年齢を重ねることを楽しむ! 『カクレンジャー第三部』小川輝晃&広瀬仁美対談

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年齢を重ねることを楽しむ! 『カクレンジャー第三部』小川輝晃&広瀬仁美対談

9月29日(日) 10:30

1994~1995年に放送された『忍者戦隊カクレンジャー』。その約30年ぶりの続編『忍者戦隊カクレンジャー第三部・中年奮闘編』が、東映特撮ファンクラブ(TTFC)で8月4日から配信され、大きな話題を呼んだ。撮影の舞台裏を映したメイキング映像の配信もスタート、『カクレンジャー』のアニバーサリーイヤーはまだまだ終わらなさそうだ。今回は新作の配信開始直後に、ニンジャレッド/サスケ役の小川輝晃さん、ニンジャホワイト/鶴姫役の広瀬仁美さんの対談を実施。制作・配信までの道のりや撮影の思い出を振り返っていただいた。 >>>お二人の撮り下ろし写真や場面カットをすべて見る(写真14点) ◆30年経っても変わらない絆◆――まずは配信が開始された、現在の心境をお聞かせください。広瀬やっとお届けできた、って感じが強くない?

小川そうだね。撮影したのは去年の夏だから。広瀬結構長い間「まだかな?」「早く言いたいな」と思いながら発表や配信を待っていて、ようやくみんなに見てもらえたなと。小川僕らの最初の目論見としては、当時の第1話放送日に合わせた配信をイメージしていたんです。東映特撮ファンクラブさんの編成の都合もあって夏になったんですけど、代わりにさまざまな仕込みをしていただき、お膳立てが整った状態で満を持して、という感じで配信することができました。皆さんの協力のおかげで、お祭りのような空気の中で配信できたのは、結果的に良かったと思います。――最初に30周年企画の前フリがあったのが2月7日の『超英雄祭 KAMEN RIDER × SUPER SENTAI LIVE & SHOW 2024」でした。私も現地にいたのですが、いきなりサスケの声が流れて会場がザワついたことを覚えています。広瀬私たちも観に行ったんですよ。小川そうそう。『カクレンジャー』30周年の前フリをするとは聞いていたんですが、僕の声が使われることは知らなかったんです。広瀬現地で「ん?」って(笑)。小川「あれ、俺の声だな」と(笑)。会場の人たちも驚いていたし、SNSで『カクレンジャー』第1話と同じ日・同じ時刻の2月18日17:30に何かがある、という予告をしていて、ファンの人に「何事?」と思わせる仕掛けが素晴らしかったです。広瀬「なんなんじゃ」というか。小川どこかで聞いたことあるね。上手い(笑)。――そしてその第1話の放送日に配信となった記念特番の中で開催が発表された、「『忍者戦隊カクレンジャー』30周年記念ファンミーティング ~時を超えシアターGロッソに再集結!!~」(5月11日開催)も話題になりました。広瀬あのイベントすごく良かった!小川僕らは最初、すごく心配していたんですよ。「えっ、イベント?」って肩透かしを食らった反応になるかもしれないし、700人以上入るGロッソで2回もやるなんて。広瀬「そんなに集まってくれるのかな」って思っていたんです。小川「出演者のほうが多かったらどうする?」って話をしていて(笑)。広瀬ガラーっとしていてね(笑)。小川そうそう(笑)。それがフタを開けてみると、先行抽選の時点で座席数を超える人が応募してくださったみたいで、ありがたさしかなかった。なのに、僕がイベントの初っ端のセリフを間違えて。広瀬衝撃的だった。小川それを鶴姫に叱責されるという……。広瀬叱責(笑)。小川僕ららしい、変わらないところだなと思いましたね(笑)。――5人揃っての撮影やイベントはほぼ放送当時以来だと思うのですが、久々にお会いしてみていかがでしたか?広瀬去年の撮影のときは一瞬ドキドキしましたが、すぐくだらない話をしはじめていましたね。何年か前、Twitterに写真を載せたときに二十数年ぶりに揃ったんですが、そのときは「あ、久しぶり」みたいな感じでした。小川よそよそしかった(笑)。広瀬でも、ものの何分だったよね。小川そうだね。ご飯を食べだしたら河合(秀)がビールを飲みはじめて、「飲む?」って聞かれた土田(大)が「俺はバイクだから」ともう普通な感じで、すぐ当時に戻りました。なんか時間の感覚が、実際に流れた時間とは違うんですよ。30年くらい空いているのに、「お久しぶりです」ではなくて「何やってたんだよ」みたいになるんです。広瀬友達だったら、ここまで期間が空くとパッとは戻れない気がする。小川友達じゃない、兄弟だね。
(C)東映特撮ファンクラブ(C)東映



