『パピルスが語る古代都市: ローマ支配下エジプトのギリシア人』(知泉書館)著者:ピーター・パーソンズ
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その他の書店ペーパーの語源になるパピルスは、古代エジプトのナイル川流域に生える水草の茎から作られた紙の祖型である。19世紀末、イギリスの探検隊が古代都市オクシリンコスのゴミの山からギリシア語のパピルス文書を発見した。その後も各地でパピルス文書は次々と見出され、文学や聖書の断片、手紙や実務文書などの生活のふくらみが記録されていた。それまで、羊皮紙の写本や碑文などの形でしか残されていなかったから、画期的であった。
それ以後、パピルス学として知られ古代史研究の一翼を担っている。本書の著者は、オックスフォード大学で古典ギリシア語教授を務めていたオクシリンコス・パピルス解読の第一人者。出土した大量のパピルスを駆使して、ヘレニズム期・ローマ帝政期のエジプト社会と文化を余すところなく描き出している。ナイル川の氾濫と農産物、市場の取引、現金と穀物による銀行業務、徴税や徴発の実態、教育にかまける親の姿、病気や怪我で求められた魔術や医学、ローマ皇帝の印象など、そこに生きていた人々の息づかいすらも聞こえてきそうである。まさしくパピルス学入門書。
【書き手】
本村 凌二
東京大学名誉教授。博士(文学)。1947年、熊本県生まれ。1973年一橋大学社会学部卒業、1980年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授を経て、2014年4月~2018年3月まで早稲田大学国際教養学部特任教授。専門は古代ローマ史。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。著作に『多神教と一神教』『愛欲のローマ史』『はじめて読む人のローマ史1200年』『ローマ帝国 人物列伝』『競馬の世界史』『教養としての「世界史」の読み方』『英語で読む高校世界史』『裕次郎』『教養としての「ローマ史」の読み方』など多数。
【書誌情報】
パピルスが語る古代都市: ローマ支配下エジプトのギリシア人著者:ピーター・パーソンズ
翻訳:髙橋 亮介
出版社:知泉書館
装丁:単行本(514ページ)
発売日:2022-08-03
ISBN-10:4862853684
ISBN-13:978-4862853684