ユニコーン×東京スカパラダイスオーケストラ『SMA50&Uc300祭〜横浜ユニパラ團〜』2日目ライブレポート

『SMA 50th Anniversary presents「SMA50&Uc300祭〜横浜ユニパラ團〜」』

ユニコーン×東京スカパラダイスオーケストラ『SMA50&Uc300祭〜横浜ユニパラ團〜』2日目ライブレポート

9月10日(火) 18:00

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Text:兵庫慎司Photo:三浦憲治、永井峰穂(ライトサム)

『SMA 50th Anniversary presents「SMA50&Uc300祭〜横浜ユニパラ團〜」』、神奈川県民ホール2デイズの2日目=8月29日(木)、ユニコーンと東京スカパラダイスオーケストラの対バン。どういう趣旨のイベントなのかに関しては、 前日のユニコーンと氣志團のレポ の冒頭に書いたので、ご存じない方は、そちらをご参照ください。

まずはスカパラ。SEで「るろうの形代」のインストバージョンが流れるや否や、メンバーはまだ出て来ていないのに、ものすごいハンドクラップが場内を満たすほど、最初から客席のテンションが高い。1曲目は谷中敦、GAMO、大森はじめがマイクを持って「DOWN BEAT STOMP」。22年前のリリース以来、世界各地でスカパラのライブにおけるピークを担い続けてきたこの曲に、オーディエンスが狂喜する。曲終わりで谷中、「すごいねぇ!盛り上がってくれているねぇ!もっと声聴かせてくださいよ。(声を聴いて)いいサウンドだ!!」と、本気でうれしそう。

東京スカパラダイスオーケストラ

1990年5月1日に『スカパラ登場』でメジャーデビューする3カ月前、ユニコーンのライブで、ホーンセクションのメンバーは初めて日本武道館に立った──という話をする谷中。「そんな、我々にとって先輩であり憧れの対象であるユニコーンですが、今日は憧れを捨てて!思いきり戦いに行こうと思うよ!」という宣言から「戦うように楽しんでくれよ!」のおなじみのセリフにつなげて、スカパラの中でもトップクラスのBPMの速さを誇る「Glorious」になだれ込む。

後半での谷中の「タオル回せ回せー!」という煽りに応えて、客席中でものすごいスピードでタオルが回りまくるさまは壮観。曲の締めで谷中は『スカパラ甲子園』のタオルを、背中で掲げてみせた。
続く「火の玉ジャイヴ」ではGAMOが「イェーオ!」のコール&レスポンスを求め、「ルパン三世のテーマ’78」では加藤隆志がセンターに来て煽りまくる。「STROKE OF FATE」では谷中や大森はじめがソロを聴かせた。まだ前半なのに、ステージの上も下も、もう昇天しそうな勢いである。次の「東雲25時」で、ようやく客席がクールダウンできる時間になった。

GAMOのアジテートで始まった「Natty Parade」、NARGOの鍵盤ハーモニカ独奏を経ての「SKA ME CRAZY」。ハッピーかつ華やかな空気で、神奈川県民ホールが満たされる。後者では、北原雅彦が間奏のソロで回転しながら「メリーさんの羊」を吹いたり、スケボーに乗ったりと大忙し。
『ケダモノの嵐』のCDの帯は、丸い穴から川西さんの顔が覗いていて、「この人がドラム」と書いてある。それを見て、俺このバンド絶対好きだと思った──というMCから、茂木欣一が歌ったのは「一日花」。「“NO BORDER” 3部作」として、7月~9月と3カ月リリースする中の1曲で音源ではimase&習志野高校吹奏楽とコラボレーションしている楽曲だが、この日はスペシャルverとしてスカパラメンバーボーカルによるアレンジが披露された。
この曲が終わると、谷中が「次は、みんなに思いっきり驚いてほしいゲストが来ますよ!」と黒スーツ姿の奥田民生を呼び込み、「美しく燃える森」のイントロが奏でられる。
谷中、「驚いたかー!!」。この場にいる人、おそらくひとりの例外もなく、「この対バンなら出ないわけない」と呼んでいたであろうにも関わらず、ものすごいボリュームの大歓声が響いた。いいお客さんばかりだなぁと、つくづく思う。あと、この曲をスカパラでOTが歌うのを生で聴けたのは、かなり久々な気もする。

左から)奥田民生、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)

OTが去って「Paradaise Has No Border」が始まると、今度はユニコーン全員で登場。テッシーはギター、OTがサックス、ABEDON がトランペット、EBIがトロンボーン、川西幸一がコルネット、か?おもちゃみたいに小さいやつ。本当に吹いている人も、吹いているフリの人も、フリすらせずにトロンボーンを振り回している人も含めて、みんなで賑々しく盛り上げる。

スカパラは「GAMOさんこっちこっち」と印刷された「こっちこっちタオル」というグッズを出していて、この曲でそれを掲げると、フロントの6人みんなでそっちに行って演奏する──というのが恒例になっているが、この日は「ユニパラさんこっちこっちタオル」が販売されており、沖祐市、茂木欣一、大森はじめ以外の11人で、そっちに行って演奏しまくる、という楽しい光景がくり広げられた。

ユニコーンが去ってのラスト曲は「Dale Dale! ~ダレ・ダレ!~」。この曲が、2019年のアルバム『ツギハギカラフル』に収められた時のフィーチャリングボーカリストは、茂木欣一の大学時代の後輩、チバユウスケだった。

