オンラインゲームからログアウトできないまま異世界へと移転してしまったプレイヤー・モモンガは、骸骨姿の大魔法使い”アインズ・ウール・ゴウン”と名乗り、自身の眷属と共に「世界征服」を目指す――丸山くがねのダークファンタジー小説を原作としたアニメ『オーバーロード』。
その、初のオリジナル劇場版『劇場版「オーバーロード 」聖王国編』が公開となる。
練りに練られた緻密な世界設定を背景に、ユニークなキャラクターたちが繰り広げる壮大なドラマが人気を博し、原作は累計1400万部を突破、アニメはこれまでにTVシリーズ4期と劇場総集編2本が制作されている。
劇場版『聖王国編』はTVシリーズ第4期の7話~8話の間に描かれていないもう一つの物語を描いており、異世界に存在する国家のひとつ〈ローブル聖王国〉の存亡をかけた戦いに関わるアインズたちの活躍を描いている。物語の軸となるのが聖王国騎士団の従者・ネイア、そしてネイアとコンビを組んで活躍するのが魔皇・ヤルダバオトからの支配を解かれたメイド悪魔のシズ。二人の活躍は本作の大きな注目点となる。
ネイアを演じる青山吉能とシズ役の瀬戸麻沙美に、二人のキャラクターの魅力と見どころを語ってもらった。
何度でも楽しめる
『オーバーロード』の醍醐味
――お二人は『オーバーロード』という作品の魅力はどこにあると感じますか。
青山私は今作から参加した身なので、作品全体を代弁するのもおこがましいですが……とにかくキャラクターや世界の設定が本当に緻密で、伏線的な要素も随所にちりばめられているけれど、「知っていないとわからない世界」ではないんです。何も知らずに観ても物語はしっかりと楽しめます。その一方で、世界観やキャラクターを知っていればいるほど、なにげない会話やちょっとした表情、目線の動きだけでも「このキャラ同士がこういう表情を交わしているってことは……」とより深く楽しむことができて、まったく違った面白さがある。だから何度でも楽しめるというのが、魅力的だなと思っています。
瀬戸主人公・アインズの外に見せている姿と心の声のギャップが面白いですし、そこから生み出される物語があまりに壮大すぎる。壮大すぎるからこそ、すべてが仕組まれていた展開だとわかった時に、思わず笑ってしまうというか。この作品に触れる人は掌の上で踊らされるのもよし、しっかり裏側を把握した上で楽しむのもよしで、見方によって物語の受け取り方が変わるというのが大きな魅力だと思います。
――完成した今回の劇場版『聖王国編』をご覧になっての感想は?
青山作画が綺麗すぎです!今作はプレスコ(先に収録した声に合わせて映像を作成する手法)に近い収録で、「自由に、思ったようにお芝居をしてくれて大丈夫です」と言われていました。できあがった映像を観たら本当に、私たちのやっているお芝居の通りに絵が動いているんです。それがとても新鮮でした。自分たちが考えた演技の先にあるものが絵として表現されて、それが『オーバーロード』の世界になっている。声優として、演者として作品世界に入ったとあらためて感じることができて嬉しかったです。
瀬戸冒頭から「歴史ものが始まった?」という迫力と興味を惹かれる演出が印象的でした。総尺2時間以上で、そのボリュームに相応しい満足感がありつつ、展開がタイミング良く切り替わっていくので最後まで飽きることなく引き込まれていきます。また、後半になるにつれてネイアの表情や行動がだんだん変わっていく様子には、「こうやって人は何かを信じて、心酔して、崇拝していってしまうのか……」という流れをみせつけられたような気がしました。
物語の軸となる
真っ直ぐなネイア
――青山さんが演じるネイアが主人公・アインズの言葉に心酔していく流れは、今回の物語の軸のひとつですね。
青山私自身がオーデョションの際に感じていたのは、ネイアは本当に普通の子だということで。『オーバーロード』はもの凄く突出した能力を持っているキャラクターが集まって物語を作っていますが、ネイアには何もないんです。私自身はそこに共感できました。「何もない」という感情は劣等感につながります。また、彼女には虐げられた過去もあり、上司のレメディオスからもぞんざいに扱われたりします。でも、そういったことから生じる”負のエネルギー”をプラスに変える力のようなものもネイアは持っているんです。演じる時も「自分なんて……」という感情を基本に、それでも理不尽に負けないという意志を意識しました。
瀬戸私は、ネイアは本当に真っ直ぐでピュアな子だなと思いました。聖騎士団の従者ですから聡明さはしっかり持っていて……だからこそなのかな?自分の理想や信念と重なるアインズという存在と出会ったことで、他のものが見えなくなる。その変化は少し狂気を感じるくらいの迫力でした。
青山アインズへの思いは「狂信」に」近いですし、物語が進むにつれて排他的になってしまうんですよね。「アインズ様は凄いんだ」と言っている目が怖いと感じるくらいで(笑)。
瀬戸その不屈感の表現は凄まじかったです。かなり長丁場の収録でしたけれど、ネイアと青山さんの集中力の重なり具合がもの凄い迫力で。見ているこちらまで息を飲んで一緒に疲れてしまうくらいの緊張感を感じました。本当に素晴らしかったです!
