<クラスメイトの女子、全員好きでした>矢部Pが語る、ドラマを通じた多様性への思い「今の時代だからこそ世に届けたいメッセージ」

「クラ好き」主演の木村昴と、矢部Pの2S/(C)ytv

<クラスメイトの女子、全員好きでした>矢部Pが語る、ドラマを通じた多様性への思い「今の時代だからこそ世に届けたいメッセージ」

9月5日(木) 5:00

「クラ好き」主演の木村昴と、矢部Pの2S
【写真】オーディションを勝ち抜いた及川桃利は満場一致の合格「成長速度が早い」

木村昴が主演を務める「クラスメイトの女子、全員好きでした」(毎週木曜夜11:59-読売テレビ・日本テレビ系/Hulu・TVerにて配信)が現在放送中。

原作は、爪切男による同名エッセイ「クラスメイトの女子、全員好きでした」(集英社文庫刊)。ある日、偶然手に入れたノートに書かれた小説を盗作し、文学賞を受賞。一躍人気作家になってしまった主人公・枝松脛男(木村)が、担当編集者の片山美晴(新川優愛)と共に、その小説を書いた“真の作者”を探すストーリーだ。

この度、WEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める矢部誠人氏にインタビューを実施。制作秘話やキャスト陣の魅力、今後の見どころなどについて話を聞いた。

■クラ好きは「今の時代だからこそ世に届けたいメッセージ」

――映像が完成した直後のお気持ちをお聞かせください

手前味噌ですが、今までに見たことがない、不思議な魅力があるドラマに仕上がったと思いました。学生時代を懐かしく感じるノスタルジックな雰囲気がありますし、なぜかわからないけれど、ラストの枝松の語りは毎話心に沁みますよね。「令和版寅さん」と言っていただけることも多いのですが、人情味溢れる温かい人柄の主人公の話になりました。

――「クラスメイトの女子、全員好きでした」を制作されたきっかけと理由を教えてください

爪切男さんの原作エッセイが素晴らしかったからです。映像化するにあたり、それぞれのエピソードを繋ぐ縦軸が必要だと思ったので、大人になった主人公が盗作に手を染め、元ネタを書いた中学時代のクラスメートを探す、という現代パートを追加させていただきました。

今作の主人公・枝松脛男は、人によっては欠点と言われたり、コンプレックスに感じていたり…そんなところに惹かれて、すぐ恋に落ちてしまう男です。多様性が叫ばれる世の中ですが、枝松のように「みんなの個性や生き方を肯定する、好きになる」ということが本当の多様性だと思いますし、今の時代だからこそ世に届けたいメッセージだと強く感じています。

■初主演、木村の魅力は「誰からも愛されるところ」

――ドラマ主演を務める木村昴さんの起用理由を教えてください

クラスメートの女子、全員を好きになってしまう“優しいダメ男”は、とにかくピュアで前向きな人でなければなりません。しかも、ドラマ冒頭から盗作をしてしまったり、女性の腕の脱毛に気づいて指摘したり…(笑)。そんな主人公でも、視聴者の皆さんに愛される存在になってもらわなければならないので、いつも明るく、誰からも愛される木村さんにオファーさせていただきました。

――担当編集者・美晴との掛け合いも魅力的です。新川さんの起用理由も教えてください

相方の編集者・片山美晴は、優しさと芯の強さを兼ね備えた女性です。新川さんは、まっすぐな眼差しが魅力的で、受けのお芝居も抜群に上手なんです。枝松と良いバディになると確信していましたし、新川さんのコミカルな演技も見てみたかったので、お声がけさせていただきました。

――現場でのお二人の様子や、撮影現場の雰囲気はいかがですか?

いい大人たちが全力でふざけまくっています(笑)。2人とも笑いを堪えきれずにNGを出してしまったり。でも、一番大きい声で笑っているのは監督ですね。その声を聞いて、キャストもスタッフもリラックスして臨めていると思います。美術や小道具も遊び心が満載で、色んなアイディアを積極的に提案してくれますし、とても雰囲気の良い現場だと思います。

――撮影中の印象的なエピソードはありますか?

オールロケのため、暑さとの戦いでした…。中学校も廃校をお借りしているので、エアコンが動かないですし、氷嚢、ネッククーラー、スポットクーラー、冷たいものの差し入れ…ありとあらゆるものを試しましたが…まあ無理ですね(笑)。服に汗が染みてくるので、最終的にはあえて全部濡らして目立たないようにして撮影したシーンもあります。そんな中でも集中力を切らさず撮りきってくださった出演者とスタッフの皆さんには本当に頭が下がります。

■中学時代のスネオを演じた及川桃利は「満場一致で合格」

――及川さんは200名を超えるオーディションでの抜てきとのことですが、オーディションを開催しようと思ったきっかけを教えてください

「ゴツゴツした才能の原石」を見つけるために、今回はオーディションを開催しました。これが高校生役だったら話は別ですが、中学生で個性があるんだけど、身近にいそうなタイプの子たちを見つけたかったんです。これまでの実績や知名度は考慮せず、どちらかというと不揃いで、尖った魅力がある子たちに決まっていきました。ちなみに、スネオの少年時代を演じる及川くんは満場一致で決まりました。彼はドラマ初出演ですが、出演が決まってからの成長速度が凄かったです。

――矢部Pの特にお気に入りのシーン、またはせりふはありますか?

「人と違う所って、魅力的じゃないですか。その人だけの個性って感じで、僕には輝いて見えるんですよ」。2話のこの枝松の台詞が私は大好きで、このドラマの全てを表していると思います。タイトルで「女子、全員好き」と銘打ってはいるものの、性自認について悩んでいる子、話すのが苦手な子、吐きやすい体質の子、色んな子が登場します。枝松は、そんな子たちの全てを受け入れ、ただ、人として愛していた。そういうところがとても素敵で、私も見習いたいと思います。

■キャスティングは「どのように成長したのか、説得力が欲しかった」

――「クラスメイトの女子、全員好きでした」だからこそと胸を張れる、すてきなポイントや作品としての強みがあれば教えてください

固定観念にとらわれないところです。通常のドラマですと、過去や回想シーンは説明のために使われることも多く、ドラマ全体に占める割合は多くて30%程度だと思います。ですが、今回は原作の中学時代が大事なので、現代パートと中学生パートの割合は半々を目指しました。

また、中学生が25年経ってどのように成長したのか、その説得力が欲しかったので、中学生役の子たちを全員決めた後に大人をキャスティングしています。大人キャストに似ている子を選んでいるのではなく、実は逆なんですよね。

細かいところでいうと、普通は主人公がメガネをかけていたら、周囲の人物はなるべくメガネを避けます。ですが、今回は隣人の金子も含め、メガネだらけ。メガネは映り込みがあるので、なるべく減らしてほしいと現場は思っているはずです(笑)。

――最終回に向けての見どころと、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします

ラスト2話で物語の縦軸が一気に加速し、小説の真の作者は誰なのか、そして、そこに隠された真実が明らかになります。枝松と美晴、2人の人生が好転していくのかどうかも、しっかりと描いていきますので楽しみにしていてください。平日の夜、寝る前にご覧いただき、最後まで見終えた後に「久しぶりに誰かに会ってみたいな」と思ってもらえたら幸いです。応援よろしくお願いします!



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