『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『地元・名古屋』について語った。
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★今週のひと言「週の半分は東京にいる俺が、地元・名古屋を離れない理由」
現在ありがたくもそれなりに全国区の露出があったり、週の半分ぐらい東京で仕事をしていることも多いので、俺が名古屋出身だということは知られていても、いまだに名古屋在住なのを意外がられることも多い。
実際名古屋の自宅から東京各地の仕事現場までは、新幹線や地下鉄を乗り継いでおよそ3時間。昼間のテレビ収録だけだったりすると日帰りになるので往復で6時間。決して楽な距離とはいえない。
ホテルに泊まるにしても高騰した東京の宿泊費は1泊最低1万円以上だ。それでも名古屋-東京間を週に何往復もする生活を始めてもうすぐ10年になる。なぜそこまでして名古屋を離れないのか。それにはいくつかの理由がある。
まずひとつは俺がHIP-HOPに軸足を置いているということ。HIP-HOPに明るくなくても、最近では「レペゼン」の意味(代表する、象徴する)ぐらいは浸透してきたと思うが、HIP-HOPにはレペゼンの意識がいまだ根強い。
サクッと上京する利便性よりも「レペゼン名古屋の呂布カルマ」であることがけっこう大事だったりするのだ。
それゆえHIP-HOPはほかのジャンルと比べて東京一点集中にはなりにくく、それぞれの土地の空気やノリをまとった新しいスターが地方から生まれる。
同時に日本中でHIP-HOPのイベントがあるので、日本列島のほぼ中心に位置する名古屋は交通の便という意味でも東京に負けない。
そしてもうひとつは、俺が名古屋に家庭を持っていること。特に子育てだ。冷静に考えると日本一人口が密集している東京が日本で最も住みやすいんだろうが、仕事でしか東京に行かない俺は、渋谷、新宿、六本木などクラブやテレビ局のある街しか知らない。
そんな所で子育てをしようとは思えない。たとえ閑静な住宅地に暮らそうが、年頃になった子たちが歌舞伎町へ遊びに出たりするのを止めようがないという怖さがある。
俺は歌舞伎町を歩くたび、そこにたむろする子供たちを見ると胸が苦しくなる。まぁ田舎者と笑ってくれ。
それに比べて、住めば都も重々承知だが、名古屋は子育てに向いている街だと思う。
逆に観光で大人が名古屋に来ると聞くと、何しに?と思う。まして最近では外国人観光客も目にするが、海まで渡って名古屋になんの用??と冗談じゃなく思う。
名古屋の観光資源といえば、食文化は確かに独特だが、ほかの地域と比べて特別、ということはない。
あとは名古屋城を除けば、ジブリパーク、レゴランド・ジャパン・リゾート、国内屈指の規模を誇る東山動植物園、名古屋港水族館ぐらいだ。
どれも大人を呼び込むにはちょっと弱いが、子供ウケは抜群だ。適度に都会で適度に田舎なので、巨大ショッピングモールは乱立している。
国内屈指の世界企業TOYOTA様のお膝元(正確には豊田市は隣だが)なので、街の景気もいい。つまり生活していくには抜群の土地なのだ。地元の小学校に通う娘を転校させてまで魔都・東京へ出ていく理由は見つからない。
ちなみに、東京仕事の拠点として部屋を借りてしまうという手もあるのだが、それは悪い予感しかしない。何せ俺の周りにはラッパーが多い。そんな便利な部屋があればどんな間違いが起こるかわからない......いやわかる。それはあってはならない。
とか散々言いながらも、この先、なんらかの失敗で家庭を失ったりしようものなら何食わぬ顔でしれっと上京している可能性は十分ありえるが、そうならないように背筋を正していかねば。
撮影/田中智久
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