青山ありがとうございます、嬉しいです(笑)。
――青山さん=ネイアはこの長い映画で、ほぼ出ずっぱりですよね。
青山完成した映画を観た時、他の作品なら絶対にリテイクになりそうなくらいに声が出ていないシーンもありました。でも、そのシーンはその”声”でないとダメかもしれない……私自身の収録の疲労感と作中のネイアの疲労感が合致して、奇跡が起きたシーンだったような気がします。でも、収録は本当に大変でした。
――瀬戸さんが演じるシズはどんなキャラクターでしょうか。
瀬戸シズは無表情で寡黙な戦闘メイド、そしてむちゃくちゃ強い子です。戦闘メイドチームの「プレアデス」では末っ子的なポジションの妹キャラですが、今回はネイアに対して「お姉さん」的な立ち位置で接したり、それがまんざらでもないらしくて嬉しそうな表情も見せたりして。ネイアのおかげでシズの新しい面も見ることができた気がします。
青山シズはネイアの人生の中で、あまりにも異質な人ですね。感情が感じられない人って、ネイアの周りにいなかったんじゃないかと思います。レメディオスという感情の激しい人がいつも側にいたし(笑)。
瀬戸そうですね(笑)。
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寡黙なシズの
優しさにも注目
――ネイアとシズはアインズの命令を受けて、共にとあるミッションに挑みます。二人のやり取りは演じてみていかがでしたか?
瀬戸シズとしては、ネイアの熱量に引っ張られないようにするのが大変でした(笑)。シズはずっと凪いでいるので。
青山逆にネイアとしては、おっしゃるとおりシズがずっと凪いでいるので”のれんに腕押し”の感覚でした(笑)。でも、だからこそネイアが落ち着いて過ごせるというか。必要以上に接近しないけれど突き放しもしないというシズの佇まいが、ネイアにとっては救いだったのかもしれないですね。一緒に行動していく中でネイアのシズに対する目線は変わり続けますが、ネイがどう変わろうがシズは変わらない。それが居心地がよかったのかな、と。
瀬戸対照的な二人だけれど、実は負けず嫌いなところなどは似ていて相性がいいのかもしれない。シズも何となくネイアのことが気に入ったようだし、二人で共闘するシーンのコンビネーションは見応えがあります。
青山それから、自分でも経験があるのですが、シズのようなキャラクターを演じるのってもの凄く難しいんです。無表情で「棒読み」と呼ばれるニュアンスって実は、誰も棒読みで演じていない。動いている心に蓋を被せているだけで、動きはあるってことや、その蓋がどのくらい重のかも表現しなくちゃいけないんですよね。そこを瀬戸さんは本当に巧みに演じていらっしゃって。一緒に収録しながら「凄い……」って思っていました。
瀬戸嬉しい(笑)。今、ネイアにとってシズは居心地の良いって言ってくれましたけど、シズってとんでもないキャラたちが登場する『オーバーロード』の中では、比較的良心を持っていると思うんですよ。雰囲気はクールだけれど自然と優しい行動が取れるし、そこに打算や損得勘定も感じないから、優しくされた側は居心地が良いんじゃないかな。そんなシズの魅力がネイアにはまっすぐ受け取ってもらえたから、シズも嬉しかったんじゃないでしょうか。
青山『聖王国編』は全体にシリアスな雰囲気でネイアもピリピリしているシーンが多いですが、シズのおかげでネイアの素の部分も見ることがでたし、結果的に二人で姉妹のような関係性になれて嬉しかったです。ぜひ、別の作品でもネイアとシズの共演が見たいですね。
瀬戸私もいつかまた、二人でコンビが組める日を夢見ています!
――映画を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。
瀬戸これまでも『オーバーロード』のアニメ作品を観ている人なら、きっと予告編だけで期待値が高まっていると思います。完成した映画では、本当にこんな世界があるんじゃないかと感じさせるような緻密なファンタジー的風景が描かれているので、映画館で観たらまるで自分もこの歴史の中に生きているような没入感が描かれるはずです。そして、シズも今回のように物語の軸に関わったのは初めて。シズのファンのみなさんにはぜひその活躍を観ていただいて「シズにこんな魅力があったんだ」と気付いてほしいし、「もう知っているよ!」という人にはその魅力を存分に楽しんでもらいたいです!
青山今作でネイア役をやらせていただき、世界中で愛されている『オーバーロード』の壮大な物語に仲間入りさせていただけて光栄に思います。劇場版ならではのクオリティの高さは大きな見どころです。思わず目を覆いたくなるようなシーンもあったりしますが、それも劇場版ならではの特徴です。ぜひ映画館に足を運んで楽しんでいただきたいです。『オーバーロード』に今まで触れてこなかったという方でも楽しめますし、1回観て「なるほどね」と感じた後でいろいろ世界観を学んでからもう1回観ると、何気ないシーンがめちゃめちゃ笑えたり、面白くなってきます。そういう楽しみ方もできるので、まだ作品を知らない方も、すでに愛してくださっている方も、何度も足を運んで楽しんでいただけると嬉しいです!
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