【写真】緊迫感たっぷり…“衝撃の最期”が描かれた第8話のワンシーン
俳優の西岡徳馬が、10月5日に78歳の誕生日を迎えた。西岡とはこれまでも数々の作品で共演してきた俳優の真田広之がプロデューサー・主演を務め、「第75回米エミー賞」で18部門受賞したことで話題のドラマ「SHOGUN 将軍」では、真田演じる吉井虎永に仕える戸田広松を演じた西岡。今回はドラマ、映画、舞台と幅広く活躍し続ける西岡の代表作を振り返りながら、本作での名演技について紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
■オーディションを経て挑んだハリウッド版戦国スペクタル
西岡は1970年に劇団文学座に入座し、多くの舞台で主演を務めてきた。1979年に劇団を辞めて以降は、テレビや映画などでも出演作が増え始め、大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」(1991年、フジテレビ系)でヒロイン・赤名リカ(鈴木保奈美)と不倫関係だった上司役に抜てきされ、一躍脚光を浴びる。これまで多くのNHK大河ドラマにも出演しており「武田信玄」(1985年)、「春日局」(1989年)、「翔ぶが如く」(1990年)、「太平記」(1991年)、「北条時宗」(2001年)など、時代劇に欠かせない名バイプレイヤーとしても名をはせた。真田とは「太平記」で共演しており、「SHOGUN 将軍」の現場で久しぶりに再会した際に「日本の時代劇ってこんなのかって恥をかかないような作品を作ろう」と、鼓舞し合ったそう。
そんな“時代劇のプロ”西岡は「SHOGUN 将軍」の主演を真田が務めることを知り、オーディションを受けて長期間に及ぶカナダ・バンクーバーでの撮影に臨んだ。
「SHOGUN 将軍」は真田がプロデュースと主演を務め、ハリウッドが“本気”で描いた戦国スペクタクルドラマ。海外制作ながら日本人の役を日本人が演じ、スタッフも日本から時代劇の専門家をそろえ、セリフのほとんどが日本語で演じられているという異例の作品で、先日発表された米エミー賞では作品賞、主演男優・女優賞など18部門を受賞し、国内外で大きな注目を集めている。
西岡が演じたのは、徳川家康に重用された細川藤孝にインスパイアされた広松。長年にわたり戦国一の武将・虎永に仕えてきた忠実な家臣である広松は、他者を信用しない虎永にとって、幼い頃からお互いを知り合う関係性から“ただの”家臣ではなく、唯一無二の友とも言える存在だ。
オーディションを経て挑んだ撮影は、パンデミック禍だったということもあり、撮影期間中は一時帰国せずにカナダのバンクーバーで約8カ月に及ぶ撮影に挑んだ。日本とは異なる撮影スタイル、規模の大きさだが、これまで培った実力を本作でも存分に発揮しており「この作品はハリウッドが制作した時代劇No.1だと自負しています」と自信を見せている。特に第8話「奈落の底」の“最重要シーン”で見せた真田と西岡の名優2人の緊迫感あふれる演技には、言葉にならない衝撃を覚えた視聴者も多かっただろう。
■真田&西岡、渾身の名シーンにその場の全員が感涙
西岡自身も「このシーンをやるために僕はこの作品に参加したと思っていますし、真田もそう思っていたので。(撮影の日の)朝に会ったとき『徳馬さん、いよいよあのシーンが来ましたね』とそれだけ言った」と、強い思いを明かしている。第8話では異母弟・佐伯信辰(奥野瑛太)の策にはまり窮地に陥った虎永が、大坂に降伏の意を伝える展開が描かれた。ライバル・石堂和成(平岳大)への降伏を認める書状に署名を求める虎永と、異を唱える家臣たち。そんな中、口火を切ったのは広松だった。緊張感がじわっと溢れ出す虎永と広松の視線、そして繰り返される会話の末、覚悟を決めた広松は虎永の前で自ら切腹し、最期を迎える。
丸1日かけて撮影した広松の最期について西岡は「撮影が終わったとき、周りに大勢の人がいたんだけどみんな泣いていたんだよね。感動しましたって」と、特別映像のインタビューでも振り返っている。
また、過去に多くの作品で西岡と共鳴し合ってきた真田も「虎永と広松の関係性を言葉なく表現するには徳馬さんしかいなかった! お互い目と目を見交わすような濃い瞬間だった」と、感謝の気持ちを述べており、2人のこれまでの関係性があってこその名シーン誕生だったのだろう。
日本の伝統である時代劇の可能性をさらに広げた本作をはじめ、半世紀以上にわたって幅広い役柄を演じ続けている名バイプレイヤー・西岡の今後の活躍にも期待は膨らむばかりだ。
ドラマ「SHOGUN 将軍」(全10話)はディズニープラスのスターで独占配信中。
◆文=suzuki
※西岡徳馬の「徳」は心の上に一本線が入るのが正式表記
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