世界陸上・デフリンピックが開催される2025年に東京都が開催する3つのアートプロジェクト「TOKYO FORWARD 2025 文化プログラム」。その一環として、東京2020パラリンピック開会式のスタッフ・キャストが集い、新たな仲間を加えた新作舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』の制作が決定し、9月22日、東京・ベルサール秋葉原で開催されたイベント「TOKYO パラスポーツ FORWARD」にて制作発表会見が行われた。

会見には、『TRAIN TRAIN TRAIN』に参加する森山開次（演出・振付）、和合由依（出演者）、栗栖良依（アクセシビリティディレクター）が出席した。東京2020パラリンピック開会式で演出・チーフ振付を手がけた森山は、「開会式での感動と興奮が冷めやらぬ中で、次に何ができるか一生懸命に考えた」と振り返り、新作『TRAIN TRAIN TRAIN』については、「ひとりの少女が不思議なSLに乗って旅をする物語。さまざまな乗客と出会い、さまざまなストーリーを体験して、大切なものを見つける旅になれば」と語った。

東京2020パラリンピック開会式の「片翼の小さな飛行機」にて、主人公を演じた和合は、「開会式から3年が経ちますが、（森山に）まさか再会できて、また一緒に作品づくりができるなんて」と再び実現するコラボレーションに喜びの声。「この3年間で、自分自身もアップデートしているので、今回の表現に活かしたいですし、東京2020以上のものを作っていきたい」と意気込んだ。

東京五輪・パラリンピック開閉会式の総合プランニングチームに参画した栗栖は、「東京パラリンピック開閉会式は障がいのある人が、障がいを理由に諦めなくて済むような環境を作りたいと思って、何年もかけて整備をしてきました。ここで、そのレガシーを終わらせるのではなくて、さらに浸透させるべく頑張っていきたい」と抱負を語る。

自身が務めるアクセシビリティディレクターについては、「障がいのあるパフォーマーが安全にステージに立つというのはもちろん、見る側に障がいがあってもなくても、アクセスしやすく楽しんでいただけるような作品にしていくためのディレクション」だと説明していた。

『TRAIN TRAIN TRAIN』は2025年11月下旬に東京・東京芸術劇場で上演。出演者のオーディションも行われる予定で、詳細は2024年11月上旬に作品公式サイトなどで発表される。

パラアスリートの活躍を讃えるとともに、パラリンピック競技大会の感動と記憶を未来につなぐイベント「TOKYO パラスポーツ FORWARD」。開催日の9月22日には、トップアスリートのデモンストレーションからさまざまな競技体験まで、盛りだくさんのプログラムが用意されたほか、パラリンピアンと稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾によるスペシャルステージが開催された。

取材・文・撮影：内田涼

【『TRAIN TRAIN TRAIN』開催概要】
公演時期：2025年11月下旬
会場：東京芸術劇場 プレイハウス
演出・振付：森山開次（東京2020パラリンピック開会式の演出・チーフ振付）
音楽：蓮沼執太（東京2020パラリンピック開会式にてパラリンピック讃歌編曲、パラ楽団指揮）

出演：和合由依（東京2020パラリンピック開会式出演）、ほか
アクセシビリティディレクター：栗栖良依（東京2020パラリンピック開閉会式ステージアドバイザーとしてDE&Iを総合監修）
アクセシビリティアドバイザー：廣川麻子 (TA-net）
スペシャル・アンバサダー：ウォーリー木下（東京2020パラリンピック開会式総合演出）

企画制作：東京芸術劇場
主催：東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

公演公式サイト：
https://www.train-train-train.com/

TOKYO FORWARD 2025 文化プログラムとは？

世界陸上・デフリンピックが東京で開催される2025年に、東京2020大会のレガシーを継承・発展させて展開する「多様な参加者とつどい・つながり・つくりあげる」3つのアートプロジェクト。「まつり」をテーマとしたイベント、ろう者と聴者の協働による舞台芸術制作、東京2020パラリンピック開会式のレガシーを受け継ぐ新作公演を通し、東京の持つ芸術文化の魅力を発信し、共生社会の実現に向けた歩みを進めるとともに、両大会を芸術文化を通じて盛り上げる。