「コンビニ強盗をヘッドロックで取り押さえた」会社員女性が話題を呼んでいる。9月30日に神奈川県鶴見警察署から感謝状を授与される様子が大々的に報道され、女性が格闘技経験のない“茶道部出身”だったことに、多くの驚きの声が上がった。
一躍注目を浴びることとなった張本人・
梁果琳(りょうかりん)さん(23歳)
に話を聞いた。
「店員さんを助けなければ」とっさに体が動いた
――事件当日の状況について、教えていただけないでしょうか?
梁果琳(以下、梁):
フリマサイトの発送作業をするために、母と2人でコンビニエンスストアに入りました。梱包材を購入して作業をしていたら、店員さんと男性客が少し言い争いをしているのが見えました。
ただどうしてもその日に発送作業をしたくて…早く対応してもらおうと様子を見に行ったら、突然大きな声がして、男性客と店員さんがもみ合いになったんです。その時の状況を見て、男性客が万引き犯であることを確信しました。
店員さんを助けなければと思い、とっさに体が動きました。手をつかんでも逃げられると思ったので、まずは足を払って体制を崩し、四肢を封じようとしたら自然とヘッドロックの形になりましたね。
ただ、私が腕を首ではなく口元に腕を回してしまったので、容疑者に腕を噛まれてしまいました。その後は店員さんと協力して10分ほど体を抑えていて、母が呼んでくれた警察に引き渡しました。
日本のアニメが好きでイメトレしていた
――勇敢な行動に出た梁さんに対して賞賛の声が上がる一方で、SNS上には「危険だから真似しない方がいい」「凶器を隠し持っていたらどうするんだ」といった声もありました。
梁:
たくさんの心配の声をいただいて「凶器を持っている可能性については考えないといけないな」と反省しました。でも、私の行動は間違ってなかったと信じています。事実、店員さんは殴られていたし、大けがを負ってしまう可能性もあったと思います。
あと私は、日本のアニメやゲームがとにかく好きでして、『バイオハザード』、『名探偵コナン』のアクションを見て、なんとなくイメトレしていたのが良かったのかもしれません。若干“厨二病”っぽいところがまだ抜けていなくて…(笑)。
銃が鳴ったらまず屈んで隠れる、敵がいたら死角に逃げ込む、みたいに、「悲鳴を上げるのではなくて体を動かす」ということをアニメから学べていた気がします。とにかく、店員さんが無事でよかったです。
想像以上に時間がかかってしまう“捜査協力”の問題点
――容疑者を警察に引き渡して、一件落着という感じだったんでしょうか?
梁:
いえ、その後は警察署で捜査協力をしました。20時から、結局0時過ぎまで帰れなかったですね。翌日は半休を取って、腕の治療のために病院に行きました。9月30日にも半休を取って、検事の方にお話ししに行きました。
――かなり時間がかかるんですね…お仕事に影響はありましたか。
梁:
私が勤めている会社は有給も取りやすくて、理解があるところで助かりました。でも、「時間がない」「会社を休めない」という理由で通報できなかった被害者や目撃者の方もいるんだろうなって。
実際、私の友人でも、痴漢をされたけど警察に行く時間がなくて、「犯人を殴って電車を降りた」という子もいました。
もちろん、誰が悪いとかではなく、警察の方々にはたいへん頭の下がる思いです。ただ、制度として、社会に証言者休暇、被害者休暇みたいなものがあってもいいのにと思いました。
悪いのは国籍関係なく「犯罪をした人」
――9月30日の授与式後は、複数のテレビ番組で報道され、ご本人がXで投稿された「私は茶道部」というポストにも19万いいねがついています。やはり反響は大きいでしょうか?
梁:
:Xのフォロワーが7000人以上増えて驚きました。テレビは持っていなかったので、友人が私が映っている画面を写真に撮って送ってくれて、初めて自分がテレビに出たことを知ったんです。親は思ったより大きく報道されていることを心配していました。
私は転勤族で海外を転々としていたこともあったんですが、報道のおかげで再び連絡を取り合うようになった友達もいて、思わぬ効果に感謝しています(笑)。
少し気になったのは、コンビニ強盗の方が外国人だと知って「外人は出ていけ!」みたいなことを言っている人もいました。文化が違うので、外国人がたくさんいると治安が乱される側面もあるかもしれませんが、全員に当てはめるのはおかしいと思います。
実は、私は父の仕事の関係で幼少期よりインド、フィリピン、シンガポールと海外で暮らしていました。そこでは我々日本人もまた外国人でした。実際、今回一緒に容疑者を捕まえてくれたコンビニの店員さんも外国人です。悪いのは国籍関係なく「犯罪をした人」ではないでしょうか。
<取材・文/日刊SPA!編集部>
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