11月29日(金)より全国公開される日本、台湾共同制作の映画『雨の中の慾情』から予告編とメインビジュアルが到着した。
【写真を見る】自室からなにかを必死に覗き見ようとする義男を捉えた場面写真
本作は、映画『さがす』(22)やドラマ「ガンニバル」で監督を務めた片山慎三が、つげ義春の同名短編をほぼ全編にわたって台湾でオールロケを敢行し映画化した数奇なラブストーリー。成田凌、中村映里子、森田剛の実力派俳優をメインキャストに迎えて、2人の男と1人の女による切なくも激しい性愛と情愛を活写する。
このたび解禁された予告編は、成田凌演じる売れない漫画家、義男と、中村映里子演じる福子の儚いラブストーリーが紡がれていく様子から始まる。神秘的なロケーションでのバスタブの中、他愛のない会話を楽しむ姿や、海を見ながらその美しさに感嘆する2人の姿が、ほぼすべてをオール台湾ロケで撮影したからこそにじみ出る異国情緒あふれる風景とともに映し出され、幻想的で繊細な愛の物語の始まりを予感させる。
しかし映像はそんな予想を裏切るかのように一気に大きな転調を迎え、そこから先は片山慎三監督×つげ義春という独創性あふれる世界観が、怒涛のごとく押し寄せてくる。森田剛演じる自称小説家の伊守と福子の2人が、息を切らしながら何かに怯える様子、なぜか兵士姿で福子を慌てて探し回る義男の姿、闇夜の中に光り輝く巨大な城に、燃え盛るモノクロ写真と、いまだかつて、誰も見たことがない唯一無二の愛の物語へ展開していく。「義男さんは…ここにいちゃいけない人だと思う。」優しくも意味深に告げる福子の言葉が意味するものとは?
さらに映像内では、義男、福子、伊守の3人を引き合わせ、その後も3人の人生に深く関わる重要な役どころを演じた尾弥次役の竹中直人や、台湾から参加したキャストの1人で、テレビドラマ「茶金」の夏慕雪役で第57回金鐘奨「ゴールデン・ベル・アワード」ドラマ部門助演女優賞を受賞するなど、台湾映画、テレビ界で活躍する女優、李杏(シェンメイ)の姿も映し出されている。日本×台湾の共同制作作品でもある本作が、どのような形でその見事なコラボレーションをスクリーンに刻み込んだのか、そちらにも期待が高まる。
本作の中で「佇まいだけで物語れる役者」として片山監督から義男役を託された成田は、予告映像の中だけでも「思わず目で追ってしまう」オーラと存在感を放ち、妖艶なファムファタル(運命の女)のように見えて、はかなげな未亡人の雰囲気もたたえる難役、福子に挑んだ中村は、濃密な色気を携えたまま1人の肉体を持った“人間”として見事に役柄を具現化。さらに、成田とは異質の「存在感」をキーワードにキャスティングされた森田は、どこか胡散くささを感じさせながらも、憎めない人たらしとして伊守役を表現し、観る者を魅了する。あわせて解禁されたポスタービジュアルでも、三者三様の存在感を放ち、映画の世界に引き寄せる。
本作は第37回東京国際映画祭コンペティション部門にも公式出品が決定。評価の行方についても要注目だ。
文/スズキヒロシ
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