岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「刺さる言葉」です。
このところ、浦沢直樹先生の漫画『20世紀少年』を読み直しています。僕が中高生くらいの頃に『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていて、当時は単行本が発売されるのを心待ちにして読んでいました。今大人になってあらためて読むと、子どもの頃には気づかなかったことや新しい発見があるかもしれない。また、数々の浦沢作品の電子版が2021年から順次解禁されたこともあり、これは読み直したいと、大好きだった『20世紀少年』をオンラインで購入しました。今回のテーマである“刺さる言葉”は、この作品の主人公・ケンヂのセリフです。
物語の後半、ケンヂは悪の組織のリーダーという汚名を着せられ戦死したと思われていましたが、実は生きていて記憶喪失になりながらも日本各地を放浪します。アコギを片手に、歌を歌いながら東京を目指し旅をするんです。その旅の途中で「すげえ新曲ができたと思ったんだけどな…」「いい曲はみんな昔の人がつくっちゃってんだよな」と話します。自分が名曲を生んだと思っても、それは昔聴いた誰かの曲の影響を受けているものだったりする。物語の中では2コマほどのとても小さな場面です。中高生だった僕には意味がわからなくて読み飛ばしていたセリフかもしれません。でも35歳になった岡崎体育にとっては、めちゃくちゃ心に突き刺さる一言でした。これを忘れずにいたいと、思わずスクショして保存したほどです。
この漫画では1970年頃からの主人公たちの青春時代の思い出を辿ることができます。憧れを抱き自分が影響を受けた数々のアーティストたち…ビートルズやディープ・パープル、T・レックス、ボブ・ディラン。かっこいいと思うことは彼らが全部見せてくれた。その影響を受けた中で、自分ができることは一体なんなのか。それを考えさせてくれます。僕自身もクイーンのCDを小学生のときに聴いて音楽に目覚めたのでケンヂの原体験に共感できますし、大人になって自分で表現をするようになってから、かっこいい憧れの存在をどう超えていくべきか、という苦悩もすごく理解できます。悩みながらもケンヂはギターをかき鳴らし続け、最終的には音楽が地球を救うことにつながっていく。やっぱり音楽ってすごい、偉大なんだ。そうあらためて思える勇気をいただいたと勝手ながら思っています。
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※『anan』2024年9月11日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈
(by anan編集部)
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