フラッド×ラウンジ×w.o.d. スプリットツアー『BAND BOOM』ファイナル公演レポート

左から)サイトウタクヤ(w.o.d.)、佐々木亮介(a flood of circle)、ヤマグチユウモリ(SIX LOUNGE)

フラッド×ラウンジ×w.o.d. スプリットツアー『BAND BOOM』ファイナル公演レポート

10月9日(水) 18:00

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Text:荒金良介Photo:小杉歩

a flood of circle×SIX LOUNGE×w.o.d.のスリーマンスプリットツアー『BAND BOOM』が愛知、大阪、大分の計3カ所で開催。そのツアーファイナルにあたる大分・T.O.P.S Bitts HALLを観てきた。今日のライブハウスは海沿いにあり、会場裏では開演前に釣りを楽しむメンバーもいるほど。ライブ前とは思えない和やかな空気が流れている。しかし、いざ本番が始まれば3バンドによる化学反応は凄まじく、ツアー3本で終わるのは「正直もったいない!」と思わされるほど強い余韻を引くスリーマンとなった。

a flood of circle

今ツアーの出演順はクジ引きで決めたらしく、最終日・大分公演のトップバッターはa flood of circleである。佐々木亮介(vo/g)がアカペラ調に歌い、「大分ー!」と叫ぶと、「月夜の道を俺が行く」でショウはスタート。「気づけば結局 佐々木亮介」とパンチラインが効いた歌詞を含め、オレ節で豪快に突き進んでいく。HISAYO(b)のベースがうねりを上げると、間髪入れずに「ロックンロールバンド」へ繋ぎ、ガレージ感が増した演奏に一気に胸倉を掴まれた。「Sweet Home Battle Field」に入ると、ハンドマイクで踊りながら歌う佐々木。アオキテツ(g)のブルージーなギターソロも映え、フロアは過熱するばかりだ。それから今年8月に出た新曲「虫けらの詩」をプレイ。疾走感抜群のロックンロールで、直情的なパッションを叩きつけた後、ミドルテンポの「LADY LUCK」はポップな歌メロでショウの流れにいいフックをもたらしていた。

HISAYO(b)アオキテツ(g)

怒涛の攻めはまだまだ続く。キャッチーなコーラスを配した「理由なき反抗(The Rebel Age)」では拳を突き上げてノる観客が増えていった。佐々木、アオキ、HISAYOのフロント3人が背中を向け、渡邊一丘(ds)のドラムと呼吸を合わせると、「プシケ」を披露。「大分、ぼんやりしてんじゃねえぞ!」と佐々木は煽り、腰が据わったヘビーなサウンドで攻め立てる。また、アオキの切れ味鋭いギターソロが曲の緊迫感を高めていた。残りは2曲となり、「シーガル」では佐々木のしゃがれ声といい、ドライブ感溢れるアンサンブルも最高。「大分ー!」と何度も呼びかける熱量にも圧倒されるばかりであった。

渡邊一丘(ds)佐々木亮介(vo/g)

「こんな時間からやるなら、3周くらいやりたい。人生まとまってない、まとめなくていい!」と言い切ると、最後に「白状」を投下。アコギ弾き語りからバンドサウンドへと移行、しっとり聴かせるアプローチがまた胸に沁み入る。「遠回りでもいい壊れてもいい意味がなくてもいい答えもなくていい」の歌詞も刺さった。何があろうとも、自分の生き方を貫き通す覚悟に満ちた音色に大勢の観客が酔いしれていた。

そして、二番手に出たのは地元・大分出身のSIX LOUNGEだ。SEが流れ、ヤマグチユウモリ(g/vo)、イワオリク(b/cho)、ナガマツシンタロウ(ds/cho)のメンバー3人が現れると、大きな歓声に沸く。オープナーは今年9月に出た新曲「Madness」でご挨拶。パワフルな勢いと緩急の呼吸を併せ持つ演奏が痛快に鳴り響く。

SIX LOUNGE

赤い照明が映える中、次は「ナイトタイマー」へ。ユウモリはブルージーなギターをアピールし、フロアの温度は上がり続ける。それから「モモコ」、「LULU」と畳み掛け、演奏もヒートアップ! 「アナーキー・イン・ザ・人生」を挟み、「ライブハウスへようこそ!」と叫ぶと、「スピード」に突入。抜けのいいドラムの音に飛び跳ねる観客やサーフする人も溢れ、風を切るような演奏に会場の熱気は急上昇。続く「トラッシュ」においてもバンドの勢いは止まるところを知らない。

ヤマグチユウモリ(g/vo)ナガマツシンタロウ(ds/cho)

ここで場の空気を変えるべく、「幻影列車」を披露。スケールの大きな歌が会場をすっぽりと包み込む。前のめりの勢いだけではなく、ど真ん中に歌が息づく曲調も彼らの大きな魅力である。「超大好きで、超かっこいい2バンドと回れて、幸せです! 俺らがやめない限り、バンドブームは続くと思います!」とユウモリは力強く宣言。今ツアーを通して、何にも替え難い収穫があったのだろう。ありそうでなかったスリーマンライブでお互いのかっこよさを確かめ合い、また自分たちらしさを再認識する瞬間もあったのではないか。

後半、「メリールー」の冒頭部分を歌った後に「これ佐々木さんっぽいすよね?」と笑うユウモリ。歌い方を佐々木に寄せたつもりだったのか。a flood of circleの音楽を普通に好きで聴いてきたユウモリにとって、少なからず自身の音楽性にも影響を及ぼしているはず。その愛をさりげなく歌い方で表明するところがニクイ。ラストは「僕を撃て」を放ち、リクのベースラインは激しく主張。後半は観客が大合唱するシーンもあり、地元を味方に付けた熱狂的な盛り上がりを見せ、「次はw.o.d.です!」と叫んでバトンを渡した。