◆『カクレンジャー』のヒロインは……◆――『第三部』はカクレンジャー5人のいい意味でのライトさというか、近所のお兄さん・お姉さん感がそのままだったのが個人的に観ていて嬉しかったです。広瀬「いるいる、こういう人たち」みたいな。小川程よくどんくさい、っていう(笑)。――鶴姫が呼んだらみんなすぐ集まる、というのもいいなと。小川呼ばれたら「ああ、行くよ」って(笑)。海外にいても集まれるんですよね。広瀬ジライヤはピョンピョン跳んできてるのかな?普通に飛行機?小川カエル(ゴッドガンマー)に乗って来てるんじゃない(笑)?――(笑)。30年経ったサスケ、鶴姫を演じる際に意識したことはなんですか?

小川僕としては熱いを通り越した暑苦しさと、若干の成長がほしいとは思っていました。よく皆さんに『カクレンジャー』って第一部はコミカルで、第二部は真面目になるって言っていただくんですよね。サスケだけでなくほかのみんなも、ちょっと抜けている部分はあるけど真面目な場面ではスッと入っていく、ってことは考えていたのかなと思います。坂本(浩一)監督もまさにそのことをわかっていて、第三部では前半戦はコミカルに、アイキャッチ後の後半戦は真面目な方向に演出していただいていて、とてもやりやすかったです。――実際、老眼のくだりなどに第一部のコミカルさが出ていた気がします。広瀬あそこ楽しかったね。小川楽しかった。あのシーン、実は2パターン芝居を考えていたんですよ。最初から自分が老眼だとわかっているパターンと、自分も老眼だと気づくパターンで。結果的には後者の芝居をしました。広瀬小バカにしようとしてパッと取ったら……(笑)。みんなも「出た!」みたいな芝居をしていて、ああいうのをチームワークって言うんだろうな。小川僕がリハーサルでやったらみんなすぐリアクションしてくれて、あれはとても良かった。広瀬鶴姫は気が強くてリーダーってキャラはあるけど、サスケたちほどしっかりした特徴はないんです。小川そういえばそうかも。広瀬なので、あくまでまとめ役に徹しているというか、年月を経ているからちょっとお母さん的な感じで演じたくらいで。あまり何かをする人じゃないんです、鶴姫って。シレっとみんなの中にいて、「ちゃんとやって」と言っているだけ。小川僕らはいつもサスケと鶴姫、どっちがリーダーかで揉めるんです(笑)。考えてみたら今回も、暑苦しく盛り上がっている俺らを最後に締めているのは姫なんですよね。広瀬そう、サスケは暑苦しいってキャラがあるじゃん。小川あぁ、納得した(笑)。変身するときも、最後に「行くわよ!」って締めるのは姫で、サスケは「最後のスーパー変化だ!」って言っちゃってるだけ。広瀬言っちゃってる(笑)。熱いから想いが口から出ちゃうんだろうね。――鶴姫と父親の義輝のシーンがあったことも、ファンとしては嬉しいポイントでした。広瀬そうですね、「お父様」と言えて良かったです。本編で何度「お父様!」って叫んだことか。小川「義輝さん」って呼んだのは初めてだったな。