葛飾北斎の幻の名品や喜多川歌麿の大作も登場! 「肉筆春画」に焦点を当てた展覧会

葛飾北斎の幻の名品や喜多川歌麿の大作も登場! 「肉筆春画」に焦点を当てた展覧会

9月21日(土) 22:00

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“春画”と聞くと、江戸時代のエロティックな絵と思う人もいるかもしれない。けれど春画は男女の性風俗をユーモアを交えて描いた当時の大衆娯楽作品。“笑い絵”や“枕絵”とも呼ばれ、男女や身分に関係なく広く親しまれていた。また、当時は嫁入り道具として母から娘や嫁に受け継がれる縁起物でもあったという。
“秘かに愉しむ”は過去の話。イメージを覆す名作を美術館で。

1722年、享保の改革により好色本が禁止になってもその需要はなくならず、改革以降は非公開で販売されるように。そのため普通の浮世絵のように幕府の規定を守る必要がなく、通常は出版できない極彩色の作品も登場。喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など著名な浮世絵師の多くが春画を手がけ、芸術性の高い作品が生まれた。

そうした浮世絵の中でも、特に1点ものである「肉筆春画」に焦点を当てたのが本展「美しい春画‐北斎・歌麿、交歓の競艶‐」。今回は世界的な浮世絵コレクターとして名高いミカエル・フォーニッツ氏の収蔵品から、初公開作品を含む22件が登場する。

なかでも注目は、葛飾北斎の幻の名品「肉筆浪千鳥」。これは1976年にパリで展示されて以来、長らく公開されていなかった伝説の作品で、日本の美術館では初の展示となる。他にも喜多川歌麿の大作など、精選された美麗な春画約70件が一堂に会する本展は、国内の美術館ではタブー視されてきた日本の性風俗をオープンにした、画期的な内容。また、かつて北斎春画の最高峰とされた作品群を比較しながら楽しめるのも今回が初めてとなる。

美術館ではなかなか展示できなかった名作を大胆に紹介した本展。後期には北斎春画の中でも「蛸と海女」図で有名な「喜能会之故真通」も登場。2匹の蛸に海女が襲われる様子を描いた衝撃作は見逃せない。

近年発見!北斎の肉筆春画に注目。

葛飾北斎「肉筆浪千鳥」より(部分)個人蔵【通期展示】

葛飾北斎「春愁図」(部分)ミカエル・フォーニッツコレクション【後期展示】

最新の北斎作品として発見された「春愁図」は北斎独特の緻密な表現が特徴。また肉筆画の傑作と伝わる「肉筆浪千鳥」は下駄が脱げるほど勢いのある男女の営みの様子が臨場感溢れる。

歌麿の大作、日本の美術館初公開!

喜多川歌麿「階下の秘戯」(部分)似鳥美術館蔵【通期展示】

喜多川歌麿「夏夜のたのしみ」(部分)個人蔵【通期展示】

月岡雪鼎「月次春画花卉画帖」よりミカエル・フォーニッツコレクション【頁替あり】

美しい春画‐北斎・歌麿、交歓の競艶‐細見美術館京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6‐3前期:開催中~ 10月14日(月・祝)後期:10月16日(水)~11月24日(日)10時~17時(入館は16時30分まで)月曜休(祝日の場合は開館、翌火曜休)一般2200円ほか18歳未満は入場禁止。TEL:075・752・5555

※『anan』2024年9月25日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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