六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで、2024年10月5日から「さくらももこ展」が開催中。2022年の高松市美術館を皮切りに全国を巡回してきた展覧会が、ついに東京にやってきた。『ちびまる子ちゃん』や『COJI-COJI』など、さくらももこさんの描いた世界は、どこか懐かしくて新しい。大人も子どもも心をふんわりと温めてくれる今回の展示は、まさに彼女のぬくもりを感じられる場所。その魅力をあらためて楽しむことができる。
【写真】展覧会の会場の様子や限定グッズ&メニュー
■約300点のカラー原画や直筆原稿を公開!心にふんわり広がるさくらももこの世界
さくらももこさんが生み出した豊かな作品たちは、7つのエリアにわたって紹介され、約300点のカラー原画や直筆原稿が並ぶ。特に注目すべきは、前期と後期で一部展示物が入れ替わるという点だ。2024年10月5日〜2024年11月20日(水)までの前期、2024年11月21日(木)〜2025年1月5日(日)までの後期で、異なる原画が展示される予定で、何度でも足を運びたくなる内容となっている。
■序章「さくらももこができるまで」
幼少期から少女時代年表とともに、絵日記や落書きなどを展示。そこから「さくらももこ」という作家がどのようにして生まれてきたのか、その足跡を感じることができ、優しく迎えてくれる。
■第1章「ももことちびまる子ちゃん」
代表作『ちびまる子ちゃん』の原画やキャラクター紹介がずらりと並ぶ。100点以上もの原画が展示され、漫画やアニメで親しまれてきた国民的キャラクターのまる子をはじめとする懐かしのキャラクターたちに出会えるこの章では、初めてのカラー原画などを展示。部屋に入るとすぐに登場する大きなタペストリーには、彼女が書いた温かい言葉が綴られていて、まる子がそっと語りかけてくるような、そんな穏やかな時間が流れている。
■第2章「ももこのエッセイ」
さくらももこさんのエッセイ作家としての魅力に触れられるエリア。『もものかんづめ』や『まるむし帳』に込められた彼女のユーモア、そして日常の愛おしさが、じんわりと心に伝わってくる。壁一面を埋め尽くす巨大な原稿用紙は圧巻だが、その中に息づく彼女の言葉が、しっかりと心に響いてくるのが印象的だ。さらに、赤いラジカセから流れるオールナイトニッポンの収録テープが、さくらももこさんの優しい声とともに展覧会場に響き渡る。その言葉の温かさに、思わず心がふっとほぐれる瞬間が訪れる。どんなエピソードが語られているのか、ぜひ会場で耳を傾けてみて。
■第3章「ももこのまいにち」
母としての彼女の姿が見えてくるエリア。仕事と子育てを両立しながらも、子どもと過ごす時間を大切にしていた彼女。そんな中で生まれた作品たちは、どれも日常の一コマを切り取ったもの。子どもと過ごす何気ない瞬間を描いたものや、親としての悩みや喜びが込められたものが多くある。息子との共作も展示されていて、家族の温かい絆と家族を想う優しさがひしひしと伝わってくる。母としての役割を大切にしていた、さくらももこさんの姿が浮かび上がる。
■第4章「ももこのナンセンス・ワールド」
ここでは、さくらももこさんのナンセンスなユーモアが全開!『神のちから』や『神のちからっ子新聞』といった作品が、彼女のユーモアの奥深さを見せてくれる。ちょっとした出来事を大げさに、でも愛おしく描く彼女の視点が、ここでもたっぷり感じられる。ナンセンスでありながらも、その中に温かさが感じられるのも彼女の持ち味。ダンボールでできた額縁や斜めに掲げたレイアウトまでもがユーモアに満ちていて、まるで彼女の遊び心が空間全体に広がっているようだ。
■第5章「ももことコジコジ」
原画がずらっと並ぶ回廊から始まる、さくらももこさんのもうひとつの代表作『COJI-COJI』の世界。このエリアでは、誰の心にもそっと寄り添ってくれる言葉を感じながら、温かい気持ちでいっぱいになれる優しい空間が広がっている。展示された原画たちを見て、コジコジが語る無邪気でふんわり優しい言葉に触れていると、自分自身がその世界に入り込んだかのような気持ちになる。
■終章 アトリエより
さくらももこさんのアトリエが再現され、彼女が使っていた愛用の仕事道具や自身でイラストを描いたチェンバロ、アトリエの写真が並ぶ。その空間で、彼女がどんなふうに作品を生み出していたのか、その一端を感じ取れるのがこのエリアの魅力でもある。そして、『まるコジ』のイラストや、一つひとつ丁寧に描かれた39点の小さなイラストが展示を締めくくる。そこに漂うのは、みんなを楽しませることが大好きだったさくらももこさんの想い。作品を通して、そっと幸せを届けてくれる。
■東京会場から新発売のアイテムも登場!心を和ませるかわいいグッズがいっぱい
同展には、思わず手に取りたくなるかわいい展覧会オリジナルグッズがいっぱい。コジコジのさがら刺しゅうワッペンがついたキルティングポーチなど、新作アイテムとして東京会場から新たに追加された14種類がラインナップ。
さらに、ちびまる子ちゃんやコジコジと一緒に写真が撮れるフォトブース(1回700円)もある。前期と後期で異なるデザインのオリジナルフレームを使って、特別な思い出を写真に残すことができる。家族や友人と笑顔の瞬間を共有し、心温まる一日を写真に収めてみてはいかが?
■「さくらももこ展カフェ」のコラボメニューで、ほっとひと息
森アーツセンターギャラリーの同フロアにある「THE SUN & THE MOON(Cafe)」では「さくらももこ展カフェ」が限定オープン。彼女のキャラクターたちをモチーフにした限定メニューが全15品あり、どれも心をくすぐるかわいらしさが詰まっている。通期で販売されるメニューのほか、前期と後期それぞれの期間限定メニューがあるので、チェックしてみて。
コラボメニューを注文すると、非売品のオリジナルコースターがもらえるという特典も。展示を見たあとに、さくらももこさんの世界の余韻を楽しみながらカフェでゆったりとした時間を過ごそう。
「さくらももこ展」は、彼女が残した作品の温かさとユーモアに触れられる特別な場所。『ちびまる子ちゃん』や『COJI-COJI』、そしてエッセイに込められた彼女の想いが、優しく心を癒やしてくれる。ぜひ、六本木ヒルズで、彼女の作品に囲まれながら、ほっこりとした心地よい気持ちに包まれてみよう!
取材・文・撮影=北村康行
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