【写真】ソン・ジュンギ主演「財閥家の末息子 ~Reborn Rich~」
2022年に韓国で公開されたドラマ「財閥家の末息子 ~Reborn Rich~」が、オンライン動画配信サービス「Hulu」にて全話配信中。同作は最高視聴率20%超えをマークし、JTBCドラマ初回放送の最高視聴率を記録した人気ドラマだ。事故の衝撃により、「せん妄」の症状が出てしまったヤンチョル(イ・ソンミン)。金融持ち株会社の設立とその会社の代表をドジュンに任せることを理事会で発表する予定だったが、とても出席できる状態ではなくなってしまった。そのことを知ったスニャン一族は、ドジュン(ソン・ジュンギ)を引きずり下ろすために動き始める。ヤンチョルの病気やスニャンの後継者争いはどう動いていくのか、そしてドジュンはスニャン一族とどう対抗していくのか。本記事では、考察を踏まえながら第12〜14話を振り返る。(以下、ネタバレを含みます)
■「財閥家の末息子」とは
スニャングループの未来資産管理チーム長ユン・ヒョヌ。長い間、忠誠を尽くし意見も反発もせずスニャンのために献身的に働いてきた彼は、ある日グループ会長の孫であるチン・ソンジュン(キム・ナムヒ)からペーパーカンパニーの資金回収を任される。
海外に流れた資金を取り戻すためにトルコへ向かったヒョヌだが、あっけなく会社に切り捨てられ銃弾に倒れてしまう。崖に転落したヒョヌが目を覚ますと、時はソウルオリンピックを翌年に控え、民主化へと突き進む激動の1987年だった。なんとヒョヌは、スニャングループ末孫チン・ドジュンの体に移り込み、二度目の人生を歩むこととなったのだ。
自分の知る未来の情報を武器に、スニャングループの一族として生まれ変わったことを武器に、自らを殺害した一族への復讐に挑む。
韓国で2022年最高の期待作と呼ばれ大きな注目を集めた本作は、韓国JTBCドラマ初回放送の最高視聴率を記録する。主演には、“成均館病”という言葉を生み出した美貌もさることながら、演技力で数々のヒット作を生み出してきたソン・ジュンギを起用。彼の甘いルックスもさることながら、シリアスさとファンタジー要素も含んだストーリー展開が注目を集めた。
■財閥家の末息子12話~14話のみどころ
12話では自分は昏睡状態であると嘘の情報を家族に伝え、自分たちを殺そうとした犯人探しを始めたヤンチョル。しかし事故の衝撃によりせん妄の症状が出始めてしまう。
理事会で金融持ち株会社の設立案を可決させ、ドジュンを社長候補に推薦するためにはヤンチョルの力が必要。しかしとても理事会に出席できる状態ではなかった。そしてヤンチョルの症状をいち早く手に入れたソンジュンは、理事会でドジュンに協力するふりをして父のヨンギ(ユン・ジェムン)を社長候補に推薦する。
13話では現在こそ業績が低迷しているものの、将来スニャンを担う事業になると信じてヤンチョルが手放さなかったスニャン自動車を売却するか検討していたヤンチョル。しかしドジュンは2002年FIFAワールドカップの開催に合わせて、新車「アポロ」の販売戦略を打ち出す。なぜならドジュンは、韓国代表がベスト4に残ることを知っていたからだ。
強気なドジュンに対し、周囲はもちろんヤンチョルも半信半疑。そしてベスト4進出の日、ついにヤンチョルが息を引き取る…。
14話では、ヤンチョルの死によってスニャンの経営権を巡る争いが動き出した。イ室長を利用してドジュンを出し抜き、スニャン金融持ち株会社の実権を握ることになったヨンギとドンギ(チョ・ハンチョル)。
しかし金産分離緩和法案が否決され、金融持ち株会社の設立は幻となってしまう。自分はスニャンの次期総裁になれないと悟ったドンギは、スニャンの金融関連会社を分離させて金融グループを作る策に打って出る。その足掛かりとして、ミラクルインダストリアルが持っていたスニャンカードの買収に乗り出すが…。
■事故の衝撃によりせん妄の症状が発生…ヤンチョルとドジュンを殺そうとした犯人も明らかに
事故では大きな怪我はなかったものの、そのときの衝撃からせん妄の症状を発症してしまったヤンチョル。時刻の確認や着衣さえも満足にできない状態のヤンチョルに、ドジュンは事態の深刻さを痛感していた。
ここで繰り広げられるのが、ドジュンとソンジュンの見えない火花が飛び散る頭脳戦だ。ドジュンはソンジュンに、ヤンチョルが昏睡状態であることは嘘であること、事故はただの交通事故ではなくスニャン一族の誰かによる殺人計画であること、そしてヤンチョルは「理事会で金融持ち株会社の設立を反対する者が犯人」と考えている旨を伝えた。その上で、理事会で持ち株会社の設立に賛成して欲しいと頼むことで、ソンジュンに協力させようとしていたのだ。
しかし以前いっぱい食わされたソンジュンがドジュンの言うことをそのまま聞くはずもなかった。ソンジュンの策略に、今度はドジュンがうなることになる。
一方で、ヤンチョル殺害未遂事件の真相もまた闇が深かった。財閥家ならではの金をめぐってのむごい動機ではなかったものの、だからこそ思い通りにいかない人生の難しさを感じられる。因果応報ともいうべきヤンチョルの罪が"いまこのとき”に牙をむいたのは、まさにドラマチックな展開を呼ぶカギとなった。
未来知識をもとにした事業戦略はいつもどおりながら、"ヤンチョルの死”という大きな転機を迎えたのも物語が終わりに近づいていることを感じさせる。ヤンチョルの遺言書がもたらした混乱のなかでもヤンチョルの名誉を守るドジュンの義理堅さはさすがだが、その後立ち回りがさらに場を描き乱す。
大黒柱を失っていよいよ混沌の様相を呈してきたスニャン一族。グループの株価は暴落し、大きな危機を迎えることとなった。しかしそんな陰鬱とした物語のなかにあって、「ドジュンは私の孫だ。私に一番よく似た孫だ」と笑顔で答えるヤンチョルの映像は強大な破壊力を持っていた。最期の言葉に思わず涙するドジュンに、釣られて泣いた人は少なくないはずだ。
それでいて、ドジュンのなかにいる“ヒョヌ”が殺されるきっかけとなったペーパーカンパニーの情報が飛び出す。残り2話でヒョヌが死なねばならなかった理由と、その黒幕が明らかになる。
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