地震大国ともいわれる日本に暮らしていると、震災のリスクは隣り合わせ。ここでは、anan世代の防災意識アンケートとともに、震災を想定して備えておきたい、“飲料水”について解説します。
anan世代の防災意識をチェック!
地震への危機感を、自分事としてどれくらい持っているのか。また、その意識はいざという時の備えにどう繋がっている?防災にまつわる意識をリサーチ。
※2024年7月調査実施。全国20~35歳の女性100人に聞きました。
Q. 「自分が地震の被害に遭うかもしれない」という不安を感じていますか?
不安を感じる…77%、感じない…23%
不安を感じている人が8割近く。今年1月の能登半島地震など時折大きな地震が起こる日本では、不安は付き物かも。
Q. 不安を感じると答えた方。震災を想定して何か備えているモノやコトはありますか?
備えている…43%、備えていない…57%
危機感を抱いている人が多い一方で、震災に備えている人は半数以下。備えていない理由としては「何を備えたらいいかわからない」という意見が多数。
命に関わるアイテムは、最低限備えておいて。
地震は不安だけれど、備えるまでには至っていない。そんな実情が垣間見えた防災意識調査。なぜ備える必要があるのか、また絶対に備えるべきモノやコトとは?防災収納インストラクターの松永りえさんが、anan総研メンバー2人の質問に答えます!
松永りえさん防災収納インストラクター。整理収納コンサルタント、防災共育管理士、防災士。著書『もしもに役立つ、いつものモノ選び 防災グッズは備えず使う!』(エムディエヌコーポレーション)ほか。
深沢あゆこさんanan総研No.193。都内でパートナーと二人暮らし。お母さま譲りの防災意識の高さで、飲料水や食料をザックリ2人分備蓄。
新谷かの子さんanan総研No.345。1年ほど前から一人暮らし。徒歩で帰れる実家に備蓄がある!という安心感から一人暮らしの家で備蓄はナシ。
松永:深沢さんと新谷さんは、自宅に備蓄をしていますか?
深沢:はい。丸1日、自力でしのげたらOKというつもりで飲料水と食料をストックしています。
新谷:私は今のところ、何も備蓄をしていないんです(汗)。
松永:忙しくて防災について考える時間がないとか?
新谷:それもありますが、私は今一人暮らしをしていて、徒歩圏内に実家があるので、帰ればなんとかなるかなと思ってしまって…。
松永:ご実家が100%安全という保証はないので、自分でも最低限は備えてくださいね。ただ、アンケートからも気になっているのは、備えている人よりも、備えていない人のほうがかなり多いこと。
新谷:やはり備えは必要ですか?
松永:8月には南海トラフ地震臨時情報が初めて発出されましたが、それだけでなく、東京都やその周辺を震源とした首都直下地震も起こる確率が高まっています。首都直下地震では食料が最大3400万食、飲料水は最大1700万L不足するといわれているんです。首都が被災すると、公的機関の手も回りにくくなるはず。自分の身は自分で守らないといけません。
深沢:都心で道路が整備されているぶん物資の支援はスムーズなのかと思いきや、不足するなんて…。
松永:とはいえ首都圏に住むanan世代の方々は、一人暮らしなどで備蓄スペースを確保するのがなかなか難しいのでは。まずは命を守ることを第一に、最低限必要なものから備えておきましょう。
備蓄の最重要項目は飲料水。ジュース類でもOK。
松永:備蓄にかけられる予算やスペースが限られている場合、何を優先的に備えればいいのか。“命に関わること”という基準で考えると、わかりやすいと思います。では、生命を維持するために最も重要なものってご存じですか?
新谷:お水…ですか?
松永:そうです。人は3日間、水を飲まないと死んでしまいます。今年のような猛暑では、1日でも飲まないと、危険な状態になるのではないでしょうか。
新谷:あの暑さで水が飲めないことを想像すると恐怖です(汗)。
松永:ただ、今年1月に発生した能登半島地震でもそうでしたが、大きな地震が起こると、断水してしまう可能性があります。お店で水を買えたとしても在庫がすぐになくなり、早急な入荷は期待できません。給水車が来るのもいつになるのか…。私は2016年の熊本地震で被災しましたが、断水が本当にキツかったです。
深沢:そうなんですね…。これまでの震災で断水というニュースは度々見ていましたが、改めて飲料水の大切さを痛感します。
松永:備蓄の中でも飲料水は必要不可欠です。深沢さんは飲料水を備蓄していると言っていましたが、どれくらいの量ですか?
