特撮が好きで好きで大好きで大好きで、愛しすぎるあまりに自分で特撮ヒーローを作ってしまった男が新潟にいる。その名は、星知弘さん。新潟県長岡市(旧・栃尾市)が生んだ特撮ローカルヒーロー番組『炎の天狐 トチオンガーセブン』は、彼が作り上げた作品だ。特撮ファンならば、知っている人は多いだろう。企画・製作・主演・脚本・主題歌などすべてを自分でやるという星さんが注目されたのは、2018年12月放送のTV『激レアさんを連れてきた』だった(その後も再放送される機会が多く、それを目にした視聴者の反応も大きかったという)。新潟では番組がTV放送もされたため、トチオンガ―セブンは、新潟県内のイベントでは子どもたちに大人気だ。そして2024年、第2のヒーロー茨木童子(いばらきどうじ)プロジェクトが動き出した!第2のヒーロー番組『走れ!茨木童子』の制作が進む中、今回は特別に星さんに直接お会いして、お話を聞くことになった。待ち合わせ場所にいる星さん、その背の高さにびっくり。テレビの画面越しに見る役者さんは実際はそれほど大きくない方も多い中で、まさにヒーローといった感じだった。
>>>星知弘さんや撮影現場での様子を見る(写真7点)
◆トチオンガーにつづくヒーロー、茨木童子!◆――トチオンガーにつづく第2のヒーロー誕生おめでとうございます!早速ですが、今回はトチオンガーとはまた違ったヒーロー像になるとか。星70年代の特撮番組って、人間のドロドロとした情念というか、人間の悪の部分も扱っていたと思うんですね。たとえば、川内ヒーロー3部作(※)でも、当時の問題や人間の欲、泥臭い部分も入っていたじゃないですか。今回は、いろんな欲に駆られる鬼族に簡単に騙されてしまう茨木童子が、最終的に悪を成敗する、そんなお話といえます。※星さんがここでいう川内ヒーロー3部作とは『愛の戦士レインボーマン』(1972)、『ダイヤモンド・アイ』(1973)、『正義のシンボル コンドールマン』(1975)の川内康範原作の特撮3作品のこと。敵の作戦がインフレから食糧危機、人工地震や人工津波など、今見ても色あせない恐怖といえよう。――川内康範先生原作の特撮番組というと、お金や社会的な危機とか、かなり人間のドロドロした部分を題材にしていましたよね。星そういうのが好きなんですよ。当時の番組製作って、これは推測なんですが、作り手の大人たちがやりたいことをやっていたように思うんですね。脚本や監督などそれぞれの役割分担はあるけれど、子ども向けだからこうしなきゃいけない、なんていうのは考えないで。それぞれが好きなもの、やりたいことを作っていたと思うんですよ。自分の場合は、製作も造形も出演も全部自分でやっているので、もうやりたいことをやらなきゃダメだと思ってます。――それを3分間作品にするとなると、かなりギュッとつまっている作品なのでは?星そうですね。3分間にギュッと詰め込んでいて、全部で12話。5分間番組って昔も今もフォーマットとしてあるので、それを12話で配信でもなんでも放送しやすいようにと考えています。――星さんが描く現代の悪、誰もが持っている人の欲望などは楽しみです。星実は僕自身も痛い目にもあってますからね(笑)。でもそんなときに、ヒーローを思い浮かべちゃうんです。ヒーローって逆境に立たされるでしょ。そうするとなんだか楽しくなってきちゃうというのもよくないかなって(苦笑)。それでも、やはり体験したことって大きいんですよ。どんな作り手も経験を反映させることってあると思っています。子ども向けヒーロー作品ではあるんですけど、そこにピリッとしたものを入れたい。そう思っています。もちろん、子ども向けのヒーロー番組ですので、コメディ的な要素を加えています。もっとも、茨木童子はすぐに騙されちゃうというそんなキャラなんですけどね(笑)」
◆『走れ!茨木童子』に込めた、星さんのこだわりとは?◆――撮影は、フィルムでされていると聞きました。星これはこだわりですね。もちろんフィルムなので、すぐに見ることができないんですよ。現像も大阪まで出して。撮影は16ミリフィルムで行いますが、そのフィルムを更にデータにして(テレシネ=フィルム映像をビデオ映像に変換)、編集です。実際に見ると、出来上がった映像はやっぱり違うんですよね。製作費はかかってしまうんですが、これも譲れない部分でした」――柔和な笑顔で話してくれていますが、めちゃくちゃカタイ意志を感じます。強い意志ではあるけれど、星さんはヒーロー願望があるという感じではないような気がします。星ヒーローになりたいというよりは、何より特撮ヒーロー作品が作りたいという気持ちが大きいですね。子どもの頃はもちろんヒーローごっこをして遊んだりしていましたが、こうして残る作品を作りたいんです。今までに作ってきた作品、それがすべてですね。ローコスト住宅一軒分くらいのお金は制作に使ってきましたけど、たとえばそのお金が戻るけど、今までの作品がすべてないものになるよ、と言われたら、まったく迷わずに作品が残ることを選びます。幼少の頃に見た昔の番組から多大な影響を受けつつ、地元新潟県長岡市でこだわりを持ちながら作品を作る。不易流行、温故知新なんていう言葉も浮かんだりするが、何よりも泥臭く熱い(特撮番組愛好の)感性で、星さんは作品を真摯に作っている。特撮作品『走れ!茨木童子』の完成・配信開始は、2025年を予定している。
【関連記事】
・【仮面ライダーガヴ】銀色塗装フィギュアで集結! &9月16日の食玩
・【バットマン】カルチャーショップ「BAIT」から85周年を彩るTシャツ登場
・【ウイングマン】健太は藤岡真威人、アオイは加藤小夏、監督は坂本浩一!
・【ウルトラマンアーク】第10話のアマチュア無線は専門企業が指導!
・【ウルトラマンレオ】熱い想いの込められたアイテムが登場!