ユニコーンは、当然ながら昨日と同じく「CSA一発新録バージョン=SMA」をSEにして登場、「WAO!」でスタート。間奏でリズムに合わせてEBIが一言入れるところを、昨日は「氣志團!」で今日は「ユニパラ!」。
間奏明けで演奏がブレイクして歌だけになるところでは、ABEDONが脱線して「トランペット吹いたらさぁ、唇がタラコみたいにさぁ、腫れてきちゃってさぁ......」と訴え始め、川西幸一のハイハットカウントからの演奏に遮られる、という愉快な一幕も。

左から)川西幸一(ユニコーン)、ABEDON(ユニコーン)

メンバーそれぞれが交替で歌う「あなたが太陽」の間奏では、昨日と同様(というかいつも)OTとテッシーが、しばしギター演奏を放棄してダンス、謎のステップを踏む。

「ペケペケ」を経ての最初のMCでは、OTがこのライブの趣旨を説明するが、「......スカパラに僕たちがちょっと出たことで、もういいんですよ。昨日の俺らの出番の、50分ぐらいの体力を、もう使ってるよね?」と、テッシーに同意を求める。
さらに「スカパラのみなさんは、とっくに就寝してますけども。自分たちの仕事は終えてね」とか、「スカパラみたいに盛り上がれないのよ、どうやっても。まぁでも、頑張りますよ」などと言ってから、「ネイビーオレンジ」「おかしな2人」と、速く激しくハイカロリーな2曲で、見事に客席をヒートさせる。

手島いさむ(ユニコーン) EBI(ユニコーン)

「おかしな2人」では、EBIとABEDONもステージ前方へ。ABEDONはパッドを叩く(オリジナル音源のティンパニのところ)。「チラーRhythm」ではOT、イントロや間奏の入りなどで、何度も「横浜―!」と雄叫びを入れた。川西幸一の二度目の「ちらちらー」は「ちら、スカ、スカパラ」とやや失敗気味で、言った本人もメンバーもオーディエンスも、思わず笑う。

バックトラックから人力に曲内で変化する「ZERO」を終えたところで(川西&EBI、今日も素晴らしい猛ダッシュ)、OT、「みなさん、驚くかと思いますけれども、超サプライズが!スカパラホーンズ!」と、NARGO、北原雅彦、GAMO、谷中敦を呼び込む。共に演奏するのは「大迷惑」。音源でオーケストラが担っている上モノを4人が演奏することで、音がぐっとドラマチックになる。曲の締めでOTが、「かっこいいー!かっこいいー!」と連呼し、曲が終わると「豪華、豪華、贅沢!」と称賛した。

続く「SAMURAI 5」の中盤では、ABEDONの「俺が昨日の夜、酒を飲みすぎて、二日酔いで起きて歌った歌は、なんだと思う?」で、演奏が止まり、トークがスタート。ABEDONが、この流れで昨日の氣志團みたいにスカパラをひっぱり出す気かも......と危惧したが、しばらく喋った末に、「俺、ここ、伸ばす気はなかったんだ。さすがにスカパラには、むちゃ振りはできないし」と、曲に戻った。

「ありがとうございます。やっぱりこうして、知ってる人と一緒にやって、半分半分でやっていきたいな。自分たちで2時間とかやめようよ。ちなみに俺、ソロになったら、ほんとにひとりで......やめようぜ、もうそういうの。楽しい人たちと一緒にやりたいです」
10月26日・27日に両国国技館2デイズ(しかも1日目は『ひとり股旅』)を控えたOTによるそんなMCに、ABEDONが「寂しいの?」と応じて爆笑を取ってから、最後の曲へ。OTは、「SMA60周年で会いましょう」と言ってから、「アルカセ」を歌い始めた。

奥田民生(ユニコーン)

アンコールの「マチュリー」では、スカパラも全員登場。ホーンズの4人は演奏、他の5人は片手にマイク、片手にうちわで、客席を盛り上げまくる。こういうアンコールセッションで、楽器なしでステージに出させられて、どう振る舞えばいいのか分からなくて困るミュージシャンを見たことが何度もあるが、というか困るのが当然だが、スカパラにはひとりもそういう人がいない。という点でも、稀有なバンドだと思う。客席をバックに14人で記念撮影。「台風気をつけて!外どうなってるか知らんけど、気をつけて!撤収!ありがとう!」というOTの挨拶で、2日間のイベントが終了した。

<公演情報>
『SMA 50th Anniversary presents「SMA50&Uc300祭〜横浜ユニパラ團〜」』

2024年8月28日(水)・29日(木)神奈川県民ホール

■8月29日(木)
出演:ユニコーン/東京スカパラダイスオーケストラ

セットリスト

■ユニコーン
01.WAO!
02.あなたが太陽
03.ペケペケ
04.ネイビーオレンジ
05.おかしな2人
06.チラーRhythm
07.ZERO
08.大迷惑(with 東京スカパラダイスオーケストラ)
09.SAMURAI 5
10.アルカセ
En.マチュリー(with 東京スカパラダイスオーケストラ)

■東京スカパラダイスオーケストラ
01.DOWN BEAT STOMP
02.Glorious
03.火の玉ジャイヴ
04.ルパン三世のテーマ’78
05.STROKE OF FATE
06.東雲25時
07.Natty Parade
08.SKA ME CRAZY
09.一日花
10.美しく燃える森(with 奥田民生)
11.Paradaise Has No Border(with ユニコーン)
12.Dale Dale! ~ダレ・ダレ!~

ユニコーン公式サイト:
https://www.unicorn.jp/index.html

東京スカパラダイスオーケストラ公式サイト:
https://tokyoska.net/

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