2005年に第133回直木賞を受賞した短編集が原作で、2025年春に公開予定の『花まんま』。このたび、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカら、個性豊かな豪華キャストの情報が明らかとなった。
【写真を見る】鈴鹿央士が川口春奈演じるヒロインを献身的に支える好演した「silent」
原作は、記憶の濃淡を丁寧に語り分けながら、人間の哀しさや温かさを繊細に織り込む巧みな筆致で評価される作家、朱川湊人の代表作で、ある兄妹の不思議な体験を描いた物語。「花まんま」とは子どものままごと遊びで作った“花のお弁当”を意味し、大切な人へ贈り届けるキーアイテムを指す。早くに亡くした両親との約束を守るため、たった一人の妹の親代わりとして大阪下町で生きる熱血漢の兄、俊樹を鈴木亮平、まもなくの結婚を控えながら、実はある“秘密”を抱えている妹、フミ子役で有村架純が出演する。鈴木、有村の2人が兄妹役として初共演を果たし、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(18)、『そして、バトンは渡された』(21)などコメディから感動作まで幅広い表現力をあわせ持つヒットメーカー、前田哲監督がメガホンを取る。
解禁になったのは、主人公兄妹を取り巻く重要な役どころを演じるキャスト5名。フミ子の婚約者で、動物行動学の助教、中沢太郎役を演じるのは鈴鹿。一昨年放送のドラマ「silent」で注目度を上げ、今年の10月期に放送される「嘘解きレトリック」では松本穂香と共にW主演を務める。「原作の最後の一行でちらりと姿を見せる人物が、脚本ではカラスと話せる研究者というキャラクターになっていたのは驚きました」という鈴鹿のコメントの通り、髪を整えるのも忘れてカラスの研究に没頭するあまり、カラスと会話できるようになったというクセ強いキャラ設定が原作から追加されている。もちろん、カラスとの演技は初挑戦。現場では、なかなか難しいが全く通じないわけではない!と根気強く対話に挑戦する姿が印象的だった。
あわせて、解禁されたキャラクター写真には太郎がカラスと見つめ合う様子が切り取られており、カラスとの会話がどう物語に絡んでくるのか期待が膨らむ。そんな鈴鹿は、本作について「身近で大事な人が思い浮かんだり、生きていることをあらためて大切にしようと思える作品」と話しており、台本を読んで何度も涙したそう。また、前田監督作品への出演は『ロストケア』(23)に続き2作目となり、“相思相愛”に近い信頼関係があるそうで、「現場の雰囲気が明るく、のびのびと演じることができた」とも語り、特に主人公の兄妹を演じた鈴木と有村については「一番多くの時間を過ごし、数多くのことを学ばせていただきました」と感謝の意を表している。
そして、俊樹の幼なじみで、お好み焼き屋の看板娘である三好駒子役にファーストサマーウイカ。近年はバラエティのみならず、NHK大河ドラマ「光る君へ」で主人公のライバル、清少納言を演じるなど俳優としても着実にキャリアを重ね、活躍の場を広げている。ウイカは、映画オリジナルキャラクターとなる駒子を「お好み焼きと世話焼きが得意な、俊樹とフミ子を支える大切な存在」とユーモアを交えて分析。実は、前田監督が駒子のキャラクターを作り上げていく段階で出演をアプローチするほど、関西弁でちゃきちゃきしている駒子と大阪府出身のウイカ本人が持つ明朗快活なキャラクターとの親和性が重要視されていた。
そんな監督からのオファーに、「ラブコールいただいて光栄でした」と喜びを見せており、「初めての前田組は、笑顔と関西弁に満ちていて、地元に帰ってきたようなアットホームで楽しい現場でした」と回顧。劇中ではキレのある関西弁を披露しており、熱血漢な俊樹にも負けず劣らずの強烈な存在感を放っている。
また、主人公兄妹とは不思議な縁で結ばれ、フミ子の抱える秘密にも関係している繁田家の面々には個性的な顔ぶれが集結した。繁田家の父、仁役を演じた酒向芳は、「これほど涙を流した本はこれまでにあったかな?→記憶を辿っても無かった。原作、脚本にアッパレ!」と絶賛するほど原作&脚本に惚れこんでいる。繁田家の長男、宏一役の六角精児も「脚本を読んだ時、染み入るような感動と共に、“家族への思い”の大切さと有り難さが理屈を超えて僕の心に押し寄せて来ました」と物語の奥深さについてコメントする。さらに、繁田家の長女で宏一の妹、房枝役を演じたキムラ緑子は「とても不思議なお話でもありますが、登場人物それぞれが、誰かを愛し思いやる愛情で詰まったとても優しい物語」と、本作への期待がますます高まるコメントを寄せている。
豪華キャスト&スタッフがつむぐ珠玉の感動作となった『花まんま』。さらなる続報にも期待したい。
■<コメント>
●鈴鹿央士(中沢太郎役)
「身近で大事な人が思い浮かんだり、生きていることをあらためて大切にしようと思える作品で、台本を読んで何度も泣いてしまいました。原作の最後の一行でちらりと姿を見せる人物が、脚本ではカラスと話せる研究者というキャラクターになっていたのは驚きましたが、監督はじめ現場のみなさんが明るい雰囲気を作ってくださったおかげで、自分なりにのびのびと演じることができたと思います。主人公の兄妹を演じる亮平さんと有村さんとは一番多くの時間を過ごし、数多くのことを学ばせていただきました。早くこの作品を見ていただきたい、そんな思いでいっぱいです」
●ファーストサマーウイカ(三好駒子役)
「三好駒子は映画オリジナルのキャラクターで、お好み焼きと世話焼きが得意な、俊樹とフミ子を支える大切な存在です。そんな駒子役をぜひ、と前田監督からラブコールいただいて光栄でした。初めての前田組は、笑顔と関西弁に満ちていて、地元に帰ってきたようなアットホームで楽しい現場でした。全世代に響く、温かい家族愛と不思議なストーリーに引き込まれる作品です。ぜひ劇場でご覧いただきたいです」
●酒向芳(繁田仁役)
「脚本第一稿を読んだ→涙が出た→もう一回読んだ→また泣いた→原作を図書館で探した→読んでまた泣いた→物語の状況、時間軸を把握するために脚本を幾度も読み直した→…泣いた。これほど涙を流した本はこれまでにあったかな?→記憶を辿っても無かった。原作、脚本にアッパレ!です」
●六角精児(繁田宏一役)
「この映画の脚本を読んだ時、染み入るような感動と共に、“家族への思い”の大切さと有り難さが理屈を超えて僕の心に押し寄せて来ました。参加出来て光栄の一言です」
●キムラ緑子(繁田房枝役)
「とても不思議なお話でもありますが、登場人物それぞれが、誰かを愛し思いやる愛情で詰まったとても優しい物語だと思います。撮影現場では、みな様と様々な感情を交わし合いながら、泣き過ぎでは?と思うくらい泣きました(笑)。共演のみな様のいろんな表情を思い出して、感動的なシーンに、共にいることができて幸せだったなぁと思います。監督の思い描く世界の完成を心待ちにしております」
文/平尾嘉浩
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