PPPはスーパーマーケットなどの商品を注文された方に届ける買い物代行サービスです
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第70回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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2016年、東京都23区の一部エリアでサービスが始まったウーバーイーツ。現在、エリアや運ぶ商品の幅が広がり、運搬手段も当初は自転車や原付だけだったのが大型バイク、軽自動車での配達も可能、ついにはロボットが運ぶサービスも始まっています。また、マクドナルドのマックデリバリーやセブン-イレブンの7NOWといった他のデリバリーサービスの代行配送を始めるなど、配達員が請け負う業務は実に多岐にわたります。
今回はそんな業務の幅の広がりのひとつ、「PPP(ピック・パック・ペイ)」のお話です。
6月からスタートしたPPPはスーパーマーケットなどの商品を注文された方に届ける買い物代行サービス。都内では以前より、マルエツ、ピーコックストア、ダイエー、東武ストアなどの商品を配達するサービスを行なっているのですが、これらスーパーマーケットの商品の「配達」と「買い物代行サービス」であるPPPは、配達員にとってはまったくの別物です。
これまでのスーパーマーケットの配達は、店に到着したら指定された受け取り場所(サービスカウンターなど)へ行き、店員さんから注文の商品が入ったレジ袋を渡され、それをそのまま注文された方に運ぶもので、料理などの商品を運ぶ手順と変わりませんでした。
一方のPPPは指定されたスーパーマーケットに到着後、買い物カゴを持って店内へ。スマホ画面に表示されている商品を店内の売り場から自分で探し出してバーコードをひとつひとつ読み込ませていきます。もし指定の商品がなければ、代替商品として注文された方が指定するものを探しに行きます。
指示された商品をすべて買い物カゴに入れたらレジへ行き、他のお客さんと同様、レジで商品の代金を精算します。代金は配達員が所持するクレジットカードと紐づけられたプラスカードというデジタルカードで支払います。精算が終わったらレシートを撮影して運営側に送信。商品を自分でレジ袋に詰めて配達先へと向かいます。
とにかく手間がかかりますし、これは配達ではなく「おつかい」です。
プラスカードはレジを通すために使う、注文された方と店の会計システムをつなぐ役割のカードなので、PPPの配達をすると自分のクレジットカードのショッピング枠が減ってしまうなんてことはないですが、正直「なんで配達員個人のカード情報を間にはさまないといけないのだろう」と感じてしまいます。
さらに配達員アプリから確認できるPPPのマニュアルを見ると
・支払い時にはセルフレジを優先的にご利用ください
・店舗スタッフを必要以上に拘束しないよう心がけましょう
など「お前が自力でやれ」といったニュアンスの文言を丁寧な言葉に変換した文章が並んでいます。
最初にPPPの配達を受けた時は、注文の商品のバーコードを読み取る作業などが新鮮で楽しみながらやっていましたが、最近は「じゃがりこ サラダ味」がなくて代替品として「じゃがりこ チーズ味」と表示されているのを見て、使いっ走り感がすごいなと思ってしまいます。
このように商品を届けるまでに時間がかかるため、一度で得られる配達料は他の配達より高めなのですが、クエストと呼ばれる一週間の配達回数で得られるボーナスの達成条件が100回を超えるような、とにかくたくさんの配達をしなければならない時は、依頼を受けるかどうか迷う案件です。
ただし、この依頼はプラスカードを持っていない配達員には回ってきませんし、プラスカードは配達員が自分の意志で作るものなので、PPPの配達が嫌ならプラスカードを作らないという選択肢もあります。
ですが、もしPPPの依頼の割合が増えて、これらの配達をしなければウーバーイーツで稼げない状況になった場合どうなるのか。いろいろ考えさせられることの多い業務です。
文/渡辺雅史イラスト/土屋俊明
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