9月20日(金) 18:00
Text:斉藤貴志
10月スタートのTVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活3rd season』で、1st season以来のテーマ曲を担当するMYTH & ROID(ミスアンドロイド)。『Autumn Tour “take my hand”』が渋谷Star loungeでスタートした。東京でのツアー初日は初めてで、ソールドアウト。新曲も初披露されて沸きに沸くステージとなった。
開演前、「もう一歩前へお詰めください」とのアナウンスが繰り返される。オールスタンディングのフロアはギッシリ超満員。ギターを携えたTom-H@ck、続いてボーカルのKIHOWが軽く手を上げてステージに現れると、冒頭からシャウトする「L.L.L.」で幕を開けた。
前傾姿勢でアクセル全開のKIHOWに、体を振りながらプレイするTom-H@ck。至近距離の観客も「オイ!オイ!」と拳を突き上げて、瞬時に会場いっぱいに熱気がほとばしった。ハイトーンの英語フレーズをノーブレスでたたみ込んでフィニッシュすると、間髪入れずに「Future is Mine」へ。背筋を伸ばしたKIHOWはミックスボイスを駆使しながらメリハリをつけて、パンチの効いたボーカルを聞かせる。間奏ではTom-H@ckが華麗な速弾きを披露。我が道を進む強い意志が描かれたアッパーチューンに、感情の波動が見えるようだった。
きらびやかな電子音に乗せた英語の台詞から繋げられた「ACHE in PULSE」は、重低音の響きにゾクゾク。サビ前にKIHOWが「跳んでー!」と叫び、自らも跳ねながら歌うと、観客も拳を振ってジャンプ。「エオ、エオ、エオ、エ」の大合唱も盛り上がって、KIHOWは両手を上げてガンガン迫り、最後は大きな拍手が起きた。
「私たちについてきてください!」とひと言入れて、定番曲に連作のコンセプトミニアルバム『AZUL』、『VERDE』からの楽曲も織り交ぜていく。ストーリーの中に組み込まれていたナンバーが、また別の色合いを帯びていた。
MCでは「take my hand(私の手を取って)」というツアータイトルに込められた思いが、KIHOWから語られた。「前回のツアーで“私のことを信じてほしい”という気持ちを、Myrror(ファン)のみんなに対して強く抱くようになって。デビューしたときから、そういった思いは持っていましたけど、今思うと祈りに近いもの。今の気持ちは“本当に私に委ねてよ。身を任せたらいいところに行ける”。そんな気概を証明するためにつけたタイトルです」
そして、体調不良で2カ月ほど療養していたTom-H@ckに「復帰おめでとうございます」と振る。「8キロくらい痩せました」と言いながら、「ツアーはたくさん楽しんでほしいと思って、気合いを入れて来ました」と、すっかり本調子のようだった。
押せ押せでアゲていた中で、「私たちの唯一の良心(笑)。いったん落ち着いていただけたら」とソフトなタッチの曲のブロックに。さらに「次は懐かしい曲を2曲続けてお届けします。どちらもライブで初披露です」と引きつける。
浮遊感のあるイントロからの「雪を聴く夜」は、2017年発売の1stアルバム『eYe’s』の収録曲。ノスタルジーと神秘感が交錯するミディアムバラードを、KIHOWは1点を見つめるようにして朗々と歌い上げた。続けてアカペラから歌い出した「the first ending」は、2015年発売の1stシングル「L.L.L.」のカップリング。スローナンバーに切ない情感がこもって、観客たちが聴き入っていた。
そして、ステージは後半へ。「今回のツアーに来てくださった皆さんは、次のブロックでやる曲を特に楽しみにしてくださっているかと思います」と、2016年に放送されたアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』のタイアップ曲を3連発。
「Paradisus-Paradoxum」は激しいドラミングに乗ったKIHOWが、スタンドマイクに片手を乗せたり、拳を突き上げたり、両手を下ろしたりしながら、毅然と歌っていく。起伏のある楽曲にファルセットを響かせて加速。Tom-H@ckも体の横に構えたギターを激しくかき鳴らし、駆け抜けていった。「theater D」はズシリと重みのあるサウンドに、どこか不穏なメロディ。クールな表情でシャープなボーカルが突き刺さる。フロアは「オイ!オイ!」とより大きなコールで盛り上がりながら、まさに異世界感が醸し出される。ユニットの代表曲にもなった「STYX HELIX」では、ピアノの旋律から幻想感がより高まる。繊細でスタイリッシュな音楽の流れに身を任せると、心地良いような翻弄されているような。悲しみとも希望ともつかずに胸が震えるのは、「感情の最果て」を掲げるMYTH & ROIDが意図するところなのだろうか。
