていたのはそのバージョンになります。だから私の中の『ボルテスV』は日本語でインプットされているんですよ。日本での劇場公開では字幕版に加えて、吹替版 も上映されるので興奮しています。日本語で聞いていたスミス博士とロビンソン司令官の会話や「ボルテス・バズーカ!」など必殺技の掛け声が、日本の素晴らしい声優さんの声で聴けるので、どんな風に演じてもらえるのか、とても期待が高まっています。
――日本の劇場公開用に用意された”超電磁編集版”は、どんな内容ですか?
レイエスフィリピンでは、はじめに『ボルテスV:レガシー - シネマティック・エクスペリエンス』というタイトルで映画が製作され、その後に全90話のTVシリーズとして放送された作品になります。その映画版をベースに、新たなシーンを加えつつ、ストーリーラインを原作アニメ『ボルテスV』の1話目、2話目に近づけた日本のファンのための”超電磁編集版”として作らせてもらいました。
――リマスターによってグレードアップされた映像について教えてください。
レイエス映像をクリアな色味や解像度になるように調整したり、CGの大幅なクオリティアップしたりしています。他にもサウンドを5.1ch化するなど、全ての面で改善しています。そんな”超電磁編集版”を映像や音響を最高レベルで楽しめる映画館で鑑賞していただくわけですから。どんな感想を持っていただけるのか、非常に楽しみにしています。
――監督がこの作品に込めたテーマをお聞かせください。
レイエス『ボルテスV』のストーリーの根底に流れていているのは、”家族愛”だと思っています。フィリピンで放送されていた日本のアニメですが、いろいろな人気作品がありました。例えば『闘将ダイモス』ならリチャード(竜崎一矢)とエリカのロマンスが話題でしたし、『マジンガーZ』はコメディタッチの強いスラッシュアクションが多くのファンを魅了しました。でも”家族愛”に焦点を当てたアニメは『ボルテスV』が唯一無二の存在だったんです。そのテーマの元で語られる素晴らしい物語に、家族を大事にするフィリピンの視聴者は老若男女、世代を超えて惹きつけられたんだと私は考えています。それを踏まえて私自身も”家族愛”を大切にしながら『ボルテスV レガシー』を作りました。
――アニメからの実写化で監督が一番心がけたことは?
レイエスいかに”ボルテス愛”をこの作品に込めるか、それに尽きるかもしれません。少しでもリスペクトに欠ける描写があったら怒られると思いますので(笑)。そんな熱心な制作陣のトップを務めるのは大変でしたが、私自身が胸に抱いていた熱い”ボルテス愛”で乗り越えることができました(笑)
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ボルテス・チームだけでなく、敵のプリンス・ザルドスたちにも注目!
――劇中で観てほしい注目のポイントを教えてください
レイエス日本で公開される”超電磁編集版”では巨大要塞”スカールーク”の偉容や、ボルテス・チームの敵となるボアザン星のプリンス・ザルドスたち地球征服軍 の物語からはじまります。それを受けてプリンス・ザルドスだけでなくザンドラ、ドラコ、ズールといったザルドスの側近たちを、オリジナルのアニメよりもさらに描写を膨らませるかたちでキャラクターに肉付けをさせてもらいました。そんなこともあって、プリンス・ザルドスとその側近であるザンドラやドラコ、ズールの関係性にも注目してもらいたいと思います。
――個性的かつ印象的なキャラクターの雰囲気を残しつつ、実写版ならではの描写が追加されているのは素晴らしいと思います。
レイエスそうなんですよ。物語の主役はもちろんスティーヴ、ビッグ・バート、リトル・ジョンのアームストロング家の三兄弟にマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンの五人からなるボルテス・チームではあるんです。彼らの「レッツ・ボルトイン!」の掛け声で展開される巨大ロボ『ボルテスV』の合体シーンにはすごくこだわりましたし、私自身これを見たいがためにこの作品の監督になったというとこもあったりしましたので(笑)。でもそんな彼らに負けないくらい厚みのあるキャラクターとして、プリンス・ザルドスとその側近たちを描かせてもらいました。アニメと同じザンドラの盲目的な忠誠心やドラコの粗暴な猛々しさは見どころですし、ズールを演じるエピ・クウィゾンは憎たらしいながらも笑える仕草が本当に素晴しいんですよ。観ていると彼らのことを憎い敵と思いつつ、でも惹かれてしまうみたいな、そんな印象をもってもらえるんじゃないかと思います。
――プリンス・ザルドスですが、原作アニメ『ボルテスV』だと美形の悪役”プリンス・ハイネル”として女性人気を誇っていました。そんなキャラクターの配役を決めるのはかなり苦労されたんじゃないでしょうか?
レイエスボアザン帝国の皇族であるプリンス・ザルドスは、繊細な心の機微をもったカリスマ性のあるキャラクターです。征服者としての力強さや皇族としての高貴さをもちながら、「謀反人の子」としての劣等感や疎外感を常に抱いている、そんな二面性をもっているので、私は彼の脆弱な部分などを多層的に演じないと、その魅力を出し切れないんじゃないかという危惧を抱いていました。
――プリンス・ザルドス役にマーティン・デル・ロザリオさんを選んだ決め手は?
レイエス配役はオーディションで選びました。その際にかなり難しい課題に挑んでもらったんですが、マーティンは涙を浮かべながらの迫真の演技でプリンス・ザルドスの傷つきやすい儚さを見事に表現してくれたんです。その姿を見たときに「この人しかいない!」と確信して、その場で配役を決めさせてもらいました。実際に撮影が始まってからも、さすがとしかいいようのない演技を見せてくれましたので大変満足しています。
――ボルテスVと巨大獣型ロボット”ビースト・ファイター”の格闘シーンも見どころですね。
レイエスもちろん!ボルテスVとドクガガ、バイザンガという二体のビースト・ファイターとの迫力のバトルは、この作品の一番の見どころといっていいでしょう。私自身入念にストーリーボードを組み立てながら格闘シーンはデザインしていきましたし、撮影ではマーシャルアーツの格闘家に戦いの様子を実演してもらってワイヤーフレームを合成し、それをキャプチャーすることで迫力あるCG映像を制作しました。
――どんな展開になるのか目を離せない、そんなバトルになっています。
レイエス巨大ロボットが殴って蹴っておしまいではなく、個性的な戦闘技術を披露するなどガッツリとしたエンターテイメントになるように工夫を凝らしました。原作アニメでもウィットに富んだ面白いギミックを使った戦いが展開されていましたが、そこはしっかり踏襲しつつ、「次はどんな戦いを繰り広げてくれるのかな?」といった期待感とともにバトルシーンを楽しんでほしいと思います。
――最後に劇場公開を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。
レイエスかつてアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』を見ていたファンの皆さんには、郷愁の念を誘うような作品になっていると思います。記憶の底に眠っていた懐かしいシーンに再び出会える喜びを味わってみてください。そして初めて『ボルテスV』に触れる人は、劇場の大スクリーンで観ていただき、この素晴らしい作品を知ってほしいと思います。普遍的なテーマ、そして最新のレトロやローテクな味わいを残しつつも技術を駆使した映像は、確実に若い人の心に刺さるはず。ご覧になった皆さんからどんなリアクションがいただけるのか、すごく楽しみですね。アニメ大国である日本のファンの皆さんに太鼓判を押してもらえたなら嬉しいです。
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