anan総研メンバーをはじめとする20~30代の働く女性150人に、チームについてのアンケート調査を実施。2024年現在のチーム観を心理カウンセラーの五百田達成さんが読み解きました。
「コロナ禍や働き方改革を経て、会社などへの帰属意識が薄くなっているといわれる昨今。皆さんがどのようなチーム観を持っているのか興味がありました」
そう語る心理カウンセラーの五百田達成さんが、anan読者によるチームについての意識調査の結果を分析。今どきのチームのあり方を読み解いてもらった。
「一番印象的だったのは、和を重んじる傾向がまだ強かったということ。チーム内においては、バランサーやサブリーダーといった調整的役割を自任する人が多数。人間関係では風通しの良さや、互いにサポートし合えることを求め、チームで活動する上では、コミュニケーションを大切にする傾向が見て取れます。今の20~30代はクールで自立した個人主義者が多いのかなと思っていましたが、チーム一丸となって目標を達成し、喜びを分かち合いたいという人は、変わらず多いんですね」
とはいえ、転職、異動、チームの再編成、フリーランス、多様性に富んだメンバー…チームをめぐる環境は刻々と変化する。だからこそ「これからの時代、チームで働くには柔軟性が必須」だそう。
「そのためには、さまざまなチームやコミュニティに属し、経験値を高めることが大切。いろんなタイプのリーダーがいることを知り、自分の立ち位置を俯瞰できるようになれば、どんな組織、立場でも活躍できて、変化にも対応できる最強のユーティリティプレイヤーになれると思います」
Q. チームで活動をしていて良かったことは?
・何かひとつの目標があると、人はこんなに団結できるんだと思いました!普通にお茶するよりも一気に仲良くなれる感じがします。仲間意識ってすごい!(31歳・公務員)
・観客3000人の前でのパフォーマンスなど、大規模なイベントを達成させた時は感動します!(35歳・自由業)
・当たり前ですが、メンバーが多いほど共有した出来事がたくさんの人の記憶に残ることです。(29歳・広告)
・チームで一つのものを達成できた時の喜びは何にも代えられないです!ダンスチームで活動していた時にそれを感じていました。(32歳・PR)
・苦手なところはメンバーに助けてもらい、逆に私の得意分野では積極的に行動して、みんなで助け合って活動することができました。(23歳・美容関係)
・メンバーと苦楽を共にして、長く付き合える友人ができました。また、共に活動するなかで、人間的に成長できた気がします。(24歳・会社員)
Q. チームで活動する上で気をつけていることはありますか?
・適材適所を見つけること。わたしはリーダーよりも全体のバランスをとる役割が得意だと思っているので、誰かが辛そうにしていたら話を聞いて、もっとやりやすい環境を作れないか考えるようにしています。(31歳・編集者)
・この人だけに優しいとかこの人だけに厳しいみたいな見え方をしないために、みんなと一定の距離感を保つ。(35歳・フリーランス)
・相手と自分の思考回路の違いを理解する。(31歳・PR)
・親しき仲にも礼儀あり。どんなに仲が良くてもお互いへの礼儀や感謝は忘れないことが大切かなと思っています!(32歳・公務員)
・足手纏いにならないように、自分のことは自分で完結できるよう努めている。チームに関係することは後回しにしないようにする。(34歳・会社員)
・どんなに忙しくても、コミュニケーションは可能な限り積極的にとる。はしょらない。~だろう会話をしない。(27歳・フリーランス)
仕事のチームについて聞きました!
仕事をする上では、大なり小なり、チームワークが必須。そのなかでの立ち位置や感じていることなどを調査。
Q. チーム内でのあなたの役割は?
バランサー…29%、サブリーダー…14%、リーダー…11%、ムードメーカー…5%、精神的支柱…5%、ブレーン…5%
バランサーやサブリーダーなど、自分は潤滑油的役割だと思う人が多いことは、和を重んじる日本的な結果にも思えるが、「リーダーや精神的支柱、ブレーンだと回答した方が一定数いたことが印象的。なるべく目立ちたくない、人に指示するのが苦手などの理由で敬遠されがちだった立場を、少しずつでも自覚できる女性が現れているという事実はとても頼もしいです」
Q. 理想のリーダー像は?
ルフィ(ONE PIECE)、竈門炭治郎(鬼滅の刃)、リヴァイ兵長(進撃の巨人)、五条 悟(呪術廻戦)、江戸川コナン(名探偵コナン)
エンタメ作品で挙げてもらうと、さまざまなアニメキャラが!多様な仲間と共にチームを大きくしていくルフィ、忍耐強く努力家の炭治郎、クールだが圧倒的な実力を誇るリヴァイ…。「一言でリーダーと言ってもいろんなタイプがあるし、理想のリーダーも多様性の時代ですね」
