9月8日(日) 11:00
「中学3年生、15歳のときに東宝のシンデレラオーディションでグランプリを獲得して、卒業前に歌手デビュー。ちょうどそのころ、学校で漫画『花のあすか組!』がすごくはやっていて、私も単行本をそろえていました。ごく普通の学校生活だったから、不良の世界への憧れがあったんです」
こう語るのは、女優の小高恵美さん(52)だ。あるとき、小高さんが事務所スタッフに『花のあすか組!』愛を語っていると、偶然にも、ドラマ化されることを告げられた。
「『そんなに好きなら、ドラマのプロデューサーに、その話をしに行こう』と言われて、いかに原作が好きなのかを熱弁。主役が決まったのは、その1週間後でした」
夢のような気持ちで喜んだが、原作ファンであるがゆえ“世界観を壊してはいけない”というプレッシャーも強かった。
憧れの作品の世界に入り込めるように、日々、撮影のことばかり考えていたという。
「中学を卒業して、芸能コースのある堀越高校に入学。親元を離れて都内に引っ越し、女性マネージャーと共同生活を始めました。2クールあった撮影期間、家と学校と東映撮影所の行き来しか記憶がありません」
原作者の高口里純さんが撮影現場に見学に来たときも、小高さんは台本ばかり読んでいた。
「あとで先生からうかがうと『恵美は私が差し入れを持って行っても、ろくにしゃべってもくれなかった』とあきれていました(笑)」
第1話には、あすかがいじめられっ子だった自分と決別するため、髪の毛にハサミを入れるシーンがあった。
「胸の前まであった髪を自分で切るのですが、上手に切らなくちゃという思いばかりが強くて、カットの声がかかったあと、監督から『涙の一つでも流してほしかった』と言われてしまいました。台本どおりにすることばかりに真剣で、気持ちを通わせるところまで意識できなかったんですね」
常に台本を手放せず、共演していた同年代の石田ひかりや小沢なつきと話す機会は少なかった。
「でも3人とは、アイドル雑誌の取材で軽井沢に行ったり、ボートに乗ったり、撮影の合間にメークのやり方を教えてもらったりしました。3人で『あすか組』として歌手活動も。深夜から早朝までのダンスや歌の練習は女子校の修学旅行みたいで楽しかったです。何より覚えているのは、歌番組で、ファンだったマッチの『あぁ、グッと』が聴けたことですね(笑)」
『花のあすか組!』(フジテレビ系・1988年)
主演の小高恵美をはじめ、小沢なつきや石田ひかり、本田理沙、和久井映見など当時のアイドルが一堂に会した学園少女アクションドラマの集大成。裏番長が群雄割拠する少女戦国時代に、1人のいじめられっ子が天下を取るまでが描かれた。
【PROFILE】
おだか・めぐみ
1972年、神奈川県出身。1987年に映画『竹取物語』でデビュー後、多方面で活躍。2024年9月にはサンフランシスコジャパンタウンで『GODZILLA FES』に、10月26、27日には『第7回熱海怪獣映画祭』イベントに出演予定。