レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・
山下メロ
です。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、「レコードみたいなサイズのCD」などといわれる映像メディア「レーザーディスク(以下、LD)」をご存じでしょうか。VHSより高画質で劣化に強かったため、DVDが普及するまで、クオリティを重視するユーザーに支持されていました。
しかし、最も需要があったのはLDに収録された歌詞の映像を画面に表示しながらカラオケ音源を再生できる「レーザーカラオケ」です。
それ以前は8トラ(カセットテープの一種)のカラオケが主流でしたが1本に4曲しか入らず、10曲ほど収録できてデジタルかつ高音質なレーザーカラオケには絶対的な優位性がありました。平成2年頃が最盛期で、スナックなどの飲食店にあったオウムの看板に見覚えがある人もいるのではないでしょうか。
スナック店内でよく見たオウムの看板。名前はウタッぴーでLDを開発したパイオニアのマスコットキャラ
ただし前述のとおり1枚のLDに入るのは10曲ほどなので、大量のディスクをお店に保管する必要があり場所もとりました。
そして曲名が並んだ「歌本」は存在しましたが、そこには曲を収録するディスクと曲番号が書かれており、そのディスクを探し出してプレイヤーに挿入する必要があったのです。さらに新譜のディスクは次々増えていきます。
歌本とオートチェンジャーのリモコン
それを受け、リモコンでの入力に対応したのもLD時代の特徴でした。リモコンから曲番号を入れると、それに対応するディスクを自動で挿入・再生できるLDオートチェンジャーが登場しました。
曲数の制限はあるものの本体は小型化され、ディスクを挿入するスタッフも不要。これにより現代にも続くカラオケボックスが実現しました。
平成初期頃までは空き地のような所にドアと換気扇と配線がついたコンテナタイプの個室がいくつも並んでいました。そしてだんだんと建物内での個室カラオケに変わっていきます。その後、通信カラオケが普及して一気に機器が小型化し曲数が増えていきました。
昭和~平成にかけ進化し、今のカラオケ文化の基礎を築いたのはLDだったのです。
テイチク「うたえもん」のマグネット。忍者キャラでした
撮影/榊 智朗
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