イワオリク(b/cho)

20時12分、トリのw.o.d.がステージに現れ、Ken Mackay(b)の電撃ベースが轟くと、「イカロス」で始まった。FU MANCHU(フーマンチュー)並みに重心の低い音で攻め続け、そのまま「Wednesday」へ。中盤にテンポチェンジするアレンジもかっこよく、彼らの世界にグイグイと引き込まれる。メンバー3人の個性が1曲の中でぶつかり合う「lala」も強烈である。そこに「ララー♪」と耳馴染みのいいコーラスを乗せ、ヘビーにしてキャッチーなノリで観る者を焚きつけていった。「1994」に入ると、ベースとドラムのリズム隊はグルーヴ感を高め、フロアで飛び跳ねる人をあちこちで見かけた。サビではサイトウタクヤ(vo/g)によるハイトーンボイスが楽曲の高揚を倍増させる。

w.o.d.Ken Mackay(b)

「『BAND BOOM』最終日、大分、大分、大トリ! ヒーローみたいなライブされた後で、“次はw.o.d.です!”と言ってくれてうれしかった」とサイトウ。すると、「w.o.d.かっこいい!」という女性客の声が会場に響き、「ありがと!」と返す一幕も。そして、今年9月に出た新曲「喜劇」をプレイ。歌心を押し出したミドルテンポの曲調だが、芯の太いサウンドが底辺をガッチリと支え、時折挟まれるしゃがれ声に心を奪われた。続いてリズミックなギターが心地いい「あばく」を経て、「Fullface」へ。ダイナミズム溢れる演奏を叩きつけた後、少し長めのMCを挟んだ。

中島元良(ds)サイトウタクヤ(vo/g)

「バンドってかっこいいんですよ、かっこいいよね? あと、ロックは速い。やっぱり音楽が好きなんですよ、考えるより速い。喋ると遅いでしょ?」とサイトウが問いかけると、会場から笑いが起きた。その後に披露されたのはa flood of circleのカバー「The Beautiful Monkeys」とSIX LOUNGEのカバー「ピアシング」だ。途中から佐々木とユウモリが飛び入り参加し、それぞれ熱い歌を届けてパーティ感を演出。これには観客も大喜びの様子だった。その流れで「踊る阿呆に見る阿呆」に進み、お祭りモード全開で活気づけていく。

本編を「My Genaration」で締め括り、アンコールに応えるw.o.d.。「ヒーローの力を借りようと思います」とサイトウは告げ、SIX LOUNGEのカバー「メリールー」が炸裂。「俺もユウモリもすぐ影響を受ける。めっちゃユウモリでしょ?」と観客に問いかけ、その後に再び佐々木とユウモリが歌に加わるスペシャルなステージを披露。そのままボーカリスト3人体制にて、最後はこの日二度目の「1994」へ。サイトウ、佐々木、ユウモリの3人が肩を寄せ合って歌い上げる場面もあり、最高潮の盛り上がりを記録して、スリーマンスプリットツアーは盛大に幕を閉じた。

左から)佐々木亮介(a flood of circle)、サイトウタクヤ(w.o.d.)左から)サイトウタクヤ(w.o.d.)、ヤマグチユウモリ(SIX LOUNGE)

3バンドの個性はバラバラだが、その根底には同じロックンロールの血が流れており、とりわけ佐々木、ユウモリ、サイトウの3人の歌声には共通項が多く感じられた。声質はもちろんだが、それ以上にロックバンドが醸し出す説明不要のかっこよさや佇まいという点において、この3バンドは同じ体臭を放っている。『BAND BOOM』を旗印にした今ツアーは大分公演で終わった。しかし、ここから何かが始まりそうな意義深いツアーになったことは間違いない。そう言えば、ライブ中に「バンドやってください!」とサイトウは観客に訴えていた。今日のライブを観て、「バンドってかっこいい!」、「バンドをやってみたい!」と心に火を付けられた観客は絶対にいるはずだ。『BAND BOOM』の、これからの広がりに期待したくなる素晴らしいスリーマンスプリットツアーだった。

<公演情報>
a flood of circle × SIX LOUNGE × w.o.d.『BAND BOOM』

9月28日(土) 大分・T.O.P.S Bitts HALL

【セットリスト】

■a flood of circle
01.月夜の道を俺が行く
02.ロックンロールバンド
03.Sweet Home Battle Field
04.虫けらの詩
05.LADY LUCK
06.理由なき反抗(The Rebel Age)
07.プシケ
08.シーガル
09.白状

■SIX LOUNGE
01.Madness02.ナイトタイマー
03.モモコ
04.LULU
05.アナーキー・イン・ザ・人生
06.スピード
07.トラッシュ
08.幻影列車
09.メリールー
10.僕を撃て

■w.o.d.
01.イカロス
02.Wednesday
03.lala
04.1994
05.喜劇
06.あばく
07.Fullface
08.The Beautiful Monkeys (a flood of circleカバー)
09.ピアシング (SIX LOUNGEカバー)
10.踊る阿呆に見る阿呆
11.My Generation
En1.メリールー (SIX LOUNGEカバー)
En2.1994

<関連リンク>
a flood of circle公式サイト:
http://www.afloodofcircle.com/

SIX LOUNGE公式サイト:
https://six-lounge.com/

w.o.d.公式サイト:
https://www.wodband.com/

イベント公式サイト:
https://vintage-rock.com/artists_events/bandboom/

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