フィアット 600e価格:585万円今回試乗したのは9月10日から全国のフィアット正規ディーラーで販売をスタートした超最新モデル。どこを走っても映えるクルマだ
SUVタイプの新型イタリアンEVがニッポン上陸!!キュートな見た目が話題を呼んでいるが、その実力は!?つーわけで、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が徹底試乗を敢行。使い勝手などもじっくりチェックした!!
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■初代フィアット600を現代風に解釈!
渡辺
今回試乗したのは9月10日に日本で発売されたフィアット600e(セイチェントイー)です。日本市場にフィアットの新型車が登場するのは、実に1年半ぶりになります。
――お顔があざとかわいい!
渡辺
この個性的なフロントマスクは売りのひとつですね。
笑みを浮かべているようなフロントマスク。デザイナーは、ヘッドライトなどの造形にこだわったという
――600eはコンパクトカーなんですか?
渡辺
SUVモデルです。全長は4200㎜と短いですが、全高は1595㎜と高くなっている。
ボディサイズは全長4200㎜×全幅1780㎜×全高1595㎜。 車両重量は1580㎏。最小回転半径5.3m
――外観は初代フィアット600を現代風に解釈したとか?
渡辺
初代フィアット600は1955年に発売された小型車で、戦後型フィアットの出発点になったモデルです。その後、57年にはよりコンパクトな500が発売されましたね。
――初代フィアット600はどんなクルマだったの?
渡辺
丸みのあるボディが特徴の小型車で、現代の軽自動車よりもサイズは小さい。
――そんな初代のフロントマスクと車名が令和の時代に復活したわけですね?
渡辺
最近のフィアットには、昔の500や600をモチーフにデザインされた車種が多く存在し、言うまでもなく車名も踏襲しているんですよ。
――へぇー。
渡辺
余談ですが、600eのプラットフォームやEVユニットは、フィアットと同じ欧米自動車大手ステランティスに属するジープのアベンジャーと共通しています。さらに言うと、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も同じです。
――今回試乗した600eの欧州デビューはいつですか?
渡辺
昨年7月にすでに発売を開始しており、同年9月にはマイルドハイブリッドも投入しています。
――マイルドハイブリッドは日本市場に上陸しなかった?
渡辺
9月10日にステランティスジャパンが都内で会見を開き、来春、1.2リットル直3エンジン搭載のマイルドハイブリッドの導入を予告しました。
――なるほど。気になるのは600eの走りです。率直な感想から教えてください。
渡辺
モーター駆動のEVですからアクセル操作に対する反応は機敏です。最高出力は156馬力、最大トルクは270Nmなのでパワフルな感じではありませんが、街中を走るには適度な性能です。ステアリング操作に対する反応も正確でした。
ボンネットを開けると、EVを構成する駆動用モーターや制御装置などの重要部品が配置されていた
フル充電の航続距離(WLTCモード)は493㎞。普通充電と急速充電に対応する
――乗り心地は?
渡辺
一般的にクルマの乗り心地は低速域で硬さが感じられても速度が高まると快適になります。しかし600eは逆の印象を受けました。
――どういうこと?
渡辺
段差を通過したときの突き上げ感は、低速でも高速でもあまり変わりませんが、高速になると段差を通過した後に、ボディが数回にわたり上下に揺すられます。もう少し上下動の収まりを向上させてほしいですね。
――室内の居住性は?
渡辺
前席は肩回りのサポート性はいま一歩ですが、腰から大腿部を確実に支え、長距離移動も快適です。
――不満はないと?
渡辺
ただし、後席は足元空間が少し狭い。身長170㎝の大人4人が乗車すると、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつです。ほかのSUVはコブシふたつ半が多い。
センターディスプレーは10.25インチのタッチパネル式。グーグルを活用したナビシステムとなる
荷室容量は360リットル。後席を倒せば1231リットルの積載が可能。深さはないが床下収納スペースも用意している
――フィアット600eの価格は585万円ですが、ライバル車はどれになります?
渡辺
シャレた輸入車でいうと、ミニがEVを充実させています。5ドアボディのエレクトリックミニエースマンEは価格が491万円、SUVのエレクトリックミニカントリーマンEは593万円です。
――日本車なら?
渡辺
SUVタイプではありませんが、日産リーフのe+Gは、装備が充実していて価格は583万4400円。トヨタはSUVスタイルのbZ4Xを用意しており、G(FWD)の価格は550万円です。
――ズバリ、フィアット600eはどんな人が買うべきクルマですか?
渡辺
シャレたEVが欲しい人でしょうね。個性的なフロントマスクや、今回試乗したオレンジ色の外装色は、ほかのEVでは得られない600eならではの魅力ですよ!
撮影/山本佳吾
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