10月8日(火) 7:05
「スタンレーレディスホンダ」でプロ3年目の佐藤心結(みゆ)が初優勝。首位タイからスタートした最終日は、前半でスコアを1つ落としたものの、後半に入ると徐々にエンジンがかかり、11番パー5でバーディを決めると、14番からは4連続バーディを奪い、後続に2打差をつけて勝ちきった。アマチュアとして出場した2021年大会では、プレーオフに加わる活躍を見せており、思い出のコースで嬉し涙を流した。
女子ツアーで一番小さい?佐藤心結のコンパクトトップ【連続写真】
そんな佐藤のスイングについて、プロコーチの南秀樹は「下半身の使い方が上手い」と評価する。「コンパクトなトップから、フェースローテーションを抑えたスイングですが、ツアーで戦う上で十分な飛距離を出しています。ダウンスイング以降に、柔らかくヒザを使うのが特徴であり、飛距離が出るポイント。積極的にフットワークを使いながらも、ヒザの高さが大きく変わることがなく、ヘッドを押し込むことができています。フォローではドラコン選手を連想させるような、体とクラブの引っ張り合いがあり、力強さを感じます」。
参考にしたいのは、飛ばしにつながるフットワークだ。「下半身を使う」は誰もがイメージしているものの、その力を上手くボールに伝えるのは簡単ではない。「フットワークを使おうと思っても、脚に力を入れ過ぎてしまい、逆に動かなかくなっている人が少なくない」と南は指摘。アマチュアにとって壁になっているという。
まずは力感がポイントだ。「プロはどっしりと構えていますが、余計な力は入っていません。いつでも歩き出せる力感で構えることが大事です」。力み過ぎの典型的なミスとして、バックスイングで右ヒザの位置を我慢し過ぎて体の回転が疎かになる、右足に力をかけ過ぎたために左への体重移動ができない、動き出せないといったことが挙げられる。
佐藤のようにニーアクションが大きくなっても、体がブレないのは柔軟性や筋力の強さ、スイングの完成度などプロならではの理由もあるが、アドレスで動ける体勢になっていることがポイントであり、我々もすぐに取り入れられることだ。
「体が回転するためには、ヒザは伸びたり、曲がったりするもの。そうしたヒザの動きがあっても、頭の高さが変わらなければミートできます。つまり、ヒザが動いても体全体がサスペンションのように緩衝装置の役割を果たせばいいわけです。そのためにはアドレスで股関節を入れて構えること。お尻を高く、後方から見たときに、ベルトのラインが斜めになるように構えることで、体がヒザの動きに対応しやすくなります」。
お尻が下がったアドレスでは、ヒザの動きがダイレクトに体に伝わり、上下動のミスが出やすくなってしまう。体の動きに制限をかけるのではなく、思い切って動かしながらも軸がブレないスイングを目指せば、気持ち良く振れて結果もついてくるはずだ。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属。
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