「ゴミ」や「うんち」と聞くと、誰もが汚いものを連想するはず。もともとは人間が生み出したはずなのに、その存在は見たくないものとして忌み嫌われる。ゴミ捨て場やトイレはブラックボックスのように、その存在を隠す。けれど、自然界でゴミやうんちはそのまま残り続けることはなく、すべてが循環している。本展「ゴミうんち展」は身の回りから宇宙まで、あらゆる場所にあるゴミうんちとその循環をテーマにしたものだ。
地球上の「ゴミ」や「うんち」から循環について考える。
会場はまずギャラリー1を「糞(くそ)驚異の部屋」と称し、さまざまな「ゴミうんち」にまつわるものを紹介。リサイクル資源、化石や貝殻、190種類を超える土、うんちから作られるプロダクト、実際のうんち、発酵にまつわる身近なもの、トイレに関する資料など、約300~400種の膨大な展示でゴミやうんちの正体を探る。続くギャラリー2では、「ゴミうんち」という新しい概念を元にリサーチした、参加作家による既存作品や新作、インスタレーションなどが登場する。
ちなみに本展にはグラフィックデザイナーの岡崎智弘やモーショングラフィックデザイナーのデイブ・ホワイト、音楽家の蓮沼執太、ファッションブランド『amachi.』のデザイナー吉本天地など、世代やジャンルを超えて約25組のアーティストが参加。幅広い業界からの参加者が多いことからも、テーマへの共感者が多いことがわかる。
「様々なゴミうんちを取り上げ、観察することで、社会問題だけではない側面も浮き彫りにしたい。不要なものとはまた違う“ゴミうんち”という新しい概念をきっかけに、制作過程やデザインに着目し、これからは循環に向きあう場が生み出されるといいですね」(同展主催者)
山野英之「クソバッジ」
安全ピンを付けバッジにすることで漂流物などの役に立たないものが大切なモノに変化する価値観の揺れに気付かされる作品。
狩野佑真「Rust Harvest」(撮影:Gottingham)
劣化の象徴だった錆の魅力に気づいた作者が、自ら錆を育てて新しい模様を生み出した作品。
井原宏蕗「cycling‐black dog‐」(撮影:副島泰平)
動物の糞を素材に作られた彫刻。漆で糞を固めることで普遍的な存在に。生命活動を形にした彫刻作品。
松井利夫「サイネンショー」(撮影:白石和弘)
使わなくなった陶器を、再度薪窯でより高い温度で焼き上げ、陶器に新しい価値を生み出すプロジェクト。
マイク・ケリー「Life Cycles」
工場で生まれてから解体されるまでの、大型人工物である飛行機のライフサイクルを撮影したシリーズ作品。
ゴミうんち展21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2東京都港区赤坂9‐7‐6東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン9月27日(金)~2025年2月16日(日)10時~19時(入場は18時30分まで)※六本木アートナイト特別開館時間:9/27・28は10時~22時(入場は21時30分まで)火曜(2/11は開館)、年末年始(12/27~2025年1/3)休一般1400円ほかTEL:03・3475・2121
※『anan』2024年10月2日号より。取材、文・山田貴美子
(by anan編集部)
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