Q. 良いチームの条件は?
1位…意見が言いやすい、1位…サポートし合える関係性、3位…信頼関係が構築されている、4位…団結力がある
「風通しの良さ、相互扶助、信頼、団結力が上位にランクインするのは、実は20~30年前も同じ。ある意味、クラシカルな日本のチームの特徴だといえます」。一方で、僅差で5位以下には、メンバーの個々の能力が高い、役割が明確であるといった合理的な意見も。「欧米型の“自立した個人のプロフェッショナル集団”を良しとする若い世代が増えていることは、仕事人としての意識の高まりの表れだと思います」
Q. リーダーをやってみたいと思いますか?
YES…13%、NO…87%
【YESの理由】
・スキルアップのため(複数)
【NOの理由】
・自分のやることに集中したいから。(28歳・会社員)
・仕事観が合わないメンバーとどう接していいかわからない…マネージャーになっても、責任だけ増えて給料にはあまり反映されていないと感じるため。(37歳・広告)
・自分はリーダータイプではないかなと思うから。どちらかというとチームを引き上げる縁の下の力持ちだと思います。みんなが楽しく上を向いて頑張れるようにサポートするほうが合っているかなと思います!(28歳・会社員)
リーダーに積極的な人は1割強のみという、少し寂しい結果に。「“NO”の理由が、自分はサポート向きだからという人が多いのは想定内。先述した、チーム内の役割の結果にもつながります。ただ、『責任だけ増えて給料に反映されない』など、リーダー職の価値を実感できないのは、組織にも問題があるのでは?とはいえ、リーダーもいろんなタイプがあっていいのだから、自分の可能性を制限せずに挑戦してほしいですね」
Q. チームメンバーとの違いで気になることは?
仕事上の価値観の違い…32%、ワークスタイルの違い…27%、個人としての価値観の違い…27%、年齢差…12%、その他…2%
・なんでもやってみよう精神の人と、自分のキャパ以上のことは外注したい精神の人でぶつかったことがあります。(34歳・PR)
・年齢が30歳近く上のメンバーに囲まれているのですが、定年間近ゆえの無責任発言があるとがっかりしてしまいます。(37歳・広告)
・仕事をライフワークではなく、ライスワークとして捉えている人と価値観が合いませんでした。(32歳・編集者)
・目的は同じでも手法が違うと意見が合わない時もあります。(26歳・広告)
仕事とプライベート併せての価値観の違いと、自分のスタイルとの違いを挙げた人を合わせると8割以上。「チームといっても別の人間の集まりなので、自分と合わない部分があるのは当然。いろんなことに目が行き届く敏感さは大事ですが、チームで動く以上は、受け入れる寛容さや柔軟性が必要です。別の人間が集まって活動することがチームの強み。違う視点や切り口を生かすという方向で考えるようにして」
Q. チーム力を上げるために実践していることを教えてください。
・定期的にランチ会を開いてみんなで美味しいものを食べ、仕事を忘れて楽しむ!という、人と人のコミュニケーションを大切にする時間をとったりしています。(33歳・会社員)
・月に1度、チーム功績を発表する。おかげでチーム力が上がっています。(25歳・不動産)
・在宅と出社のハイブリッドで、在宅ではコミュニケーションが減っていることが多い。出社した際は声をかけるようにしています。(29歳・PR)
Q. チームが急に変わった時にびっくりしたこと、困ったことを教えてください。
・マネージャーがプレイヤーすぎて、メンバーの業務をほとんど理解していない時に困った。仕事が集中して業務時間が増え、しんどかった…。(29歳・広告)
・チームリーダーが子持ちのため、会議は基本18時までというルールがあることに驚きました!(22歳・編集者)
Q. 仕事以外でチームに所属していますか?
YES…15%、NO…85%
YESのうち、
1位…スポーツ、2位…趣味のサークル、3位…習い事、4位…地域活動、ボランティア
所属している人が15%というのは、意外と少ない印象。「もしかすると、ゆるいコミュニティに所属している人ならもう少しいるかも?いずれにせよ、仕事以外のセカンドプレイス、サードプレイスを持つことはおすすめです。スポーツや趣味、習い事、ボランティアなど、仕事だけじゃない居場所は絶対にあったほうがいい。いろんな組織や人間関係を経験すると、変化に対応しやすく、どんな組織、立場でも活躍できるようになりますよね」
五百田達成(いおた・たつなり)さん心理カウンセラー、米国CCE,Inc.認定GCDFキャリアカウンセラー。近著は『話し方で老害になる人尊敬される人 若者との正しい話し方&距離感 正解・不正解』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
※『anan』2024年9月18日号より。イラスト・ery取材、文・野尻和代
(by anan編集部)
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