10月から始まる『Re:ゼロ』の3rd seasonでは、MYTH & ROIDがエンディングテーマを担当する。タイトルは「NOX LUX」。MCでKIHOWが語り出した。「相反する光と闇、折り重なる絆を歌った楽曲です。過去のMYTH & ROIDの『Re:ゼロ』の楽曲と親和性が保たれるように、そして、新たな私たちを見せられるように作りました」
1st seasonの曲たちは、KIHOWの加入前に発表されたものだった。「とても愛おしく思っていて、大切に歌い続けてきました。「NOX LUX」が完成したら、他の『Re:ゼロ』の楽曲の音が変わって聞こえるようになったんです。ずっと抱き締めていた相手の顔が初めて見えたような感覚。そんな経験をして、「NOX LUX」には今まで私の中だけで起きていた闘いも滲んでいるかと思います。Myrrorのみんなも含め、私たちを新しい扉の前に連れていってくれる楽曲。そんな未来を見逃さないように、ついてきてくださいね」
拍手を受けて初披露された「NOX LUX」は、流れるようなピアノをフィーチャーした速いテンポで、エモーショナルなメロディ。終始ハイトーンで疾走して、聴いているだけで鼓動が高鳴っていく。凛々しいボーカルに唸るギターソロも入って、力強さも垣間見せた。
お立ち台に上がったKIHOWが「Myrror、行ける?」と煽ると、ステージはさらに攻撃的に展開していく。フロアに向かって前のめるKIHOWに、Tom-H@ckがターンをしながらギターを弾いたりと、互いに勢いをつけ合うよう。激しいサウンドの渦の中で、意識が飛ぶほどの高揚感を味わえた。
「ラスト2曲!声出せる?」と煽ると、恒例の「We’re shouting」「Oh Yeah、Oh Yeah、Oh Yeah」のコール&レスポンスを繰り返す。「行けるんですか?」「もう1回!」と煽るKIHOWは、いつものライブ以上にエキサイトしているように見えた。そのまま「TIT FOR TAT」になだれ込むと、会場は最高潮にヒートアップ。曲に入っても、お立ち台で腕を掲げて煽り続けるKIHOWに、観客も「オイ!オイ!」と応えていく。Tom-H@ckはネックを抱きかかえるようにしてギターを弾く。「Oh Yeah、Oh Yeah、Oh Yeah」が何度も会場に響いた。
ラストの「JINGO JUNGLE」では、冒頭の呪文めいた「AH RA LA OH LA」から大合唱になった。しなやかに体を揺らしながら最後まで攻めまくるKIHOWに、観客も拳を上げて一斉にジャンプし、フロアが揺れた。比喩でなく、本当に一瞬地震かと思うような揺れが起きた。KIHOWも頭を振りながらジャンプ。ゴシックロック調のナンバーに熱気がさらに渦巻く。「oh-oh-oh」のコールも随所に入り、ステージもフロアも相乗効果でレッドゾーンまで振り切って、フィナーレとなった。
Tom-H@ckが「これからもMYTH & ROIDは大きい舞台に行こうと思います。最後までついてきてください」と、KIHOWの最初のMCと同じ挨拶で締めてステージを去ったあと、会場のスクリーンでは「NOX LUX」のロングサイズMVを限定公開。そして横浜1000CLUBでの追加公演も発表された。神曲を揃えて全国を回るMYTH & ROID。『Re:ゼロ』と共に、さらなる高みへ駆け上がっていきそうだ。
<公演情報>
『MYTH & ROID One Man Live 2024 Autumn Tour “take my hand”』
9月8日(日) 東京・渋谷Star lounge
<次回ツアースケジュール>
『MYTH & ROID One Man Live 2024 Autumn Tour “take my hand”』
10月5日(土) 栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
10月12日(土) 宮城・仙台MACANA
10月19日(土) 茨城・水戸LIGHT GOUSE
10月26日(土) 愛知・ElectricLadyLand
11月2日(土) 大阪・OSAKA MUSE
【追加公演】
11月30日(土) 神奈川・1000CLUB
【チケット情報】
前売:6,500円(税込)前売(11月30日 神奈川公演のみ):8,000円(税込)
※オールスタンディング / 整理番号あり
※ドリンク代別途必要
チケット一般発売中
https://w.pia.jp/t/mythandroid-tour24-autum/
ツアー特設サイト:
http://mythandroid.com/live2024-aw/
<リリース情報>
デジタル・シングル
「NOX LUX」
10月10日(木) 0:00配信リリース
※TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season』EDテーマ
MYTH & ROID公式サイト:
http://mythandroid.com/