当時は白面郎としか言っていなくて、最初に名前を見たときは「誰だっけ?」となりました。そして……。小川・広瀬三郎、四郎(笑)。小川本編では出てきていないのに、めちゃくちゃ仲が良かったみたいな感じで。しかも面白いのが、双子の太郎と次郎がいて三郎と四郎も双子だから、4人とも顔そっくり(笑)!広瀬本当だよ(笑)。――5人の素面でのアクションシーンにも驚かされました。小川みんなのアクションもカメラワークもすごく良かった。僕としては若干物足りなかったけど。広瀬もっとやりたかった?小川うん。4人が戦っている間は封印の扉のところにいて、後から駆けつけてタタタっとやって終わりだったから。広瀬当時はもっと戦っていたもんね、サスケは。――最後にサスケがやってきて決める、というのもある意味『カクレンジャー』らしかったかと。小川確かに!広瀬アクション練習したよね。本番では一回で決められたけど、練習はダメダメだった。同じ日に「ニンジャ・エクササイズ」(※ジライヤ役のケイン・コスギさんが考案したエクササイズ。TTFCでカクレンジャーキャストの実演動画、さらにその練習風景も会員限定見放題配信中)も、やったけど、ダメダメで(笑)。小川本当(笑)。プラスで面白いのが、完璧だと思われているケインのダンス。ここも見どころだよね。広瀬かわいらしかった。ケインはうちのヒロインなんですよ、紅一点の私じゃなくて。小川姫はリーダー枠ですから。広瀬うちのヒロインはケイン・コスギ、ジライヤです。もうかわいくてしょうがない。小川しかも、最近自分でもそれを自覚しはじめていて。広瀬そう、ちょっとわかってきちゃった。小川あざとくなってきてる(笑)。――確かに終盤のセイカイとの掛け合いは、かわいさが爆発していた気が(笑)。小川あれは河合とケインがほぼアドリブでやっているんですよ。広瀬何回もテストやったけど、そのたびに笑っちゃったもん。――新キャストの皆さんも、印象的な活躍を見せていました。広瀬本当に豪華。小川あれは坂本監督の手腕、センスだと思うんですが、今活躍されている方の中でもよりデジタルネイティブというか、新世代の人たちをキャスティングしていただけた感じがして。ひと言しゃべるだけでも旧世代の僕たちとの違いがわかる、明確な色分けがされていると思います。だから、最初の本読みのときは少し面食らったところもありました。広瀬「こんなにサラッとした芝居が出てくるんだ」って。小川そう、僕らにはできない(笑)。決してエネルギーがないわけではないのに、サラっとした芝居をしていることがすごいし、逆に僕たちの空気感が映えて見えた気もしました。――特に吾郎役の大森元貴さんの熱演は素晴らしかったと思います。小川大森くんは第一線を今走っている方だからか、取り組む姿勢がすごかったですね。僕たちの空気感の中に入っていって、誰よりも現場を見ているんです。広瀬しかも、とんでもなく暑くて埃まみれの中、ずっと撮影を見守っていて。『カクレンジャー』が好きなのもあるだろうけど、大森くんの誠実さを感じました。
(C)東映特撮ファンクラブ(C)東映

