中世から続く伝統的なワイン収穫祭「Fete du Biou」|無形文化遺産への登録も申請中

octane.jp | 美しい車と暮らす

中世から続く伝統的なワイン収穫祭「Fete du Biou」|無形文化遺産への登録も申請中

9月20日(金) 15:11

提供:
先日お伝えしたフランス・ジュラ地方の黄色いワイン。それを含むジュラ地方のワインの中心地、アルボワ市で、収穫祭「Fete du Biou(フェット・デュ・ビュウ)」が開催された。この祭りは中世から続く伝統的な収穫祭で、公式にその名が記録されたのは1665年のことだ。

【画像】2024年の収穫祭、フェット・デュ・ビュウの様子(写真17点)

祭りでは、ブドウとワインの生産者から選ばれた4人が、その年に収穫されたブドウで作った「ビュウ」と呼ばれるブドウの玉を担ぎ、教会に奉納する。現在では、ワイン製造の仕組み(発酵)を解明したルイ・パスツールの研究所跡の建物で玉が作られ、4人がそれを担いで教会に向かう。教会では司祭が玉を祝福し、それが教会に吊るされるという儀式が行われる。

1922年からは、宗教的な意味合いを持たないブドウの冠が、アルボワ市のために命を捧げた戦没者に対して捧げられるようになり、この二つが祭りの主役となる。

2024年のフェット・デュ・ビュウは、8月31日の土曜日に玉の準備が行われ、翌日の日曜日に教会へ奉納された。ルイ・パスツールは隣町のドール出身で、アルボワで研究を続けた人物であり、ワイン製造の神様的な存在だ。彼の家は博物館になっており、道を挟んだ向かいにある研究所跡の納屋で奉納用の玉が作られる(メイン写真)。この玉の制作には毎年任命された4人だけが関わり、教会までの行進ではかつての自警団が槍にブドウの装飾をつけて共に進む。今年は平均気温より9℃高い30℃を超える中で作業が行われたが、雷雨の影響で今年のブドウの出来はあまり良くなかった。玉の芯には軽量化された金属が使われ、作業が難航し、通常1時間半で終わる作業が4時間近くかかった。その後、ジュラ地方のスパークリングワイン「クレモン」が振る舞われ、この祭り限定の伝統的なガレットも味わうことができる。

翌日、9時45分にパスツールの研究所から玉が出発する。前日とは一変し、参加者たちは正装で臨む。ブドウと花で飾られた美しい玉を、4人が80kgの重さで担ぎ、4人のバイオリン奏者が先頭を行く。厳かな雰囲気の中、教会に到着すると、司祭が祈りを捧げ、玉が教会の中央に吊るされていく。

その後、戦没者追悼の式典が行われ、冠が奉納される。フランス国歌の斉唱やドイツからの楽隊の演奏が続き、今年はアルボワ市の解放80周年を記念して、アメリカ陸軍第3歩兵師団に扮した一行も参加した。式典終了後は教会の駐車場でアルボワのワインが振る舞われ、祭りが本格的に始まる。

この収穫祭は現在、無形文化遺産への登録が申請されており、最終的な申請書類は2025年3月にユネスコの評価委員会に提出され、その評価に基づいて2026年末に「ビオ」が無形文化遺産の代表リストに登録されるかどうかが決定される。ジュラ地方では、黄色いワイン以外にも「ヴァン・ド・パイユ」や「マックヴァン」など、独自のワインが楽しめる。特にサヴァニャン種の白ワインは独特のアロマとスパイシーさがクセになり、コンテチーズとの相性も抜群だ。この地域の伝統と人々との触れ合いは、貴重な経験となった。ジュラ地方のワインは見つけるのが難しいかもしれないが、ぜひ機会があれば試してほしい。きっと、人生をより深めてくれるだろう。


写真・文:櫻井朋成Photography and Words: Tomonari SAKURAI
【関連記事】
・知る人ぞ知る?フランス・ジュラ地方で作られる黄色いワイン「ヴァン・ジョーヌ」とは
・ゆっくり見学できる今がチャンス!パリの最新観光スポット、エリゼ宮の博物館「LA MAISON ELYSÉE」
・フランスのマルシェに車好きが集う|Vivre aux champs Philippe - Section véhicules Anciens
・ベルエポックの時代にタイムスリップ!フランス・ノルマンディの夏を締めくくるイベント
・まるで映画か絵画の世界!Les plaisirs de Dampierre - Edition 2023で18世紀へ
0ctane

生活 新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