深沢:私は普段から水をよく飲むので、2Lのペットボトルを8~12本、常に切らさないようにローリングストックしています。
松永:飲料水は大人の場合、1人1日に3Lは必要と考えて、それを7日分、つまり1人あたり21L以上用意しておくといいと思います。2L容器だと11本以上を目安にしてくださいね。
深沢:1人21L!?私は二人暮らしなので、そうなるとマックスの12本でも足りなかったんですね…。水分補給にジュース類を加えるのはアリですか?
松永:もちろん大丈夫です。
深沢:それを含めていいなら、栄養ドリンクとかフルーツジュースとか、めちゃくちゃあります!
新谷:私もお水くらいは一人暮らしの自宅にも備えておきたいなとは思いましたが、2Lのペットボトルを11本以上…。けっこう場所を取りそうですね。
松永:そうなんですよね。水のストック専用の場所を作れるのが本当は一番いいんですけど、それが難しければ、例えば本棚のすき間とか、クローゼットの中でも使いにくい両端のデッドスペースに入れるとか、各部屋にちょこちょこ備えるという手もあります。
新谷:それなら確保できるかも。
松永:水は直射日光に弱く、劣化や水分の蒸発などに繋がるので、日の当たらないところで保管してくださいね。最近はアルミ缶に入った長期保存水もあるので、それなら日光の影響を受ける心配がないうえ、衝撃にも強いというメリットがあります。
深沢:普通の水より、長期保存できる水のほうがいいですか?
松永:深沢さんのようにローリングストックしている人は普通の水でOKです。あまり飲まない人は、長期保存水のほうが、焦って消費せずに済むと思いますよ。
1人あたりの備蓄量
1日3L×7日分=21L
備蓄の形状としては、ペットボトルでもウォーターサーバーでも何でもOK。防災リュックに入れておく用に500mlを数本用意したり、水以外にお茶も備えたりと柔軟にアレンジしつつ、21L以上は確保!
「備えている」人のうち、飲料水の備蓄はどれくらい?
1~10L…48.39%、11~20L…25.81%、21~30L…12.9%、31L~…12.9%
アンケートでは21L以上が約4分の1。足りていない人が多数。
備えておきたいおすすめアイテム
DSW PREMIUM 12 YEARS(12年保存水)
12年の超長期保存水。買い替えサイクルが長くてコスパよし。
普段あまり水を飲まない人は、長期保存水が手間なく。これはなんと12年。高知県・室戸岬沖で採水された海洋深層水を、高品質の長期保存水に。6本入ケースには、災害用伝言ダイヤル「171」の使い方の記載あり。2L 1本¥5186本入ケース¥3,108(ユニーク総合防災)
5年保存水「イザ」
パウチ型でゴミを削減。嵩張らないから携帯用にも便利。
ウォーターサーバーでおなじみ「アクオス」の熊野古道の天然水。一般的なパウチよりも強度や保存性、遮光性に優れているアルミ製の容器を採用。飲み終わった後コンパクトに畳めるから、防災リュックに入れておくのもよさそう。500ml 1個¥25018個入¥4,500(アクオス TEL:072・257・6660)
SSK RESCUE WATER非常災害用飲料水
中身が劣化しにくいアルミ缶入り。「171」の記載が安心感あり。
静岡県焼津市の深井戸水を使用。賞味期限は5年半。アルミ缶なのでペットボトルと比べて衝撃に強いうえ、日光の影響を受けることなく、中身が劣化しにくいのがポイント。パッケージには災害用伝言ダイヤル「171」の使い方が。480ml オープン価格(清水食品お客様相談室 TEL:0120・04・8189)
※『anan』2024年9月18日号より。イラスト・福田玲子取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)
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