◆カクレンジャーの旅はまだまだ続く◆――今作は紆余曲折を経て制作に至ったとのことですが、企画段階から特にこだわっていたところはどこでしょうか?広瀬歳を取ることは悪いことじゃない、それは伝えたいなと思っていましたね。小川10周年、20周年だと現役からそんなに離れていなくて、「まだ俺らはやれるぜ!」みたいな感じになるじゃないですか。僕らはせっかく30年経って作るから、若作りして現役時代と同じようにやれるぜ、っていうのはちょっと嫌だなと思っていて。人間ってみんな歳を取るものだし、そのことを恥ずかしいとか、どんどん衰えていると捉えがちですよね。そうじゃなくて、いい年齢の重ね方をして「これでもいいんだよ」と言えるものにしたい、と考えていました。広瀬どちらかというと前向きだよね、老いに対して(笑)。小川「楽しく歳を取ろうぜ!」って(笑)。――吾郎と彼を引き取って父親になったセイカイの親子の物語は、まさに30年の歳月を経たからこそ描けたものだったと思います。小川そうですね。当時子どもだった人たちも僕らと同じように歳を取り、今では親の世代になって悩みを抱えているはず。そこに答えじゃないですが、一つの光を見せたいなと考えていたんです。セイカイがそれをちゃんと担ってくれて、とても良いセリフを届けてくれたことは、同じメンバーとして素晴らしかったなと。実はラスト近くのセイカイと吾郎(サンモトゴロウザエモン)のシーンが、河合の撮影初日の第一声だったんです。彼が一番この業界から離れていたので、僕らもどうなるか心配していたんですが、とにかくすごいのひと言で、鳥肌が立つ感覚がありました。あれで成功したなと確信しましたね。セイカイの物語ですよ、今回は。――セイカイは5人の中で一番子どもっぽいというか未熟な印象があって、立派に成長したんだなと感動しました。広瀬確かに!私たち自身の関わり方だとみんな対等で、キャラとしてというより演じる個人として見ているから、その発想はなかったです。そういえばセイカイ、めっちゃ未熟者だったよね。小川最後に入ったジライヤはもともとデキる人って感じで、サスケとサイゾウは逃げ惑ってはいるけど戦える状態だったし。セイカイは最初、一番ダメダメだったかも。広瀬食べることと女の子が大好き、っていうのもすごい設定(笑)。それがまあ立派になって……。――ラストはさらなる展開を予感させる結末で、ファンとしてはどうしても今後に期待したいところですが……。小川僕らは最初、25代目に譲りたいと話していたんです。吾郎に「カクレンジャー25代目リーダーよ」と言っているけど、まだ本当には譲れていないし、譲らないと終われない。だからほかのメンバーは誰がいいかなって、勝手にチョイスを夢想しています。この歳になっても夢を見るのが好きなので(笑)。広瀬25代目になったら、小さい赤いネコマルの上に忍者装束で立ってもらわなきゃ。そこまで継がせないと(笑)。小川ネコマルあってのカクレンジャーだから。広瀬新しいネコマルもかわいかった。――まだまだお話をお聞きしたいところですが、改めて『カクレンジャー』がお二人にとってどんな作品なのかを伺えればと思います。広瀬30年前、最終回で「愛と勇気と希望を持って」というセリフがあって、それで私の中では終われていたんです。でも皆さんの反響を見て、本当に愛と勇気と希望でここまできていると感じて、私にとって『カクレンジャー』は愛と勇気と希望だったんだなと思いました。みんなの愛や動き出す勇気で作品ができて、希望を乗せて届けられたんだなって。小川すごい、初めて感心しちゃった(笑)。当時『カクレンジャー』が終わるとき、プロデューサーから「どんな終わり方をしたいですか?」って聞かれて、僕はそのときに死にたくない、僕たちは絶対生きていたいと話したんです。誰かが死ぬというのは一見感動的だけど悲しいだけで、感動の種類が違うと思って。どんな物語も、それこそ昔話なら「めでたしめでたし」で終わりますが、その後も生活が続いていくんですよね。そのことを感じさせる物語じゃないと意味がないと思ったし、だからこそ30年前はネコマルに乗って旅を続けるという結末だった。今回は続いている旅を見せることができて、今後もまだ続いていく物語にしたいという想いを坂本監督が汲んでくださり、ああいう締めにしてくれた。講釈師役の(神田)伯山さんも、「それではこの続きは……」と言ってくださって。広瀬あのセリフはアドリブで、私も現場で見ていたけどOKってなった瞬間、坂本監督が「また続きできちゃうね」って言ってた(笑)。小川それ聞いて流石だなと思ったし、よくぞあの締めにしてくれたなって。素晴らしい。皆さんの生活も僕たちの生活も先があるし、楽しいことだけじゃなくて苦しいこともあるけどそれを乗り越えて、またみんなで笑って会いましょう!

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