<笑うマトリョーシカ・最終回>水川あさみ“道上”が追い続けたハヌッセン問題に決着櫻井翔“清家”「あなたは僕を見誤った」

マトリョーシカを握りしめる清家(櫻井翔)/(C)TBS

<笑うマトリョーシカ・最終回>水川あさみ“道上”が追い続けたハヌッセン問題に決着櫻井翔“清家”「あなたは僕を見誤った」

9月9日(月) 20:38

マトリョーシカを握りしめる清家(櫻井翔)
【写真】夢だった政治家を目指す鈴木(玉山鉄二)

水川あさみが主演を務める金曜ドラマ「笑うマトリョーシカ」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の最終話「全ての謎が明らかに!道上VS操る者!」が9月6日に放送された。清家(櫻井翔)を操るハヌッセンの正体に突き止めるために道上(水川)は、清家のブレーンになる提案を受けた。そして全ての謎が明らかとなった。(以下、ネタバレを含みます)

■人間の欲望と謎が絡み合うヒューマン政治サスペンス

同ドラマは、日本推理作家協会賞や山本周五郎賞など数々の受賞歴を持つ早見和真が2021年に発表した同名小説が原作。抜群の人気を誇る若き政治家と有能な秘書の“得体の知れない不気味さ”に気付いた新聞記者が、彼らを取り巻く黒い闇に迫るヒューマン政治サスペンス。

印象的な笑顔とリベラルな言動で人気を集め、未来の総理候補との呼び声も高い若き政治家・清家一郎と、そんな彼を支える有能な秘書・鈴木俊哉。その2人の奇妙な関係を暴こうと、新聞記者である道上は、彼らの隠された過去を探っていく。

道上の社会部時代の先輩記者・山中尊志を丸山智己、道上の後輩記者・青山直樹を曽田陵介、道上の元夫・旗手健太郎を和田正人が演じる他、清家一郎の母・浩子役で高岡が出演。

さらに、清家と鈴木の福音学園時代の同級生・佐々木光一を渡辺大、大手新聞社社会部の敏腕記者だった経歴を持つ道上の父・兼高を渡辺いっけい、清家の実父で、官房長官を務めた経験もある有力代議士・和田島芳孝を加藤雅也、明るく前向きで肝がすわっている道上の母・香織を筒井真理子が演じている。

■ハヌッセンの正体を突き止めるために道上はブレーンに

清家(櫻井翔)を操る“ハヌッセン”は誰なのか。浩子(高岡早紀)でもなく、顔を変えてヘルパー・田所(和田光沙)として浩子に近付いた元恋人の美和子でもなかった。

清家から電話で呼び出された道上(水川あさみ)は、清家本人に「ハヌッセンは誰なんですか?」と問いただすと、清家はそれに答える代わりに「道上さん、僕のブレーンになってくれませんか?僕のそばにいてくれませんか?」と提案した。

ハヌッセンは清家の近くにいる。そう考える道上は、ブレーンになるという提案を受け入れることにした。
「笑うマトリョーシカ」最終回より


ジャーナリストかブレーンか。難しい選択をした道上(水川あさみ)

■ “ジャーナリスト”か“ブレーン”か、という難しい2択

ハヌッセンの正体を探るために清家のブレーンとなった道上だが、道上に提言したことが清家を通して発表され、改善されていくことに対してうれしさを感じているようにも見えた。

清家から「やっと信頼できる同士を見つけた気がします。道上さんがいればなれるかもしれません、この国のトップに。この国をより良い国にしていきましょう」という言葉をかけられた道上。この後、山中(丸山智己)に「このまま清家さんのブレーンでいたら、間違った方向に行くのを止められると思うんです」と話していたが、清家への見方が変わってきたように感じられた。

BG株事件の証拠となる録音テープの存在を記事にすれば、内閣総理大臣の羽生(大鷹明良)と外務大臣の諸橋(矢島健一)が失脚し、政権は転覆する。しかし、それをしてしまうと清家のブレーンでいることはできなくなる。

“ジャーナリスト”か“ブレーン”か。道上にとって難しい2択だと言えるだろう。

■道上は“ジャーナリスト”としての道を選んだ

熟考した末に道上が出した答えは、ジャーナリストとして記事を出すということ。清家にそのことを伝え、ブレーンを降りることも伝えた。

清家は「あなたが必要です」と引き留めようとするが、「報道の力を信じたい。ブレーンとしてじゃなく、ジャーナリストとしてあなたと、この社会と向き合っていきたいと思います」という意思を伝え、清家の元を離れた。

BG株事件のことが記事になり、羽生、諸橋は失脚。そんな羽生に呼び出され、BG株に関する新たな事実を知ることとなった。

清家の実父・和田島(加藤雅也)もBG株事件に関わっていて、羽生らの関与をもみ消したのも和田島だった。そして、このことを清家も知っていたという。代議士になった直後から和田島の家に出入りしていて、清家は和田島の裏の部分も知っていた。
「笑うマトリョーシカ」最終回より


■実父・和田島が清家を操るハヌッセンなのか

かつて和田島が「首相公選制」を唱えていたことを道上は知り、清家を操るハヌッセンは和田島ではないかと考え、清家に会いに行った。

「今日は生身の清家さんに会いにきました」と伝え、「全部ご存知だったんですね」と、疑問に思っていることを全て清家に話し、「ハヌッセンは和田島芳孝」とストレートにぶつけた。

それを聞いた清家は、和田島と交流があったことは認めたが「僕をコントロールしようとしなかったんです。父も僕と同じ特性を持った人間だから」と明かした。

和田島は清家に、これから様々な人間が操ろうと群がってくるがそれは利用して、“本当の自分”を見つけろとアドバイスを送った。和田島はハヌッセンではなく、むしろ逆で、清家の目を覚ました人間だった。

■清家「僕は誰にも操られていません」

清家は「僕は誰にも操られていません」と道上に伝えた。つまり、“ハヌッセン”がいるという考え自体が間違っていたということになる。

道上を見込んで、本当の自分を見極めてくれると思い、近づき、「僕を見ていてくださいね」というメッセージも届け、ブレーンになってくれるようにお願いしたのだった。

清家を操ろうと思えば操れる立場、ブレーンにまでなった道上。しかし、ブレーンではなくジャーナリストとしての使命を果たそうとした。それに関して清家は道上を高く評価している。しかし、ハヌッセンにこだわりすぎたことに対し、「僕を見誤った」と険しい表情を見せた。

「ヒトラーがハヌッセンを切った時、何を思っていたか分かりますか?」と清家は道上に問いかけ、「“見くびるな”ですよ」と続けた。だから、自分を操ろうとしていた母・浩子(高岡早紀)、鈴木(玉山鉄二)、元恋人・美和子(田辺桃子)。自分を“見くびってきた”人たちを、最悪のタイミングで切り捨ててきた、と。

清家を操る“ハヌッセン”はいなかった。ただ、“明確な意思”を持たない清家は、指針を示してくれる誰かを利用して、今の地位まで上り詰めた。全てを明かした清家に、道上は「あなたを知ろうとすることは諦めません。それがあなたを救うことになると信じて」と伝えた。

いろいろな謎が明らかになったが、清家一郎という人物の実像はつかめないまま。逆に謎が深まっていったようにも感じられる。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

※兼高の高は正しくは「はしご高」


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